2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧
日本国憲法で「職業選択の自由」が保証されている、というが、まさかこれを、指揮者になりたい、と思ったら国家が援助して指揮者にする、ということだと思っている人はいないだろう。これは単に、国家ないし他人が、国民に職業を強要してはいけない、という…
1956年3月17日、奥野健男『太宰治論』の出版記念会に出席した三島由紀夫(31)は、初めて北杜夫(29)に会う。北は「三島さんは『てふど』と書くが、『ちやうど』とすべきだ。ちゃんと辞書くらい引いてください」と言う。怒った三島は夜中の二時に奥野に電…
たいてい泉鏡花賞は十月の半ばから20日より前に決まるのだが、今年は妙に遅かった。 ついこないだ、誰かが、文学賞の中で信頼できるのは鏡花賞、と言ったのに賛同したところだが、どうもこの数年、変である。瀬戸内寂聴である。文化勲章をとってから一般文学…
『週刊読書人』に、西舘好子の『表裏井上ひさし協奏曲』の書評が載っていた。筆者は脇地炯という人で、1940年9月13日生、和歌山県生まれ。北大農学部卒、東邦大学薬学部教授を務め、文藝評論家として著書二冊。どういう立場の人か分からんが、『正論』に随筆…
日本人ははっきりものを言わないとか、以心伝心だとか、わびだとかさびだとかいうのだが、それと対照させて、西洋人ははっきりものを言うとか、果ては上司や教師といった目上の人にもはっきりものを言うとかいうことになると、もう完全に勘違いであり幻想で…
清水基吉の酒乱懺悔で思い出した。南條竹則『酒乱』じゃない『酒仙』新潮文庫版(1996)の解説は、こんな文章だ。 古今東西、酒についての名言珍言あまたある中で、江戸は文化年間に式亭三馬が著した『酩酊(なまえい)気質』『一盃綺言』は凄まじく、悪たい…
丸谷才一先生のある文章は、掲載誌は分かるのだが単行本に入っているのかどうか分からないので、『男ごころ』というのにあるかなと思って図書館で借りたら、なかった。しかし、借りてきた。 それでぱらぱら見ていた。するとこんな文章があった。 わたしたち…
谷崎潤一郎が『春琴抄』を出した時、川端康成は文藝時評でこれを絶賛しつつ、春琴が小鳥を飼っている、そこのところがおかしく、谷崎は小鳥を飼っていないだろう、と評した。川端は「禽獣」を見ても分かるが、犬だの鳥だのたくさん飼っていたのである。 私は…
国家公務員というのは国家の一部である。したがって「人権」はない。ただしこの場合の「人権」は、対国家における国民の権利のことである。もちろん皇族には基本的人権はない。 では公務員は「私人」たりうるのか。私の認識では、公務員は一年三六五日、一日…
高見順の日記、昭和22年1月2日。 鎌倉文庫では、例年1月1日に社長の久米宅、2日に重役の川端康成宅で新年会をやる。 私も大分飲んだ。飲むと癇が立つ。中山義秀君が××××を連れてやってきた。この××君には昨日から腹が立っていた。昨日から――いや、ずっと前か…
椎名亮輔氏が吉田秀和賞をとったらしい。『デオダ・ド・セヴラック』という、私など聞いたこともなかった作曲家の伝記で。椎名さんは大学院の先輩で佐伯順子さんの一つ上、今は同志社女子大教授である。 私は大学院へ入って無謀にも渡辺守章先生を指導教官に…
谷崎潤一郎が購入し、志賀直哉に譲られた後、行方が分からなくなっていた平安時代の作とみられる木造観音菩薩像(高さ約95センチ)が、早稲田大会津八一記念博物館(東京都新宿区)に保管されていたことが分かり、相愛大の呉谷充利教授らが20日、奈良市…
高見順日記昭和18年11月21日、徳田秋聲の告別式 小説部会(文学報国会)の代表として××××、女流の代表として○○○○が弔詞をよんだが、二人とも通俗作家、これはぜひとも秋聲先生と同じ純文学の作家にしたかった。○○○○などというものが、いい気になって、のさば…
コンビニで老人がライターを買いあぐねていた。子供が発火させないように、普通に押したのでは火がつかないようなライターしか売ってはいけないことになったのだが、これは老人にはきついことだ。このようなことは阿呆らしいことで、自宅に子供がいないこと…
大場建治の『英国俳優物語 エドマンド・キーン伝』(晶文社、1984)を読んだが面白かった。その後、フィッツサイモンズの『エドマンド・キーン伝』の邦訳も出ているが、これは見ていない。 シェイクスピアに関する著作は山ほどあるが、それ以後の英国演劇に…
八木書店が生原稿を刊行しているが、研究者にとって生原稿というのは、さして重要なものではない。生原稿を調べて論文を書く人もいるが、大したものにはならない。未発表の書簡や日記のほうがよっぽどありがたい。
東西出版社『旬刊ニュース 傑作小説特集』第四号新年増大号「新作日米恋愛小説集」久米正雄責任編集。1948年1月に「死よりも弱し」を発表。 のち『新大衆小説全集 第1巻 久米正雄篇』(1949)に入った「死よりも強し」の初出と思われる。ただ「弱し」と「強…
私が高校生の時、東大卒で、珍しく生徒から信頼されていた倫理の教師が、左翼だったのだが、ある時戦争礼賛詩を読み上げると、「これを書いたのは誰だと思いますか。三好達治です」と力強く言った。 それは要するに、三好達治のような偉い詩人まで、こんな詩…
こないだのノイエホイエの脅しについて、イナゴがこんなことを書いていた。 bogus-simotukare 弁護士と相談して麻布警察署へ行った、と言い出し、24時間以内に謝罪しないと、告訴状か被害届を出すと言い出した。/それっていつも猫猫先生がやってることでは…
さて、市川猿之助が二代目猿翁を襲名、亀治郎が四代目猿之助襲名、驚くべし香川照之が九代目中車襲名というニュースが日本中をかけめぐりました。かつて九代目市川團十郎の養子が、28歳で歌舞伎入りした例はありますが、45歳での歌舞伎入りは、前代未聞? の…
http://koushikai646.blog89.fc2.com/blog-entry-36.html 「会員」とあるが、いったいこの弘志会とは何ぞや、と思って検索したがどうも分からない。ブログの過去記事を見て行くと、どうも右翼団体のように思える。右翼といっても街宣右翼じゃなくて『正論』…
禁煙ファシズム以降、いったんは外の長椅子で喫煙できたのに、今やそこも禁煙となり、喫煙者は片隅へ追いやられているから行かないことにしている国立劇場だが、馬琴の『開巻驚喜侠客伝』が原作の、ほぼ新作だというので行ってきた。 『侠客伝』は岩波の新大…
先日「歴史小説主人公別一覧」をアップしたあと、猫塾メルアド宛に「・・・・・」という人からメールが来て、「私の本を取り上げてくださってありがとうございました。ついてはもう一冊も送りたいので住所を教えてください」という。はじめ何のことだか分か…
こないだとりあげたノイエホイエとかいう匿名野郎、想像以上のヤクザもんだった。何かどこぞの若者が、血気にはやってノイエに会い、凄まれて逃げ出し、ツイッターでさんざん謝罪。その後また悔しくなったのかあれこれと難癖をつけた。これはまあこの若者が…