2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧
その昔、文筆家が誰かについて何かを書いて、書かれたほうが迷惑に思ったりすると、しばしば「相手は反論もできない一般人だ」などと言われたものだが、こういうのは要するに、正義の面をかぶっているだけであることが多い。いちばん笑止だったのは、臼井吉…
ヒルティの『幸福論』『眠られぬ夜のために』は草間平作が岩波文庫に訳して版を重ねているが、この草間平作がどういう人か、ほとんど知られていない。草間は小説も書いており、唯一の著書である創作集『夢と燕』には、草間自身による、驚くべき生涯が描かれ…
十数年前に柳田邦男の『犠牲』を読み、私も神経症で苦しんだことがあるからある種の共感をもって、朝日新聞で『『犠牲』への手紙』を紹介したことがある。 当時、勢古浩爾さんもこれに触れていて、これを茶化した大月隆寛は情けない、と書いていた。どこで茶…
http://www.asahi.com/national/update/0324/OSK201003240123.html 10年前に大学院生だった女性に対し不適切な行為があったとして、大阪大は24日、50代の男性准教授を停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。 阪大によると、准教授は2000年5月、…
かつて、大学相撲で凄い成績をあげた力士が大相撲入りすると、その時点で大騒ぎした時代というのがあった。 大学出身で初めて大関になったのが、時津風理事長だった東京農業大学の豊山である。しかし、同じ大学を出て時津風部屋に入り、豊山の名を継いだ今の…
ノーベル賞作家クッツェーの『サマータイム』という2008年の長編は、ジョン・クッツェーという、死んでしまった作家について伝記を書こうとしているライターが、クッツェーと関係のあった女たちにインタビューしていくという、五人の女たちへのインタビュー…
確かに、日本のアマゾンレビューは特異である。他国では、レビューに対する総投票数のうち肯定的投票のパーセンテージによってレビュアー順位を決めている。もっともこれでは、一つしかレビューしていなくても100%になることがあるから、一定数を超えた人に…
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news008198.html 佐伯さんの連載を読んでいると、この人は勉強していないなー、というのが分かる。まあ新聞だから、堅苦しい話はなるべくなしでと言われたのだろうが、それをさっぴいても、テレビの話が多い。 土居健郎…
オタどんに教えられて、書店へ行ったら、まだ先月3月号の『本の雑誌』があったので、絲山秋子+豊崎由美の対談を読んだら、おお私の名前が出てくる。 絲山氏が、私がアマゾンのレビューで石川淳の『紫苑物語』に「誹謗中傷」めいたことを書いている、と口火…
宮本常一がいつの間にかけっこう文庫化されていて人気があるらしいのを知った。佐野眞一の『旅する巨人』の影響もあるのだろう。 宮本は、1980年代に再評価され始めたという。私が宮本の名を知ったのは、確か1979年に伊丹十三が朝日新聞で「私の日本地図」全…
海音寺潮五郎の『平将門』では、将門の幼いころからの友であった従弟の貞盛は、将門が源護の館を攻撃した際、父の国香がそこにいて死んでしまったが、将門の罪ではないと見て仇討をしようとは考えないが、これは真山青果の戯曲と同じ筋立てだ。海音寺のほう…
『ロートレック荘事件』のアマゾンレビューで、今まで読んだ中でいちばん面白かった推理小説、と書いたら、kokada jnetさんから、あれは叙述トリックで先行作が、と言われた。確かに私も、あまり絶賛されることがないし、推理もの好きからしたら、どうってこ…
川西政明『新・日本文壇史』一巻「漱石の死」は、谷崎‐佐藤の妻譲渡事件を扱っているが、巻末の参考文献に私の谷崎伝がない。代わりに野村尚吾の古い『伝記 谷崎潤一郎』があがっている。西原大輔くんの本もある。まあ考えれば瀬戸内寂聴の『つれなかりせば…
岸本葉子さんのお母上は下田信(のぶ、1925-97)、佐賀県武雄の医師の末子として生まれ、姉一人、兄四人がいたが、胎内にある時に父が死んだため祖母に育てられた、と『読む少女』にあるが、はて母は死んだわけではないはずだが、もしや夫が死んだため実家へ…
もてない男訳 浮雲作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/02/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見る訂正: 57p「新内」「清元」はいずれも浄瑠璃の一派なので表現がおかしい。「浄瑠璃」とあるの…
今日は元大関前の山、千田川親方の65歳の誕生日で、即日退職なので、何かあるかなと思っていたら、出ました、北桜の引退。北桜は小野川に、小野川だった【火華】司は千田川に。まあ玉突き引退としては軽いほうだ。 しかし北桜は角界最古参ではないか? 魁皇…
乱歩賞作家・森雅裕が不遇に落ちていることは最近知ったのだが、小説業界の裏面を赤裸々につづったとされるエッセイ集『推理小説常習犯』(ベストセラーズ)と、新刊『高砂コンビニ奮闘記』を読んで、どうも首をひねった。 後者は、アマゾンレビューで高得点…
図書館へ新聞を見に行ったら、読売、日経、東京の三紙が、渡辺京二の『黒船前夜』をとりあげていた。 渡辺京二といえば、あの愚書『逝きし世の面影』で、これはそれに続く大著だという。私は『逝きし世…』がもろに「江戸幻想」本であり、史料の扱いも杜撰で…
岸本葉子さんが『がんから始まる』を出す直前のことだが、岸本さんのファンサイト「ドルフィンホテル」の掲示板で、このことについて書き込みがあり、ある人物が岸本さんにインタビューしたと言って書き込んだところ、まだ公表されていない病状について書く…
http://d.hatena.ne.jp/jyunku/ えらいことになった。 下田弘(1908−)は哲学者だが、まさかまだ生きているなんてことは。下田吉人は同姓同名の栄養学者がいるがこれはアルジェリア大使で、95年にはまだ生きていた。テルの夫は大野緑一郎(1887-1985)、春は…
童貞放浪記 [DVD]出版社/メーカー: グラッソ(GRASSOC)発売日: 2010/03/04メディア: DVD購入: 3人 クリック: 112回この商品を含むブログ (10件) を見る童貞放浪記より「神楽坂恵-決心」 [DVD]出版社/メーカー: SEIWA FILMS発売日: 2010/03/04メディア: DVD購…
レッシングの戯曲『賢人ナータン』を読んだ。これで古典制覇に一歩近づく。 レッシングといえば『ラオコーン』が有名だが、私はこれは東京から大阪へ向かう飛行機の中で読んでいて、頭上の荷物入れがガタガタいっていたのが恐ろしくて全然頭に入らなかった。…