星5つ中5つ
終わらせる勇気
2026年6月7日に日本でレビュー済み
大変素晴らしい本であった。トンデモ学説は相手にしないのがアカデミズムの作法で、相手にしたらその人自身がトンデモ扱いされるという中で、もしかしたら出世は捨てているのかもしれないが、最初はタミル語起源説といったあたりから始まって、民博名誉教授の説までぶった斬っていく上、話はどんどん専門的で難しくなっていく。しかし、「わからないことはわからないと言う勇気」「自分で思いついた説でも破棄する勇気」「比較言語学を終わらせる勇気」という三つの教えは、他の人文学にも当てはまることで、ここまで思い切りのいい学者は見たことがない。(実際文学研究などというのも事実上終わりかけている)。また、清水俊史のように、(著者はその正否を判定できないのでしていないが)権威によって葬り去られかけるという逆の例にもキチンと触れている。問題なのは晶文社から出た土偶本には触れられないところだが、その程度のことはまあ大人だからしょうがないよと言えるくらい全編に気迫がみなぎっている。ところで最後のほうの、東大ロシア語クラスにすごい学生がいたという話は、あまり私自身は遭遇したことがないので、ロシヤ語だからかな、と思った。


