2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

里見トンの『荊棘の冠』は実家へやってしまったので、図書館で講談社文芸文庫を見ようと「荊棘の冠」で検索すると、出ない。ないはずはないので「の冠」「里見」で検索したら出た。つまりタイトルが「荊棘(いばら)の冠」になっているから。私だから検索で…

著書訂正: 『文学賞の光と影』 p 233 「更正」→「更生」

谷崎恵美子の見合い

十川信介先生からお葉書。芥川の言う「新生」はやっぱり藤村で、ルソーの『懺悔』のあとに、藤村が「懺悔」をした『新生』が来るのだろうと言われる。 だがあれは「嘘」という総題で、ルソーに「英雄的な嘘」が多い、ときて、それから『新生』で「老獪な偽善…

呉智英さんの新刊『真実の「名古屋論」』を読んだら、浅井得一の『愛知県人と名古屋人』という本がこきおろされていたのだが、この浅井というのは、京大大東亜地政学の一派で、戦時中ビルマで陸軍司政官をしていて、バー・モウを暗殺しようとした人だろう。…

著書訂正: 『「昔はワルだったと自慢するバカ』 150p「士農工商という言葉は明治期に作られたようだが」→「士農工商というのが序列と見なされるようになったのは明治期のことだが」(徳川期の「士農工商」は単に四身分を現すだけ)

ホントに14か?

坪内祐三の文章で知った『戦後作家の履歴』(至文堂、1973)を入手した。戦後作家名鑑だが、これがまたホラー本である。全員写真つきなので、これまで顔を知らなかった作家の顔も分かる。しかしその写真がまた妙なのだ。若いのはともかく、たいてい、なんか…

坪内祐三と粕谷一希

坪内祐三は、『東京人』の編集者だった。都市出版という、中央公論社を辞めた粕谷一希が興した会社である。だが、坪内と粕谷の関係は、今ひとつ分からなかった。『en-taxi』に坪内が、辞めた経緯について書いている。一言でいえば粕谷のワンマン経営で、人を…

栗原さんのおかげで、『美術手帖』の1958年7月号に耕治人の小説「案内状」が載っているのが分かった。恐らく、全集未収録であろう。中身は、絵を描いていた件の周辺で、さしたることはなかったが。 - 私が小学生のころ、小学館から出ていた『なぜなに理科の…

富野由悠季の自伝『だから僕は…』(増補改訂版)を初めて読んだのだが、最初の方(40p)に、本当のことなんか言ったら仕事からスポイルされるかもしれない、と書いてある。どう考えても、干される、の意味で、それならパージとかで、スポイルにそういう意味…

島弘之(1956-)が死んだようだ。ツイッターで書いてもほとんど反響がなく、忘れられた人になっていたようだ。実際、今世紀に入ってからは、文藝詩のみならず学術論文すら書いていなかったのだからしょうがない。一人暮らしで、八月ころ死んで、大学へ出てこ…

時間差

私は2009年から名前の読みを「とん」にして、このたびもとに戻したのだが、今ごろ「とんだったのか」などとブログに書いている人がいる。その昔、荒俣宏が杉浦日向子と結婚して一年ほどで別れたころ、地方の大学教授が荒俣の話をして「なんだか最近きれいな…

奇妙なアマゾンレビュー

といっても私の本の、ではない。小澤浩(1937年- )という宗教学者の『ザ学長』という本である。おざわ、と読まれそうだが、これでこざわと読む。恐らく何度も「おざわ」と読まれてきただろうと思うと、「おやの」だの「おのや」だのと言われてきた身として…

ナディアのオープニング

私は『ふしぎの海のナディア』が好きなのだが、どうも『ふしぎな島のフローネ』があるので、「な」か「の」か分からなくなる。(間違えていたので直した) しかしストーリー的にはかなりひどい。めちゃめちゃで面白いならいいのだが、中だるみが激しい。単に…

三木竹二の妻

http://d.hatena.ne.jp/jyunku/20070308 ここに出てくる近松秋江の「再婚」(大正四年)が、中央公論社の『日本の文学 田山花袋・近松秋江・岩野泡鳴」に入っているのだが、実は鴎外の「本家分家」が、秋江の「再婚」への反駁として書かれたということを明ら…

「金鶴泳」の読み方・その2

『金鶴泳作品集成』が、奥付で著者名に「きんかくえい」とルビを振っているのに、国会図書館で「キムハギョンサクヒンシュウセイ」としている件、返事は、 当館の運用といたしまして、 タイトルの読みにつきまして、 「書誌作成対象資料から判明した読み」よ…

天皇と同和

自由同和会という保守系の団体があることを私は知らなかったのだが、橋下について『週刊朝日』に抗議した文書に、「身分制を肯定し」とあったからおやおやと驚いた。橋下は天皇制というれっきとした身分制を肯定する人ではないのか。 それで自由同和会にメー…

牧野陽子さんの受賞を祝う。

比較文学の先輩である牧野陽子さんが角川源義賞文学部門を受賞した。これは二冊目の著作で牧野さんの博士論文でもある、ラフカディオ・ハーン論である。牧野さんとは、もしかしたら大勢のパーティなどで一緒だったことがあるかもしれないのだが、ちゃんとお…

「金鶴泳」の読み方

1985年に自殺した作家・金鶴泳を私は「きんかくえい」と読んできたが、先日、国会図書館で「キム・ハギョン」になっているのに気付いた。「直木賞のすべて」でもそうなっている。自殺した時の新聞記事は「きんかくえい」だった。いったいいつ変ったのかと思…

宮崎哲弥の夫婦同姓論

『週刊文春』の宮崎哲弥の連載「時事放弾」は、なんだか懸命に橋下の話題を避けているようなのだが、今回は夫婦別姓論についてである。伊達蝶江子(ちえこ、生年不詳)の『女姓婚のススメ』(メディアファクトリー、2011)を紹介している。宮崎哲弥は旧姓名…