2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/what's%20new/2011/koyano427.pdf 結局、「最後」にはならなかったようだ。なお「詭弁」のところは、まったく訂正の必要を認めない。これは、鈴木氏が筆が滑ったのだと考えるほかない。(鈴木氏はこれまでのやりとりを移…

弁護士について

「こういうケースは、裁判にするとどうなるのか」という疑問については、仁鶴の番組も延々やっているし、実用書とか研究書もたくさん出ている。ということは、勝てない裁判は起こさない、ということになるが、それでも起こる。勝てなくても戦いたいとか、輿…

宇野千代の『生きていく私』という私小説を読んでいたら、最後の夫だった北原武夫が、宇野と別れて別の女と結婚した後で、27歳くらいの女と三年間の情事があって、それを「霧雨」という小説に書いた、とあったので、私はその『霧雨』という講談社から出てい…

日本では国立大学が偉い。しかし西洋ではそうではない。米国の有力大学はみな私立である。国立というのはなくて州立大学はあって、カナダではブリティッシュ・コロンビアもトロントも州立である。英国も、オックスフォードやケンブリッジは私立である。ロン…

丸谷才一と徴兵忌避

丸谷才一(一九二五‐ )が「徴兵忌避」にこだわる人であることは知られている。既に四十一歳になった時に書き下ろされた長編『笹まくら』(一九六六、河出文化賞)は、某大学の職員である浜田庄吉という男が、かつての戦争のさなか、五年間にわたり、名を変…

保坂和志の怒り

『ちくま』5月号の保坂和志の連載で、15年前というから1996年、芥川賞作家というので講演をした後の宴席で文部省の役人が、「私はミステリーは読むが純文学は読まない。中でも××××さんが好きで、会った時にファンですと言ったら、文部省のお役人が私の本など…

http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/index.html これで最後になるらしい。私がまた書き返すと最後にならないかもしれないのだが、やはりおかしいので書いておく。 私が片山杜秀の書評について言っているのは「日本の文学部はおかしい」というところである。…

新刊です

名前とは何か なぜ羽柴筑前守は筑前と関係がないのか作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 青土社発売日: 2011/03/25メディア: 単行本 クリック: 54回この商品を含むブログ (10件) を見る なお徳川秀忠の幼名を「竹千代」としているが、福田千鶴先生によると「長…

http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2010/09/20100926ddm015070003000c.html これが読んだ時から気になっているのだが、最後のほうの意味がつかめない。ナボコフは、チェルヌイシェフスキーの伝記を書いているロシヤ人を描いて、『賜物』の…

http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/index.html 片山杜秀の書評が見当違いであると鈴木氏が思っていることが分かったが、私のブログなどより読売新聞のほうがずっと読まれているわけで、あれを読んだ人のうち「おかしなことを言っている」と思った人は多いは…

チケットの払い戻し

演劇などのチケットをいったん買うと、買った側の都合でキャンセルはできない。どこかに書いたような気がするが、私は大学四年の頃、池袋西武のセゾンへ行ってよく切符を買っていた。だからセゾンカードは持っていた。ある日、『キャッツ』のチケットを払い…

ガンバの冒険

出崎統が死んだが、ニュースでは「あしたのジョー」が挙げられていた。しかし、出崎といったらまず「ガンバの冒険」である。私は初回放送の時は観なかったから再放送で観たが、まあだいたい ノロイの声が怖くないということで話は盛り上がるのである。毎回最…

鈴木貞美『「日本文学」の成立』の冒頭にあるのは、こんな文章である。 本書は、「日本文学史」などに用いられる「日本文学」という概念が明治期にはじめて成立したこと、それが国際的に実にユニークな「人文学」であることを明らかにする。ヨーロッパやアメ…

ヨコタ村上『金髪神話の研究』、私は読んでいないが、アマゾンレビューより。 例えば、第十三章「ロシアのブロンド女たち」の書き出しは以下の通りです。 「今日の日本人(男性)にとっての『金髪女性』は、まず誰よりもロシアン・パブで働くロシア人女性の…

