2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

もし日本に、死刑存置論者の禁煙ファシストというのがいたら、ディレンマに苦しんでいるに違いない。国連では、死刑廃止は世界の「すう勢」だと日本への不満を表明したと報道された。「趨勢」くらい書けよ新聞、であるが、もしその者が「世界の趨勢だからと…

共著

著者名列挙も困るが、論文集に寄稿しただけのものを「共著」と自称他称するのはやめてもらいたいものだ。「共著」というのは、せいぜい三人か四人で書いて、表紙に自分の名前が載っているもの。目次を見ないと名前が出てこないなんてのは、「共著」じゃない…

昨日やっていた棟方志功伝のドラマを、仁左衛門が柳宗悦をやるというので観たら、煙草を吸うシーンが一つもないので不快になった。棟方自身はともかく、藝術家の卵みたいな青年が集まって誰も吸わないなどというのはありえまい。だから最近、ドラマを観るの…

オオカミ少女はいなかった

そういうタイトルの本が出ていた。その他、サピアーウォーフの仮説はもう否定されているとか、心理学関係の、学問的には否定されているのにくり返し出てくる説を並べたものである。 それにつけても、小倉千加子の『セックス神話解体新書』は、狼少年は出てく…

著者名列挙やめい!

一般に、多くの人が書いた書物というのは、編者を設けて「五木寛之編」とかするものである。かといって、中央公論社の『日本の文学』を国会図書館OPACで、編集委員会に一度出ただけの谷崎先生の著書のようにしてあるのは困る。 しかるに最近、主として書…

鈴木堅弘の珍妙な注のつけ方

国際日本文化研究センターの『日本研究』38号が届いた。私の「岡田美知代と花袋「蒲団」について」も載っているのだが、これは『リアリズムの擁護』に入れたものとほとんど同じだ。しかしこれは投稿・査読論文ではなくて、鈴木貞美研究会から、既に発表した…

八木透の「いまいましい」

『江戸幻想批判』で私は、八木透という民俗学者を批判している。フェミ二ストぶっているくせに江戸の性はおおらかだったとか、川村邦光、森栗茂一と一緒にくだらないスケベ話に興じていたからである。 その八木と、山崎祐子、服部誠の『日本の民俗7 男と女…

阿部謹也は何が偉いのか

本郷和人氏が『環』とかいう、私とは無縁の雑誌で『日本売春史』の書評をしてくれたのを先日知った。といっても、主として網野善彦批判の書評なのだが、そこで、網野が網野銀行という財閥の一族であることを初めて知った。 (活字化のため削除) - 以前、現…

三好京三の姿

石田衣良の連載が相変わらずおもしろい。作家仲間の会話で、城之内臣という十年前に同期デビューした作家が、デビュー作『そして、ぼくは愛を誓った』がベストセラーになり、『愛チカ』と略称さえされたが、二作目が書けず、今では地方都市で小説教室の講師…

久しぶりに

パイプクラブに寄稿しました。 http://www.pipeclub-jpn.org/column/column_01_detail_39.html そういえば、ドイツでは6月に、禁煙法に対する違憲判決が出ていたのを忘れていた。禁煙ファシズムは連合国主導だね。 やあ困った。『新刊展望』11月号で、川村湊…

やっぱりバカだと思う

これだけ報道されているのに今なお振り込ませ詐欺に引っかかるなどというのは、半分ボケた老人でなければバカである、という声を気にしたのか、「毎日新聞」夕刊に、「巧妙な手口」が紹介されている。江戸川区に住む74歳女性に「お母さん、俺だよ」と電話が…

三浦和義の著書

私はかつて、三浦和義の著書を一冊だけ買ったことがある。本人訴訟のやり方を書いたものだ。あまり読まずに売ってしまったような気がするが、手書きの訴状の写しなどが載っていた。 三浦は証拠不十分で無罪になり、犯人だと書いたマスコミやライター相手に次…

洞ヶ峠

本能寺の変のあと、筒井順慶が洞ヶ峠で日和見をしたというのは誤伝で、明智光秀が洞ヶ峠に陣取って順慶に圧力を加えたのが真相である。このことは筒井康隆が、祖先ではないかと言われて、祖先ではないが書いた『筒井順慶』(1969)にも書いている。その後、…

