2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

円楽死去

まあ、楽太郎が円楽を二年後に継ぐという話が出た時、「二人円楽がいるのか」などと言われていたが、大方の人は「それまで円楽は生きていまい」と思いつつ口に出せなかったのだよね。 円丈師匠の『ご乱心!』を読んだり、川柳師匠のファンである私としては、…

新刊です

禁煙ファシズムと断固戦う! (ベスト新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: ベストセラーズ発売日: 2009/10/09メディア: 新書購入: 1人 クリック: 35回この商品を含むブログ (7件) を見る阿井渉介氏がこのようなことを書いている。 先ごろ、夏目漱石財団なるも…

速水融は顔が怖い

上野千鶴子が久しぶりの単著『男おひとりさま道』を出したが、立ち読みして、あほらしいと思った。妻に先立たれた男が悲惨だなんて、昔から分かり切ったことで、まあ編集者の懇請で仕方なく書いたのだろう。 しかし上野の弟子というのは、どうも著書の予告を…

何を売っているのだ

(消えた。売れたのかな。「パプアニューギニアの尻尾のある現地人の女の姿の生写真」) - 都市社会学の磯村英一という人は同和問題にも熱心だったようだが、その母親は『はね駒』のモデルで女性新聞記者の草分けだそうだ。ははあ、そういう母親を持つ人が同…

阿井渉介氏に答える

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20090715これに対して、阿井渉介氏より「反論」があった。教えてくれる人があった。 http://sky.geocities.jp/akaikutsunokai/frame.html 私は自分が批判や反論をして無視されるのが不快なので、答えることにする。>これ…

蓮實先生について

『私小説のすすめ』のアマゾンのレビューでモワノンプリュ君が、私が蓮實重彦を快く思っているはずはないが、と書いている。いえ、快く思っていますよ。だって煙草の吸殻をわざわざ千代田区まで捨てに行く人ですから。 だいたい蓮實先生には『私小説を読む』…

訳読について

久しぶりに駒場へ行って、教養学部報を見たら、表紙の右下に、「6月号の菅原教授の文章を見て、英語教育の現場から訳読がなくなるのかとショックを受けた名誉教授から短文が届いたので載せる」(大意)とあって、訳読の重要性を説いた文章が載っていたのだが…

ですから

http://d.hatena.ne.jp/kanimaster/ 「危ないですから」に違和感があるのは「形容詞+です」の問題ではなくて、「ですから」の使い方ではあるまいか。 「あなたは美しいですから、好きです」 「犬は人間よりずっと寿命が短いですから、かわいがってあげない…

絶版のお知らせ

筑摩書房から、『中庸、ときどきラディカル』『性と愛の日本語講座』『新編軟弱者の言い分』が来年春で絶版になると報せが来た。大塚ひかりさんも二冊絶版だそうだ。ああ世知辛い世の中じゃ。 まあ「返品の山」を著者自身が目にすることがないのは幸いなりで…

小林よしのり氏に答える(3)

小林氏が雑誌で書いていて私の反論が『SAPIO』に載っていないというのは、ちょっとした言論封殺の嫌いはあるが、まあ良かろう(もちろんこれは小林氏が悪いのではない) さて、小林氏が出してきたのは「鳴物停止令」である。「普請鳴物停止令」ともいう…

「論文、欲しいんです」?

水月昭道君の『アカデミア・サバイバル』は、大学院生ならたいてい心得ていることしか書いてないのだが、逆に、どうしても納得のいかない個所もある。その最たるものが、学会の懇親会で、偉い先生に論文をおねだりする、というところだ。(172p) 専門とか…

坂の上の雲

『文藝春秋別冊 坂の上の雲』で平川祐弘先生が私の『リアリズムの擁護』を取り上げて下さっている。昔この小説が出た時に、教養学部報で平川先生が司会をして座談会をやったのを、大岡昇平や菊地昌典が非難したのを、大岡は現物を見ていないだろう、と書いた…

風神の門

私が高校三年の時、NHKの水曜時代劇で司馬遼太郎の『風神の門』をドラマ化したのだが、なんかこれは変なドラマだった。それでも、その前の、直木三十五の『南国太平記』を原作とした『風の隼人』なんか途中で観るのをやめたのに対して、最後まで観ていた…

