2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

中野重治と鴎外の遺言状

平川先生の『和魂洋才の系譜』に、鴎外の遺言状についての論があって、それが、鴎外を批判した中野重治への批判になっていて、中野が反論してきた。平川先生はそれに反論して、それを増補版に載せている。 そのことは知っていたのだが、実は私は中野の最初の…

明治以前の男の恋

「恋愛」は明治になって輸入されたという都市伝説はさんざん批判してきたが、徳川時代に男が恋することが美化されなかった、という面はある。 しかし黙阿弥の「縮屋新助」は「籠釣瓶」に先行する万延元年の作だが、ここで新助が芸者おみよに「情婦になってく…

http://miura.k-server.org/newpage1109.htm 新潟大三浦淳先生だが、「柄谷行人‐埴谷雄高‐コム・デ・ギャルソン論争」は書いてある。飛ばし読みして見落としたのかな。昨日メール出したのだが休み明けで忙しいのだろう。(返事来た) なお「条件つきで」とい…

http://www.pipeclub-jpn.org/column/column_01_detail_81.html (第二回)菅直人の返答希望。 - サルマン・ラシュディの『真夜中の子供たち』を読み始めて、なんだまたあれか、と思って少し読んだがやめてしまった。 こういう、三代か四代くらいの一族の歴…

中川右介『坂東玉三郎』

この本をようやく通読した。『団十郎と歌右衛門』の時から、中川氏は、老いて醜くなってなお歌舞伎界に君臨した歌右衛門を批判し続けており、ここでも歌右衛門は、歌舞伎座立女形の座を守り、玉三郎を歌舞伎座から排斥した(らしい)敵役を演じさせられてい…

「上から目線」って何?

まあどうせネット用語などというのは、各人ばらばらの定義で使っているのだろうが、「上から目線」というのをこないだ言われて、まるで意味が分からなかった。そいつは、私が「××」を読め、と言って、それで相手が読むと思うのが上から目線だと言うのである…

談志師匠の直言

なんか検索すると私の書いたのばかり出てくるので、原文を掲げておく。『en-taxi』9号(2005年3月)談志師匠、福田和也、談春の鼎談である。 家元 だけど野田秀樹の「研辰の討たれ」は、おもしろくなかったなあ。あれは仇討ちの話でしょう。勘九郎主演だから…

萩原孝雄氏との対話

もう二週間くらい前から、米国ケース・ウェスタン・リザーヴ大学教授萩原孝雄氏とメールをしている。萩原氏は鶴田欣也先生の教え子であるが、このままでは日本はシナの属国になる、と言っている。私は、シナ、北朝鮮の現状では、日本の核武装もやむなしと思…

ヨーク軍曹

先日、西洋では良心的徴兵忌避者は英雄扱いされるのに、日本では非国民扱いされる、などと言っていた者があったので、そんなヴェトナム戦争以後のことと第二次大戦当時のことをまぜこぜにしてはいかんと言ったら「ヨーク軍曹は」と言う別の人があったので、…

私の著作に触れて「純文学の必要十分条件とは何か」と書かれたブログがあった。ちょっと面白いと思って考えたのだが、十分条件は「私小説」であることである。しかし、必要条件は難しい。純文学でないことの必要条件なら、あるような気がするのだが、難しい…

ベルリン忠臣蔵

原題をDer Sommers des Samurai という、ハンス・ブルーメンベルク監督の1987年の作を観たのだが、まあ例によって勘違い日本文化映画なのだが、今ひとつ笑いどころが足りなかった。現代ドイツのハンブルクで連続強盗事件が起きて、現場には「近松」「赤埴」…

福田和也といえば、90年代に、確か四谷ラウンドから出ていた座談会本で、「いやむしろ、ギングリッチのようななんたらのほうがかんたらうんたら」と言っているのを立ち読みして、へえ米国政界の内幕にまで通じているんだ、すごいなあ、と思ったものだが、米…

批判のための批判?

田中貴子が朝日新聞で、表章の梅原猛に反論した遺著を書評して「批判のための批判ではなく」と書いているが、これは言葉の間違いで「単なる批判をこえて」とでもすべきだろう。批判というのは批判のためにするもので、まあこういう言葉づかいに、田中貴子が…

「現代文学論争」補遺

「現代文学論争」のために書いたのだが、分量の関係で割愛したものである。未完。 福田和也という謎 福田和也(一九六〇− )は、江藤淳、柄谷行人の衣鉢を継ぐ文藝評論家とされ、慶応義塾大学環境情報学部教授である。これまでいくつかの論争を行ってきたが…

「調子をやる」

「調子をやる」という言葉の意味を初めて知った。声をつぶすという意味である。落語で、主人公が家へ帰るとおかみさんが声をつぶしていて「調子やってんだよ」というのを聞いていたが、何か稽古ごとかと思っていた。 それはともかく、私は、風邪を引いても、…

「南部坂雪の別れ」の謎

「南部坂雪の別れ」は、忠臣蔵の一コマだが、桃中軒雲右衛門の作とされている。討ち入りの前日大石内蔵助が瑤泉院を訪ねるが、侍女の中に吉良の間者がいるのを見破り、討ち入りのことは言わず、旅日記だといって血判状の巻物を仏壇に供えて去る。するとその…

会社の名前が長くなる

一時期、銀行の合併で、太陽神戸三井銀行とか、長い名前の銀行ができた。だいたい整理されたが、三菱東京UFJだけは長いまんま。こういうのは統合で長くなった例だが、近ごろは子会社を作ったり改名したりして長くなる出版社が多くて、何か不快感がある。…

阿刀田高の役どころ

「アラビアンナイトは本当に面白いのか」というので、阿刀田高の『アラビアンナイトを楽しむために』を読んだら、やっぱり阿刀田も途中で、ギリシャ神話ほどに洗練されていないし面白くない、というようなことを言っていた。まあ、こういうのが阿刀田の役ど…

新刊です

現代文学論争 (筑摩選書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/10/15メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 165回この商品を含むブログ (25件) を見る なんか久しぶりの新刊のような気がする。 内容は、フォニイ論争、江藤淳の論争、筒井康隆…