俺もしめきりに追われてみたい

『俺も女を泣かせてみたい』(筑摩書房)はほどなく絶版になります。絶版というのは品切れになるのではなくて断裁されるわけで(泣)、欲しい方は今のうちにどうぞ。このタイトルは受けを狙ったもので、中味は普通のエッセイ集です。受けませんでした。 石田…

河野多恵子の不法引用

(活字化のため削除) そういえば、田中貴子は『鏡花と怪異』のあとがきで、やはり名を出さずに、しかし調べればすぐ分かる形で佐伯順子の『泉鏡花』をこきおろしたのも、やや卑怯なことであった。 『文學界』の八月号、高橋源一郎の「ニッポンの小説」も、…

ル=クレジオの思い出

J・M・G・ル=クレジオがノーベル賞を受賞した。フランスからはクロード・シモン以来なので23年ぶりだ。 私は大学一年の時に、当時好きだった同じクラスのTさんと一緒に第三外国語のフランス語をとっていた。クラスからは彼女と二人きりで、けっこう嬉し…

七瀬ふたたび

観た。最後で原作の冒頭へ戻るが、脚本は『スチュワーデス刑事』の伴一彦である。演出は笠浦さん。『家族八景』はどうも筒井氏が映像化を許さないらしく(されていたらしい)、いつも「ふたたび」である。知らない人は何が「ふたたび」なのかと思うだろう・・・…

嘘をつく京王と小田急の駅員

(活字化のため削除) これで今年の文化勲章受章者が三人も決まってしまって、きっとしわ寄せが来てもらえない人が出て、今ごろ「ちっ」とか思っているかもしれない。 - ウィキペディアに「法的リスクを負っている」などと記されている、個人への名誉毀損的…

池内恵氏が東大に

池内氏が東大の先端研准教授になったことを毎日新聞で知った。日文研は優秀な研究者が流出するのだよなあ・・・。いや、いる人が優秀でないということはないのだが。しかし先端研というのは分からんところだ。ほとんど理系なのに、御厨貴がいて、今度は池内氏・・…

奥野正男『神々の汚れた手』(梓出版、2004)は、東北の遺跡捏造事件で悪いのは藤村新一一人ではない、と周囲の学者連や文化庁を批判したもので、毎日出版文化賞を受賞している。そのあとがきに、こうある。「だからこの本は、去年から年金生活に入った私の…

大塚英志、再び

なぜ『現代詩手帖』など見ているかというと、大塚英志の連載を見ているからなのだが、大塚が執拗に「蒲団」を批判するのは、モデルとなった岡田美知代の立場に立つからだということが分かった。そして、「書く」「書かれる」は権力関係である、と言い、では…

妄想に陥る片岡直子

前にも書いたことだが、 http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20080406 先日の栗原さんと枡野さんとのトークショーでも片岡直子による小池昌代への非難攻撃の話が出て、ああいうものを載せた『文學界』の見識を疑うみたいな話になったのだが、『現代詩手帖』…

ニュースに思う

小型犬のチワワをけり殺したとして、動物愛護法違反罪などに問われた元会社員、田中善行被告(44)(名古屋市千種区)の判決が3日、名古屋地裁であり、野口卓志裁判官は「うっぷんを晴らすための自己中心的な犯行」として、懲役6月、執行猶予2年の有罪…

橋下判決に疑問

橋下徹は禁煙ファシストであるから、敵である。今すぐにでも知事を辞めてほしいという気持ちに変りはない。しかし今回の判決は・・・。 「毎日新聞」は、橋下を責める一方の論調だったが、他紙もそうなのだろうか。私は言論の自由の観点からいって疑問である。…

ポーツマスの旗

私は『落日燃ゆ』より、『男子の本懐』が好きである。あるいは吉村昭の『ポーツマスの旗』が好きである。ところで後者は、小村寿太郎が、日露戦争の和平条約を結ぶために米国ポーツマスへ行く話だが、国民は勝ったと思っていたがもう日本軍にはこれ以上戦う…