2013-01-01から1年間の記事一覧

文藝家協会にメールを出した

私が所属する日本文藝家協会の『文藝家協会ニュース』が届いて、中に、特定秘密保護法への反対声明を出すべきだという意見があり、日本ペンクラブと共同という形にした、と書いてあったが、文藝家協会については報道されていない。松井計という人からの手紙…

無限の可能性イデオロギー

枡野さんのエッセイが載っている『児童心理』11月号「運動の苦手な子」特集がやっと図書館から回ってきた。巻頭には早乙女勝元の、戦争時代の回想のエッセイがあり、真ん中へんに枡野さんのが載っている。 ところがこの雑誌の、この特集に関する文章は、この…

SFは「新しい」のか?

川口則弘さんの『直木賞物語』(バジリコ)が届き、真ん中へんから読んでいたら、半村良がSFで受賞できず、外野から「新しいものを理解できないのは古い人間だから石川達三のように選考委員を辞めるべきだ」という声があったと書いてあった。 まあ直木賞おな…

山本周五郎とアメリカ文学

(活字化のため削除)

http://www.j-cast.com/2013/12/18192103.html 石原慎太郎が、自分の原稿の掲載を拒否した『すばる』編集長の池田千春を「勇気ある女性」だと言っているが、とんでもない話である。私は2009年に小説「天皇の煙草」を同誌に持ち込んだが、街宣車が怖いからと…

木村洋「明治中期、排斥される馬琴 松原岩五郎の事例をめぐって」(『日本文学』2008年6月)が面白かった。木村は1981年生、神戸大卒、同大学院、文学博士、熊本県立大学専任講師。私は明治期の馬琴受容にかねて関心があるのだが、どうも一般的な記述だと、…

http://www.youtube.com/watch?v=6NVa-X_5RUs

高畑さんの新刊。既に読んだものも入っているが、最後に載っている断煙始末記が皮肉が効いていて面白い。しかし「禁煙宣言書」というのを高畑さんが書き直しているが、これは「断煙」が断固として正しい。酒は断酒なのになんで煙草は禁煙なのか。なお2009年…

生原稿の価値

アマゾンの乃南アサ『凍える牙』のレビューで、安原顕の解説がひどいと書いたので、私が安原を嫌っていると思っている人がいるようだが、別にそうでもない。安原はひどい文章を書くことはあったし、変人ではあった。「スーパーエディター」とか名乗るのも傍…

何を読んだんだ、マリオ 

『文藝春秋』にラテンアメリカ文学者の田村さと子が川端のことを書いていた。主にガルシア=マルケスがいかに『眠れる美女』が好きだったかという話で、「空を飛ぶ眠れる美女」と、『わが懐かしき娼婦たちの思い出』を書いている。後者は駄作。大江健三郎は…

高校二年で修学旅行で北海道へ行った。ある宿屋へ入ったらテレビがついた。つけたらガンダムをやっていて、私はその時初めてガンダムを観た(ちらりと)。生徒会長の東海林が「ガンダムも視聴率が悪いから合体ものにした」とか言っていた。 夕飯のあと、また…

中村吉右衛門のことを「播磨屋」と呼ぶ人がいる。私も昔は「天王寺屋が」なんて言っていたが、いかにも通ぶっていて嫌味なので、今はそういうことはしない。まあこれは歌舞伎なんか好きで観ていると誰でも一度はかかるはしかみたいな「屋号病」であろう。俳…

次回作の宣伝

「ネコジャラ市の11人」の終わり近く、ガンバルニャンが誰かをどこかの図書館に案内して、書庫を歩きながら、「ほらこれが今度人形劇になる『里見八犬伝』」と言う。『新・八犬伝』では、最後の国府台の戦いに臨んで犬士たちが口々に決意表明をする中で、確…

同調圧力の思い出

中学生の時、冬に同級生の誘いでYMCAのキャンプに参加したことが一度だけある。もっぱらスキーをやるのだが、見知らぬ四人くらいと同級生とで同室になり、いろいろもめた。飯の時は大食堂に集まって「ごーはんだごはんーだー、さーあ食ーべーよー」と歌…

