2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

著書訂正 『昔はバカだったと自慢する…いや違った、 『昔はワルだったと自慢するバカ』 39p、『憂い顔の騎士』→『憂い顔の童子』 憂い顔の騎士はドン・キホーテだ。

ちくま学芸文庫の『乳房論』を読んでいたら、まあいい翻訳なのだが、ソジャナー・トゥルースという黒人女性の話で引っかかった。これは1858年インディアナ州で黒人奴隷解放運動家の黒人女性が話をしていたら、「奴隷制支持者の一群が彼女の性的アイデンティ…

あまり裕福でない家の子が大学へ入ると、親は入学金と授業料だけ払えばいいと思う。しかし実際は、学問というのはカネがかかるもので、教科書代はもとより、辞書とか参考書を買うのにカネがかかる。 だがしばしば、Bランク以下の大学生は、高校で学んだこと…

ジョルジュ・サンド『彼女と彼』(川崎竹一訳、岩波文庫、1950)209p、 「あの人が来れなかった」ら抜きの古い例。 - 素人はしばしば、小説の冒頭だけを読んで「すばらしい!」と言う。作家のハッタリとこけおどしに出会うからだ。批評家はしばしば、小説の…

なぜロジャーにもっと訊かなかったのか

アガサ・クリスティーの『なぜエヴァンズに頼まなかったのか』の1980年製作のドラマを当時NHKで放送したのを観たのを、30年ぶりに観た。面白かったのだが字幕に誤訳があったのはともかく、筋に疑問が生じた。これは始め写真のすり替えがあるのだが、半ば…

これは前にどっかに書いた気がするんだが、阪大にいた96年ころ、やや年下の女性同僚の室にいたら、来客があった。ドアの前についたてがあるから、私の姿は見えないのだが、来たのは男子学生らしくて、彼女が出ていくと旧知の学生らしく、「あらいらっしゃい…

二度目の返事が来た。今度は社長名もついている。しかし佐藤眞については明らかに事実を隠蔽しきっているので、さらに質問書を出した。これは公開する。 鬼木真人殿 本日二通目の配達証明便を受け取りました。社としての謝罪は了解しました。 しかし、前便で…

純文学について

『小説トリッパー』に載っていた松浦寿輝と川上弘美の対談を読んでいて、いよいよ純文学も胸突き八丁へ来たなあと思った。川上の新聞連載であるファンタジー『七夜物語』と、松浦のネズミ物語『川の光』をめぐるものだが、これはどちらもファンタジー、ある…

『21世紀の落語入門』のアマゾンレビューは、どうも生で今の落語家を聴け至上主義の連中に荒らされているが、だいたいアマゾンレビューは近年気違い度が高くなっている。 まあそれはそうと、今見つけたやつ。 この本では初代金原亭馬の助を名人に入れていた…

集英社インターナショナルに説明を求める内容証明を送って二週間、返事らしいものが来たが、これが取締役の鬼木からである。どこにも、鬼木が代表権を持つとか、代表権者が代理人として鬼木を指定したという署名の類がない。これでは、内容証明の相手方たる…

水村美苗『本格小説』

水村美苗の小説がまた売れているそうであるが、この人は小説を書くと必ず何か賞をとる恐ろしい人なので、今度は谷崎賞をとるのだろうか。(後記・大佛次郎賞をとった) さて私は前の『本格小説』(読売文学賞)を読んでいなかったので、読み始めた。文庫版で…

清紫両殿

- 松平定信の『宇下人言』を読んでいたら「清紫両殿」という語が出てきた。京の御所再建の話で、清涼殿と紫宸殿のことなのだが、なんでこれが「清紫二女」つまり清少納言と紫式部と同じなのかと不思議に思って調べてみたが、「清紫二女」は17世紀、小野通女…

「凝った翻訳」の問題 

柴田天馬訳『聊斎志異』がちくま学芸文庫で出たが、私はこの有名な柴田訳を、はじめ『ザ・聊斎志異』って一巻本で買って、あまりに字が小さくて読みづらいので、改めて角川文庫全四冊を古本で買ったが、いざ腰を据えて読み始めると、スラスラとは読めないの…

日経新聞の短評

(6月23日記) 『日経新聞』この日の読書欄に『21世紀の落語入門』の短評があるのを今日見てきた。上のほうにある竹下節子さんの美貌を拝んだ記憶はあるから見落としたのだ。 「(大意)落語は目で見る耳で聴くといった楽しみ方があるが、著者は頭で楽しむ…

大塚楠緒子「空薫」について

(活字化のため削除)Sensation Novel (Writers and Their Work)作者: Lyn Pykett,Isobel Armstrong出版社/メーカー: Northcote House Pub Ltd発売日: 1996/09/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る落語を聴かなくても人生は生きら…

「鰍沢」成立の謎

「鰍沢」が河竹黙阿弥作ではないかという説であるが、小島(おじま)佐江子「『鰍沢』成立考-円朝と黙阿弥」(『語文』日本大学、1997年)を入手した。 「鰍沢二席目」という続編があってこれが黙阿弥作とも言われている。さて小島が持ち出したのは「鰍沢」…

トクヴィルは困る

トクヴィルの『アメリカの民主政治』というのは、私が若いころ西部先生が盛んに論及していて、民主主義というのがいかに腐敗堕落をもたらすかということが書いてある、と言っていたのだが、いざ講談社学術文庫の井伊玄太郎の訳を読んだら、難しくてつまらな…

本の作り方

なんで間違いのない本を作れないかということである。 一般的な商業出版物だと、時間をかけることができないのである。仮に私がしめきりないし刊行予定の半年前に原稿を渡しても、すぐに校正刷りにはしてくれない。してくれるのは刊行の二か月前くらいで、そ…

資料を捨てるわけにいかないわけ

文庫版になった由良君美先生の『みみずく偏書記』を図書館で借りてちら見したら、友人が、本や論文を書くのに、古本屋へ行って関係ありそうな本をどさどさ買い込み、書き終わるとどさっと捨ててしまうとあった。大笹吉雄先生も、『日本現代演劇史』は、書い…

2011年度小谷野賞

2011年度小谷野敦賞は、 井上理津子『さいごの色町飛田』(筑摩書房)を「奨励賞」として授与することに決定しました。小谷野賞は私が勝手に決めて、賞金も授与式も、著者への連絡もない賞ですが、 ・ほかの賞をとったものには授与しない。 ・知人の著作には…

工藤真葛について

『週刊新潮』の掲示板で、作家の竹田真砂子氏が、只野真葛についての小説を準備をしているので、真葛に関する資料を持っている方はいないかと書いている。すでに真葛については大著も出ているし、別に私は新資料を持ってはいない。しかし気になるのは「只野…