同調圧力の思い出

中学生の時、冬に同級生の誘いでYMCAのキャンプに参加したことが一度だけある。もっぱらスキーをやるのだが、見知らぬ四人くらいと同級生とで同室になり、いろいろもめた。飯の時は大食堂に集まって「ごーはんだごはんーだー、さーあ食ーべーよー」と歌うのである。
 二日間スキーの講習を受けて、三日目は別のことをするはずだったのが、スキーに夢中になった連中が、三日目もスキーをやりたいと署名運動をして回った。私らの部屋へもやってきたが、別に私はスキーをやりたくもなかったので、署名しなかった。すると、食事どきにそいつらは、署名の成果を報告し、結局三日目もスキーをすることになったのだが、その報告の時にそいつが「反対したのは×室の小谷野君だけでした」とつけ加えたのである。実にいやな気分だった。同調圧力の暴力というのを感じた。キリスト教が嫌いなのは、そのせいだろうか。

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シリカ電球の製造が中止になったのだが、LEN電球というのが、うちのマンションの廊下の天井灯に適合していない。もっともこれはパナソニックだけらしいのだが、浜田山には電気店が一つしかなく、そこはパナソニックである。
 で、どうしたらいいのかとマンション管理会社に訊いたら、「レフ電球」なら入ると言う。そこでその電気店へ行って見たら、確かに入りそうだ。だが店主は、これは真下しか照らさないと言う。
 そこで、省エネのためシリカ電球の製造中止を推進した経済産業省に電話したら、「消費者相談室」か何かにつながれて、「責任をとってほしい」と言ったのだが、まったく要領を得ない。「震災以後省エネの必要が」と言うから、震災と省エネと何の関係があるのかと言ったら、いったん「待ち」にされて、相変わらずもごもご言っている。この女、「わたくしどもではお答えいたしかねます」「ご理解ください」の繰り返しで、「官僚ってのはそういうもんだ」と罵倒してやった。
 だがパナソニックも変で、東芝のような電球をなんで作らないのかと言ったら、技術的な問題だという。パナソニックの技術は東芝に劣るのかね。へえ。
 そういえば駒場図書館へ行くと、エレベーターの上下ボタンが上から紙で封鎖されていて、「省エネと健康増進のためなるべく階段をご利用ください」と書いてある。だがみな、下の身障者用のボタンを使っているのだからバカげた話である。