2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

What Maisie Knew

ヘンリー・ジェイムズの「メイジーの知ったこと」(1896)を読んだ。長篇だが、ほかの長編『ある婦人の肖像』や『鳩の翼』ほど長くなくて、『ヘンリー・ジェイムズ作品集』では『ポイントンの蒐集品』『檻の中』とあわせて一冊になっている。これは川西進訳…

http://www5b.biglobe.ne.jp/~kabusk/kabuki10.htm 「ピーター・シェーファー」と書く人が多いが、正確には「シャファー」と「シェファー」の中間くらいなので、最近は「シェファー」と書かれる。 山田耕筰(耕作だったが改名した、はず) http://www5b.bigl…

加藤周一の『続・羊の歌』(岩波新書、1968)の165pには、香港で見た光景として「無数のシナ人たちが…シナ語の本を立ち読みしていた」とある。加藤は他では「中国」を使っているのだが、どっちでもいいということであろう。 丸山眞男の『日本政治思想史研究…

定義は難しい

最近、「私小説は定義が難しい」という文言を二、三見た。しかしこれは錯覚である。いったい、「純文学」「SF小説」「通俗小説」「風俗小説」「推理小説」の、いずれも定義は難しい。いずれも、明らかにそれだ、というものはあるが、周辺的なものはみな、…

『en-taxi』が送られてきた。この雑誌は、創刊号から送られてきているのだが、一遍も原稿依頼はおろかアンケートすら依頼されたことがないという不思議な雑誌である。だから原稿料がいくらなのかも知らない。千円くらいなのかな。 坪内祐三が石原慎太郎にイ…

吉田満の『戦艦大和の最期』というのを、私は世間でいうほどの名著だとは思っていないのだが、八杉康夫『戦艦大和最後の乗組員の遺言』(ワック、2005)を見ると、吉田著にはフィクションがあり、退避の際に内火艇にあとから乗り込もうとした者の手を日本刀…

http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1101803900/subno/1 この「笠原佳雄」という人は「1956年早稲田大学政治経済学部卒業後、東京新聞に入り、主に外報部に勤務。ベイルート、テヘラン、中東移動特派員などをつとめ、アラブ・中東問題の取…

Old King Cole

マザー・グースの一編に「Old King Cole」というのがあって、かなり暗い曲なのだが、私が記憶しているのはこちらに近い。 ところが、圧倒的に多く出てくるのはこれとは違うメロディーのやつである。 私は慣れ親しんだほうがずっと好きなのだが、やはり子供向…

柳田國男を「文学者」に加えてしまう人は多い。しかし、1962年まで生きた柳田は、いったいどの程度、文学を読んでいたのか。もちろん若いころは詩人で、田山花袋や国木田独歩と親しかったのだが、それより下の世代、ないし戦後文学となると、とんと見当がつ…

「鳴門秘帖」補完計画

1977年から78年、私が中学三年生の時に、NHKで放送していた吉川英治原作『鳴門秘帖』が好きだったのだが、映像は残っていないのだろうか。私は部分的に録音してある。 何しろ脚本が石山透である。『新・八犬伝』と『プリンプリン物語』の間にある。主役の…

著書訂正

『夏目漱石を江戸から読む』 222p「至上命題」→「至上命令」

「さよならドビュッシー」の映画を観ていたらこれを思い出した。「スチュワーデス物語」(それにしてもこれのウィキペディア項目で「客室乗務員」として「当時はスチュワーデスと呼ばれた」と注がついているのは実に不快だ。言葉を管理するな)の系列のお笑…

図書館の本からの窃盗

山本文緒の新刊小説『なぎさ』は、確か「なぎさカフェ」の題で連載されていたような気がする。枡野さんが絶賛していたので読んでみたが、妻が漫画家というあたりに枡野さんは反応した、ということもあろうかと思う。 だが、どうも違和感がある。現代の話らし…

ドナルド・キーンの勘違い?

こないだ「東京新聞」の一面にドナルド・キーンが出ていて、『源氏物語』のウェイリー訳の話をしていたんだが、ウェイリー訳のほうが谷崎の現代語訳よりいいと書いて谷崎に謝り、谷崎が気にしていないと言ったとある。しかし、英訳と現代語訳を比較するのも…

日本史ブーム

月々の新刊書を見ていると、日本史の本は、一般向けでよく出る。講談社選書メチエとか、山川出版社とかで、それに対して文学のほうは全然ダメというに近い。 学者ではない一般読者の世界に、日本史について細かな議論のできる層というのがあるようなのだが、…

『批評空間』の共同討議で浅田彰あたりがよく「くだらない(あるいは、つまらない)話だけど」と前置きして語っていたのは、難しくて(ないしはインチキで)よく分からない本筋とは別の、ゴシップ的な話題だったように思う。まあたとえば、中上健次が埴谷雄…

朔太郎を読む榊先生

『比較文學研究』の98号が届いた。あと二号で百号ということだ。年二回刊行のはずが、最近年一回になっている。今回は萩原朔太郎特集で、これは編集責任者が、エリス俊子さんだから。エリスさんは、岸田俊子といった昔、修士論文を『萩原朔太郎 詩的イメージ…

ヤリタミサコさんの朗読

シリカ電球という、昔ながらの電球が、経済産業省の省エネ通達で生産中止になったという。最後まで製造していたパナソニックも、生産中止を半年早めることにしたという。 ところが、うちの廊下の天井灯には、新しい形の電球が入らないのである。古い電球では…

裏声で褒めろ文藝時評

(活字化のため削除) - 虎岩正純の『イギリスの中から 異文化としての英国発見』(研究社、1983)は、著者の英国滞在記だが、あとがきで、帰国して、高名な英文学者に、英国でいきなりクリスチャン・ネームを訊かれて驚いた、と話したら、老教授はあわれむ…

昨日、図書館で「東京新聞」を見たら一面にドナルド・キーンが出ていて、『源氏物語』の翻訳の話をしていた。アーサー・ウェイリーの英訳がすばらしいと言い、谷崎の現代語訳よりいいと『文藝』の座談会で発言して、谷崎に謝りの手紙を出したら、谷崎から、…

丹羽文雄

丹羽文雄の『山肌』という長篇小説がある。新潮文庫で二冊、元本も上下巻で1980年刊行、1978年12月から80年1月まで日経新聞に連載された。三沢苑子という生命保険で働くキャリアウーマンがヒロインで、四十代から五十歳近くまでを描いているらしい。夫と三人…

『大菩薩峠』もそうだが、私が面白くない小説や映画について、面白いという人に説明してもらいたいという気が、いつもしている。もちろん、いかに面白いかを書いた本というのはあるのだが、これは一方通行なので、対話形式で聞きたいのである。 ただ、自分は…

新刊です

あの、題名は編集者がつけたものです。面白いほど詰め込める勉強法 究極の文系脳をつくる (幻冬舎新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2013/09/28メディア: 新書この商品を含むブログ (12件) を見る訂正 p6「林真理子の『文章読本』は単行本…