2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

凍雲篩雪

凍雲篩雪(80)『黒い雨』と『重松日記』 小谷野敦 群像新人賞を受賞し、芥川賞候補にもなった北条裕子の「美しい顔」が、参考文献を明記しなかったというので問題になった。そんな中で、『文學界』九月号の匿名時評「相馬悠々」は、井伏鱒二の『黒い雨』や…

柳美里と新潮社

『柳美里不幸全記録』は、表紙がヌード写真だというので騒ぐ人がいるが、『新潮45』に「交換日記」として連載された優れた私小説である。その最後のほう、2005年夏ごろに、新潮社出版部と柳との関係の断絶らしいものが描かれている。「決定」を知らせたのは…

三田佳子と小田島先生

2002年10月6日のことだが、西新宿の原っぱで劇団唐組の「虹屋敷」を観に行った。テント芝居である。幕間に外へ出て煙草を喫っていたら、小田島雄志先生が誰か女の人と立ち話をしていた。というか、三田佳子と話していた。 当時、例の三田佳子の次男は二度目…

女嫌いの男

世田谷文学館には、毎月「館長対談」というのがあり、私は佐伯彰一先生時代の2005年にやった。 その時、佐伯先生が、私の「もてない男」のことを、一貫して「女嫌いの男」と発言していた。私ははじめぎょっとしたが、あまりに違うから、何かわけあってのこと…

新刊(文庫化)です