先日、全日建事務局長・小谷野敦という人の発言がネット上に流れたので、おや同名異人かと思ったら小谷野毅の間違いであった。もちろん私ではないので、すべからくよろしくおしなべて訂正していただきますよう。http://www.logsoku.com/r/news/1385163330/ h…

http://d.hatena.ne.jp/hanshinkindai/ 「よく調べて書いてはいるがら、物語としては今ひとつの歴史小説」 「ら」をトルツメだな。東北弁みたいになっている。 - 谷崎賞を受賞した保坂和志の『季節の記憶』を読んだとき、庄野潤三の『夕べの雲』みたいだな、…

芹沢光治良ノーベル賞伝説

川端伝を書いていた時、芹沢光治良が川端の次にペンクラブの会長になったので、芹沢もノーベル賞候補であり、と書こうとして、調べてみたら芹沢の著作は英語など世界各国語に訳されていないのである。そこで書かずにおいたが、芹沢がノーベル賞候補だったと…

自殺無思想

私にはドストエフスキーが概して苦手だが、『悪霊』はチンプンカンプンなものである。以前は、学生運動などをやった人が、自分らに重ね合わせて読んで感動しているのだろうと思っていたが、どうも学生運動をやっていない人も感動するらしい。私は組織に属し…

What Maisie Knew

ヘンリー・ジェイムズの「メイジーの知ったこと」(1896)を読んだ。長篇だが、ほかの長編『ある婦人の肖像』や『鳩の翼』ほど長くなくて、『ヘンリー・ジェイムズ作品集』では『ポイントンの蒐集品』『檻の中』とあわせて一冊になっている。これは川西進訳…

http://www5b.biglobe.ne.jp/~kabusk/kabuki10.htm 「ピーター・シェーファー」と書く人が多いが、正確には「シャファー」と「シェファー」の中間くらいなので、最近は「シェファー」と書かれる。 山田耕筰(耕作だったが改名した、はず) http://www5b.bigl…

加藤周一の『続・羊の歌』(岩波新書、1968)の165pには、香港で見た光景として「無数のシナ人たちが…シナ語の本を立ち読みしていた」とある。加藤は他では「中国」を使っているのだが、どっちでもいいということであろう。 丸山眞男の『日本政治思想史研究…

定義は難しい

最近、「私小説は定義が難しい」という文言を二、三見た。しかしこれは錯覚である。いったい、「純文学」「SF小説」「通俗小説」「風俗小説」「推理小説」の、いずれも定義は難しい。いずれも、明らかにそれだ、というものはあるが、周辺的なものはみな、…

『en-taxi』が送られてきた。この雑誌は、創刊号から送られてきているのだが、一遍も原稿依頼はおろかアンケートすら依頼されたことがないという不思議な雑誌である。だから原稿料がいくらなのかも知らない。千円くらいなのかな。 坪内祐三が石原慎太郎にイ…

吉田満の『戦艦大和の最期』というのを、私は世間でいうほどの名著だとは思っていないのだが、八杉康夫『戦艦大和最後の乗組員の遺言』(ワック、2005)を見ると、吉田著にはフィクションがあり、退避の際に内火艇にあとから乗り込もうとした者の手を日本刀…

http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101803900/subno/1 この「笠原佳雄」という人は「1956年早稲田大学政治経済学部卒業後、東京新聞に入り、主に外報部に勤務。ベイルート、テヘラン、中東移動特派員などをつとめ、アラブ・中東問題の取…

Old King Cole

マザー・グースの一編に「Old King Cole」というのがあって、かなり暗い曲なのだが、私が記憶しているのはこちらに近い。 ところが、圧倒的に多く出てくるのはこれとは違うメロディーのやつである。 私は慣れ親しんだほうがずっと好きなのだが、やはり子供向…

柳田國男を「文学者」に加えてしまう人は多い。しかし、1962年まで生きた柳田は、いったいどの程度、文学を読んでいたのか。もちろん若いころは詩人で、田山花袋や国木田独歩と親しかったのだが、それより下の世代、ないし戦後文学となると、とんと見当がつ…

「鳴門秘帖」補完計画

1977年から78年、私が中学三年生の時に、NHKで放送していた吉川英治原作『鳴門秘帖』が好きだったのだが、映像は残っていないのだろうか。私は部分的に録音してある。 何しろ脚本が石山透である。『新・八犬伝』と『プリンプリン物語』の間にある。主役の…

著書訂正

『夏目漱石を江戸から読む』 222p「至上命題」→「至上命令」