2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧
川端康成が伊藤初代から突如ふられた「非常」の手紙について、初代が養父である僧に犯されたからだという説をなしている者があるのだが、それではそのあと初代から川端にきた「あなたを怨みます」という手紙がどういう意味なのかさっぱり分からないのである…
http://tsiraisi.hatenablog.com/entry/20161027/1477529972 小谷野敦の父は時計の職人さんで、おそらくその種の符丁が飛び交う場に生きていて、小谷野はそんな父を個人としては憎んで私小説を書くのに、落語を語るときには、落語家とシロウトの線引き・間合…
秘密を他人に押し付けてはいけない 一橋大学の法科大学院で、ゲイの学生(A氏とする)が、好きな男子(B氏とする)に告白したら振られ、一週間後にB氏が仲間内のラインで、これ以上お前がゲイであることを隠しておけない、と言い、A氏は大学などにクラス替え…
結城昌治の短編「夜が暗いように」というのを読んでいたら、主人公の探偵が竹ノ塚へ行く場面があった。「東部線と地下鉄が並行している駅前は商店街がにぎわい」と書いてある。だが竹ノ塚に地下鉄は通っていない。日比谷線が東武線へ乗り入れていて、「竹ノ…
『週刊文春』の「文庫本を狙え!」で坪内祐三が、中野三敏の『写楽』(中公文庫)を取り上げている。これは2007年に中公新書で出たものの文庫化である。 写楽については、戦後「別人説」が叢生し、1984年にはNHKで池田満寿夫が、その正体は歌舞伎役者の中…
私は若いころ、鴻上尚史のエッセイを愛読していた。『鴻上夕日堂の逆上』(もちろん『村上朝日堂』のもじり)とかである。面白かったのと、鴻上はフェミニズムの影響を受けていて、恋愛についての深い洞察に満ちているように思えたからだ。だが、その結果と…
初夏のこと、妻が「枡野書店」で、谷崎潤一郎読み放題企画の店主というのをやっていた。私は夕方ごろ、自転車で出かけたのだが、いくらか怪しい雲ゆきが、ぱらぱらっと驟雨になり、しかも上り坂で、私はほうほうのていで、道に迷いながら枡野書店へたどりつ…
川端康成詳細年譜作者: 小谷野敦,深澤晴美出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2016/08/31メディア: 大型本この商品を含むブログを見る1948年12月25日刊行の『私の伊豆』(弘文堂・アテネ文庫)が抜けていました。収録作品は、「伊豆序説」「伊豆温泉記」「伊…
妻に教えられて知ったのだが、マンディアルグの『薔薇の葬儀』には、イヨ、アオイ、ダイニ、イヌキという四人の日本人遊女が出てくる。94年にこれを訳した田中義廣は、イヨとアオイはともかく、ダイニとイヌキという名前をどこから思いついたか分からない、…
大学院生の頃だったか、実家の近くの古書店へ行ったら、文学青年崩れみたいな男が店主と話していて、男は、丸山健二って知ってますか、長野にいて・・・などと言い、尊敬しているみたいなことを言っていた。 丸山自身、芥川賞受賞の時の騒ぎにうんざりして、…