2026-04-01から1ヶ月間の記事一覧

四方田犬彦『漫画原論』アマゾンレビュー

文庫が復刊されるというので読んでみた。これは『ちくま』に連載されて1994年に刊 行されたものだ。戦後漫画をかなりの分量で読んでいる著者の博大な知識と、ロラン・バルトらの仕事の影響を受けた記号論的な記述で、圧倒されるが、どうもどこかで聞 いたよ…

「Tu dors?」の思い出

今橋映子・東大教授が紫綬褒章を受章したので、思い出を書かせていただく。 私は1987年に東大比較文学比較文化の大学院に入ったが、当時は三月に八王子のセミナーハウスで合宿が開かれてそれに参加した。その際は提出されて博士課程へ進んだ人の修士論文の一…

二人の奈良環

www.kinokuniya.co.jp この著者の一人である奈良環は、 奈良環[ナラタマキ]1947年長野県生まれ。出版物企画・編集・総合プロデュースを経て、1992年4月さわやか福祉財団(当時、任意団体「さわやか福祉推進センター」)に入所。2007年3月退…

ミズニ・ナガソウ

1989年の秋に、私はアテネ・フランセの英会話教室に週一回通っていた。翌年のカナダ留学のためである。この時の担当教員は女性で、「もし北海道の先住民が、あとから来た日本人は出て行けと言ったらどうするか。それが今、南アフリカで起きていることだ」と…

亀井俊介の正体

そういえば、修士修了の時ほどではないが、私も無難な挨拶をしたことがある。亀井俊介先生の退官記念パーティの時のことで、1993年3月、渋谷の井門という中華料理店でのことだった。みなが亀井先生の仕事に引っかけながら挨拶する中で、私は亀井先生がアメリ…

植民地主義批判の凡庸さ

フランツ・ファノンという思想家だか運動家だかがいる。大変人気があり、人文系の学者はみな読み、絶賛している。だが私は、読み始めてすぐ、ああそういう本か、としか思わなかった。ファノンは西洋列強の植民地主義を批判する。半分は黒人である。また岩波…

あいさつ下手

私は、挨拶とかスピーチというのが、たいそう下手である。思い出すだけで恥ずかしい。最初は、英文科へ入った時に本郷三丁目駅のそばの料理屋の座敷で、教授たちと三・四年生の歓迎会が行われた時、三年生が順番に自己紹介をしたのだが、私は軽く緊張してい…

円地文子と三島由紀夫

三島由紀夫が続きますが別に好きなわけではなく、嫌いです。 佐伯彰一先生の『回想(メモワール)』に、三島と親しかった円地文子が、三島が死んだあと、三島が生きて牢獄に入っている小説を書いたとあったので、『円地文子辞典』の三島の項を見たら書いてな…

林芙美子と三島由紀夫

川端伝に書いておいて典拠を書かなかったのですが、三島由紀夫が林芙美子の葬儀に行く前に「あんな馬鹿な女の葬儀に出なくちゃいけないなんて、いまいましいよ」と言ったのは、福島次郎『三島由紀夫 剣と寒紅』86pにあります。 書誌『三島由紀夫 剣と寒紅』…

橋詰かすみ『ジュネーヴ共和国騒乱とルソー』アマゾンレビュー

ルソーについては、フランスで『ルソー関係書簡全集』が50巻も出ていて、これを通読しないとちゃんと研究したとは言えないので素人は口を出しにくいのだが、伝記的に分からないところは、フランスで逮捕令が出て郷里のジュネーヴへ逃れたのに、そこでさんざ…

日本語のできない日本文化研究者

先日、『日本のエロティック文化』というような本をフランスで書いているアニエス・ジアールというフランス人から、私にインタビューをしたいという話が、京都日仏会館を通じてあったのだが、聞いてみたらこの人は日本語ができないという。それで、なんで私…

大人になったコナンとラナ

ラナ「いけないわ、コナン、結婚するまでこんなことしちゃダメ」コナン「そんなことないよ、ラナ、みんな結婚前からしてるんだよ」ラナ「してないわよ。ダイス船長とモンスリーさんが、してた?」コナン「いや、してないように見えるけど、それは子供向けア…

「神経症は君だけじゃない」に行ったこと

大阪大学に勤めていたころ、不安神経症になった。夏休みに実家へ帰っていたがよくならないので、東大病院にかかり、抗不安剤と抗うつ剤を処方されて、飲んでいたらよくなっていったのだが、半年ほどして、いつまでも薬を飲んでいてはいけないと思って自己判…

依田学海の謎

私が27歳の1990年6月、最初の著書『八犬伝綺想』を出す前に、スミエ・ジョーンズに呼ばれて、池袋辺の居酒屋で渡辺憲司(立教大)、小森陽一(成城大)らと会ったのは前にも書いた。 その時、私が『八犬伝』についての本を出すと言うと、渡辺憲司が、今度岩…