2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧
66P「『悲の器』の主人公はガンで死んでしまうが」→「『悲の器』の主人公の妻はガンで死に、主人公は社会的地位を失うらしいが」
先ごろ、三島由紀夫賞と山本周五郎の選考委員会と、それに続く記者会見を見ていたら、山周賞の受賞作について、選考委員の小川哲が、「青春小説」としても読める、というようなことを言っていて、受賞者もその点について質問されていたので、おや、と思った。…
若い頃、というのは大学生から院生になりたてのころだが、私は鴻上尚史(1958-)、野田秀樹(1955-)、村上龍(1952-)などのエッセイを愛読していた。具体的には『鴻上夕日堂の逆襲』『ミーハー』『すべての男は消耗品である。』などだが、それらは自分…
車谷長吉『癲狂院日乗』では幾人かの人の名が「よ氏」「り氏」などと変名にされている。この処置は高橋順子氏がやったことである。しかし「も氏」については、翻訳書の題名が書かれているので、すぐ高山芳樹氏であることが分かった。 『文士の魂・文士の生魑…
今年の大河ドラマで、紫式部が「源氏物語」を書いている場面を見ていて、ずいぶん書くのがのろいなと感じていたのだが、あれは吉高由里子が自分で書いていて、吉高は左利きなので、ものすごい訓練をして書いているというから、それでのろいのかと思った。作…
ベルギーにアメリー・ノトン(1967- )という作家がいる。女で、幼い頃日本で育ち、日本企業で働いた経験もある。日本ではノートンとされているが、これは英国の作家メアリー・ノートンと間違えたのか、綴りはNothombなのでノトンだということを、比較文学…
私は永井龍男が文化勲章をとるほどの作家かどうか疑わしいと思っている。当時、左翼作家が多くて勲章を辞退した結果、永井に回ってきたのだろう。 その永井が1974年から76年1月まで『小説新潮』に連載した身辺雑記『身辺すごろく』の最後の回を読んでいたら…
猪瀬直樹の『ミカドの肖像』が出たのは1986年の暮れで、私が大学院へ入るちょっと前だったが、4月ころには読んで、大層面白く、友人に電話してぺらぺらしゃべったら、面白いところは全部君に聞いてしまっていたとあとで言われた。 それから三年くらいして、…