『土』をめぐる野心

長塚節の『土』の会話部分は、私が生まれた地方、というより母の実家がいちばん近い茨城県の方言をふんだんに使って書かれている。母の郷里には子供の頃何度か行ったし、母の長兄一家などは今もその方言で話すから、私にはこれが読める。 しかしアクセントま…

どこが正論なんだ

高月靖の新刊『ロリコン』はアマゾンで注文してほどなく届くが、駅前の書店で見つけたので立ち読みしたら、最後のほうで私の『もてない男』から上野千鶴子の「コミュニケーション・スキルを磨け」「マスターベーションしながら死んでいただければ」というの…

今ごろ気づく私が間抜け

私が持田香織が好きなのは一部では知られているが、十年前に聴いた「Dear My Friend」って、女が結構嫌味に男を振っている歌だと今ごろ気づいているのは間抜けと言われても仕方ないだろう。トワ・エ・モワの「ある日突然」を失恋の歌だと思っていたのは誰だ…

一夫多妻制

http://www.digest-pub.net/cgi-bin/shousai.cgi?id=19956 これに対して福田千鶴は、浅井茶々について、当時は一夫多妻制だから茶々は側室ではなくて妻である、と言っている。 何やら混乱しているが、要するにそれは「一夫多妻制」の定義の問題でしかない。…

比較文学研究

今日は駒場で『比較文学研究』の合評会があったので、行くつもりでいたのだが、何だか面倒くさくなって行かなかった。 巻頭論文が千葉一幹の『虞美人草』論なのだが、これがひどいから文句を言いに行くつもりでいたのだが、まず、坪内逍遥は馬琴を否定した、…

小林よしのり氏への疑問

小林氏は「国民主権」を言う者は左翼だ、としてこれを批判している。 しかしそれなら、なぜ、近世の庶民は天皇を知っていたなどということを、力説しなければならないのだろうか。それは「国民主権」への譲歩ではないのか? あるいは、近世の日本人が天皇を…

東京外国語大学

実は私は、昨年、東大から雇い止め通告を受けたあと、いくらか錯乱状態になって、最近は見ていなかった公募情報を見たら、東京外国語大学で、日本近代文化史の教授、准教授を公募していたので、出した。四年ぶりくらいの公募応募であろうか。 まあ当然落とさ…

ミシェル・トゥルニエとか

トゥルニエの『フライデーあるいは太平洋の冥界』は、私が大学へ入ったころに翻訳が出て、ちと気になっていた。『ロビンソン・クルーソー』の書き直しだが、原題は「フライデー」ではなくてフランス語だからvendrediである。その頃「クイズダービー」で篠沢…

村上春樹の曽祖父

こないだから、村上春樹の曽祖父は国木田独歩だという人がいる。何でも英語版ウィキペディアに書かれたこともあるそうな。 http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Haruki_Murakami&diff=44000587&oldid=42539512 独歩は1896年に最初の妻佐々城信子(有…

「童貞放浪記」再び

『童貞放浪記』は10月24日から再度渋谷で上映されるらしい。今度は渋谷アップリンク。 大阪では第七藝術劇場で11月公開らしい。十三にあるわけだから、実際の舞台と極めて近いところでの上映となる。 - 坂本龍馬が大河ドラマになるので龍馬ものが復刊してい…

志茂田景樹のリハビリ

中川昭一、自殺なんだろうなあ。しかも、多くの人が予想した事態。遺伝だからな。 - 志茂田景樹の軌跡を一度調べようと思っていた。志茂田は中大卒後、各種職業を転々とし、創価学会員となり、文章が書けるところから、『人間革命』の執筆要員にされかかり、…

『白夜』の伊藤整

渡辺淳一の自伝小説『白夜』は、最後のほうになって小説を書き始めると、何人かの作家・文学者が仮名で出てくる。渡辺自身が「高村伸夫」だが、これは例外らしく、ほかはみな、姓を一字だけ変えたものになっている。 だいたい推測がつくが、 ・中島‐生島治郎…

邦訳はあるぞ

(最初ここに書いておいたのはデュマ父の『93年のドラマ』のことであることが分かったので削除) 邦訳があるかないかがすぐ分かるようになったのも、NDL−OPACが戦前まで遡った2004年頃以降のことで、それ以前に私はてっきり邦訳はないと思ってキング…