続きである。鈴木氏の挙げたカントの定義だが、そもそも何が藝術で何がそうでないかといったことは、定義できるものではない。それは、時代によって変わるし、人によっても変わる。 鈴木氏の仮想敵は柄谷らしいが、柄谷『日本近代文学の起原』は私も『評論家…

昨日の続きだが、直木賞規定に「大衆文藝」とあるのに、芥川賞規定には「純文藝」ではなく「創作」とある点について、「直木賞のすべて」のPLBさんにお尋ねしたところ、以下のような返答があった。 芥川賞規定に「純文藝」と書いていない(「創作」と書い…

(後記:鈴木貞美氏の文章が別にまとめられてリンク切れになっているので、トップページを掲げておく) http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/index.html 鈴木貞美氏の新しい文章である。読んでいないのに書いたのはなぜか、ということは説明したが、というの…

『週刊朝日』の「坂の上の雲」シリーズに大阪市大名誉教授の日本史学者・毛利敏彦が登場して、征韓論に関する自説を述べ、毛利説は大きな影響を与えて「征韓論」は「遣韓論」と呼ばれることになった、などと書いてある。 毛利の説は、『明治六年政変の研究』…

本年度より立教大学文学研究科特任教授となった笙野頼子が、ウェブちくま上で三回にわたって私の『現代文学論争』にいちゃもんをつけている。これは別に一方的なものではなく、私もウェブちくまに三回書く場を与えられたのだが、それは書かないことにした。…

支倉常長をめぐる奇妙な論争

田中英道の本を読んでいて、支倉常長について論争があることを知った。いや、ちらりと耳にしたことはあったのだが、別に興味がないので放っておいた。 支倉常長といえば、江戸初期に、伊達政宗の命でローマへ派遣された人物として有名である。私は観ていなか…

小野十三郎「黄金虫」

(前略) 息がつまりそうな退屈な自然のどこかに 何千年か昔に 邪馬台国という国があったそうだ。 (略) 邪馬台は畿内ではなく 北九州だという説もある。 失明の悲運に会いながら 一生をかけてその場所を探しているひともいる。 しかし、そうして探そうとし…

田中英道『日本と西洋の対話』

田中英道『日本と西洋の対話‐一文化史家のたたかい』(講談社出版サービスセンター)というのを図書館で借りだしてぱらぱらと読んだ。この美術史学者・東北大名誉教授にして、「あたらしい歴史教科書をつくる会」の会長だった人はノーマークだったが、学界の…

『レベッカ』の末路

ダフネ・デュ=モーリアの長編小説『レベッカ』は、ヒチコックによる映画で知られるが、これは製作が1940年、日本公開は1951年である。既に1939年に大久保康雄の翻訳が三笠書房から出ている。その後「鳥」の原作者でもあるデュ=モーリアの作品は多数翻訳さ…

中学校の同窓会

五、六年前のことか、中学校の同窓会があったが、私は行かなかった。大学時代にいっぺん行ったがそれきりである。何しろ田舎の公立中学であるから、もう悲惨なことになるのは分かり切っている。阪大を辞めた当時ならまだ良かったが、その後となるともう色ん…

http://www.cyzo.com/mt/mt-search.fcgi?blog_id=13&tag=%E8%8B%A6%E5%BD%B9%E5%88%97%E8%BB%8A&limit=7&IncludeBlogs=13 なんかこの記事に私の名前が出てくるらしいので『サイゾー』を立ち読みしてきた。芥川賞受賞二作のうち、古いのはヌーヴォーロマンの…

http://miura.k-server.org/newpage1119.htm 気になったのだが、三浦淳先生が東浩紀と宮台真司の対談本をくさして、上野千鶴子同様、自分に都合のいいことを言っているだけ、というのはいいとして、東は社会学者ではないし、宮台とか上野というのはまともな…

2010年度小谷野賞は『江の生涯』に

福田千鶴先生はかねて尊敬する歴史学者だが、『江の生涯』(中公新書)はどうせ大河ドラマ便乗本だろうと思っていたら、配役宝典ののよりんさんが、なかなか刺激的な内容だというので読んでみたが、これは凄い名著であると思った。2010年度の小谷野賞って、…