2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

大橋洋一の偽善

http://d.hatena.ne.jp/rento/20070726 その日暮しで何の夢も希望もなく家族もいない三十歳台の男性が、今後、満足のゆくかたちの職業と住居を手にいれることを、私は祈るしかないが、 この「三十歳台の男性」は、英文ならtheがつく、具体的な人を指している…

ベンヤミンなど

ベンヤミンの「複製技術時代の藝術」という評論は、なんでああ有名なのか。あれを読むと誰もが、ベンヤミンが「オーラが消えた」ことを肯定しているのか否定しているのか分からなくて悩むのだが、それ以前に、いったい本当にオーラは消えたのか。カラヤンに…

「対談集」が減る

その昔、1987年だったか、まだ「ニューアカデミズム」の残光が十分残っていた頃、上野千鶴子対談集『接近遭遇』という本が出た。すぐ買って読んで、おもしろかった。呉智英先生はこれを評して、上野が意外にいい人なのに驚く人もいるだろうが、私はもとから…

『西遊記』の孫悟空は猿、いや、猴かな? 猪八戒は豚、いや、猪かな? 孫悟空は斉天大聖、猪八戒は天蓬元帥というかっこいい別名がある。もう一人の沙悟浄は捲廉大将だ。私が大阪に赴任したての頃、夜中になるとテレビで、夏目雅子が玄奘三蔵をやる「西遊記…

谷崎潤一郎のように・・・

辰野とともに『シラノ・ド・ベルジュラック』を訳した、東大仏文科教授・鈴木信太郎の『記憶の蜃気楼』(講談社文芸文庫)に付せられた年譜を見ると、大正5年のところで、鈴木が東京帝大仏文科に入学し、「両親は、息子が法学部でなく、文学部に入ったときい…

ざまぁー見ろ、と辰野隆

出口裕弘の『辰野隆 日仏の円形劇場』も、谷崎伝を書くときに見落とした本だが、特に谷崎に関する新発見はない。それに、半分くらいは近代日仏関係史と著者の感懐で、あまり本格的辰野伝とはいえない。 ところで、真珠湾攻撃とマレー沖海戦の報を聞いて、辰…

太平洋戦争と水戸黄門

ああ、また北村薫先生が落選・・・。それなら候補にするなよと言いたいところだが、考えてみると、筒井康隆も『脱走と追跡のサンバ』みたいな名作が候補にならなかったり、候補を選ぶのも重要な仕事だよなあ。 - 「太平洋戦争」というのは、チリとボリビアの…

和辻哲郎の青春

勝部真長(みたけ)の『青春の和辻哲郎』を読んでいる。谷崎との交遊が中心なのだが、谷崎伝を書くとき、見忘れていたのだ(そういう本があることは知っていた。だって『遊女の文化史』と同じ月に同じ中公新書で出たんだもの)。もっとも、谷崎の文章や書簡…

やって来い!

私が高校生の頃、朝になると、体育教師数名が校門のところに立っていて、登校時間が過ぎそうになると門を閉めて、遅刻した生徒を集めて罰を与えていた。私は一時間半かけて通っていたから、時々遅刻した。 体育教師は、どこでもそうだが、バカで野蛮だ。うち…

東京都生まれ?

最近、人物略歴を見ていて、「東京都生まれ」と書いてあるのが、気になる。東京府が東京都になったのは、1943年、つまり戦争の最中だ。だから、それ以前に生まれた人は、東京府、あるいは東京市生まれである。なのに、それ以前生まれの人が「東京都生まれ」…

池内紀先生、ちょっと

ふとしたことから、池内紀先生の著作を調べて、あまりの多さに驚いた。特にこのところ、たてつづけに新書判を書いている。うーむ。 池内先生については、村上春樹をなんとなく褒めている文章にちょっとからんだことがあるくらいで、あと『ファウスト』の訳は…

ベルクソン

更新されました。 http://www.pipeclub-jpn.org/column/column_01_detail_06_04.html ジュリアン・バンダの『知識人の裏切り』を読んでいたら、ベルクソンが批判されていたので、そこがおもしろかった。バシュラールもそうなのだが、アラン・ソーカル事件よ…

宮台真司の不法行為

東大文学部図書室に、宮台真司が返却していない図書一覧・M.メルロー=ポンティ『知覚の現象学』みすず書房, 1967-1974 ・山本啓『ハーバマスの社会科学論』勁草書房, 1980 ・ユーリー・スチェパーノフ『記号論入門』勁草書房, 1997 ・川島武宜『日本人の法…

新潮文庫の絶版100冊の奇妙

青山光二『われらが風狂の師』を読んでいる。変人哲学者として有名なはずだが、ちゃんとした評伝のない土井虎賀寿(とらかず)をモデルにしたもので、青山自身が狂言回しの「菊岡」として出てくる。 土井については、おもしろいので別途活字にしようと思うが…

新聞の自業自得→自滅

大橋洋一先生が無事復帰されたようだ。ちゃんと読まずに何か言ってはいけないと、森見の小説を読もうと思うのだが、あの、アレがアレしてアレした文体がつらくて、二ページも進まない。誰か、「普通語訳森見登美彦」やってくれないかな。と思ったらはてなの…

越智治雄のことなど

越智治雄という、日本近代文学専門の東大教授がいた。駒場のほうである。当時、本郷には三好行雄がいて、二人で東大の近代文学を担うかたちだった。吉田精一が短期間いたほかは、当時東大には日本近代文学の教員はこの二人だけだったが、東大嫌いの谷沢永一…

どうせチャート式なら

とにかく、最近の学会発表は奇妙だ。レジュメに書いてあることをただ「ですます」体にして話すだけなら、レジュメ貰って帰るか、ざっと目を通して質問に移ったほうが時間の節約である。 それから、無意味にチャート式のレジュメ作った上、それをパワーポイン…

学歴「差別」?

「日東駒専」「大東亜帝国」が妙な波紋を呼んだようだが、「学歴差別」という言葉自体、おかしな言葉である。今の日本で、貧しくて上の学校へ行けなかったなどという人はあまりいないのだし、能力で人を区別するのは当然である。能力差別がいけないなら、試…

どうも怪しい

昨日の渡部伸だが、どうやらどこかの大学を出た後、慶応に学士入学して、八年前に卒業したらしい。まあ、学士入学なので、慶応に普通に入ったのとは違うのだが…。 それはそうと、気になったのは、彼が会長を務める全国童貞連合のサイトである。 http://www.c…

なぜ片仮名書きする?

前から気になっていたのだが、なぜ「モテない」と片仮名書きするのだろう。私は片仮名書きしたことはない。なっていたとしたら、文責・取材者である。どうも片仮名書きだと、嘲弄しているような、頭が悪いような印象を受ける。 さて、渡部伸の『中年童貞』を…

佐藤良明辞職

佐藤良明さんが『諸君!』で、東大辞職顛末を書いている。まあ、内容は予想どおりで、もちろん佐藤さんの言うとおり、むやみと大学院を作り、そこを出た院生の就職先のことなど考えていない大学教授連の罪は深い。人文系学問などは、そう多くの人間がやらな…