2007-01-01から1年間の記事一覧

学者が小説を書く

昨日は宮崎哲弥さんに招かれてCSの討論番組の収録でした。五時間やって五言くらいしか喋らなかったが、まあ政治経済中心だから、はなからそのつもりでした。和田さんのフィンランド惚れと、何とかいう民主党の人の「人間の尊厳」と「真善美」はたいへんお…

村松剛を見損なう

村松剛について調べていて、『元号ーいま問われているもの』(日本教文社、1977)を見た。村松、黛敏郎、福田恒存、葦津珍彦らの共著。当時、元号廃止論があってそれに反対した文集らしい。村松が、前年のロッキード事件に触れて、あれだけあっても混乱が起…

西部先生の性分

『正論』の二月号で、小林よしのりが、西部先生の中島岳志論に反論しているのを立ち読みしてきた。私は「パール判事は保守派の友たりえない」という題名だけ見て、普通に中島を批判しているのだと思って読まなかったのだが、どうも西部先生、中島が間違いな…

かわいそうな星新一

朝日新聞社の大仏次郎賞が決まった。ところで先日、東大の授業で、これを「だいぶつじろう」と読んだバカがいた。もちろん理系だが…。(しかしこれについては、ルビを振らないで読者の知能低下を招いている新聞も悪い) 最相葉月『星新一』と吉田修一『悪人…

南日恒太郎と村松剛

匿名で人を揶揄するけしからぬ「大波小波」の「孫の手」であるが、村松英子の本姓は「南日」であるから、明治期の英語教師南日恒太郎(田部重治の兄)と関係があるのではないかと思っている、調べたらどうか、などと書いていた。確かに『文藝年鑑』などでは…

乙〇君に告ぐ

乙〇知〇君より、私がプライヴァシーの侵害をしているという申し立てがあったと、はてなから連絡があった。 乙〇君は、荻上チキは筆名だという。しかし、筆名というのは作家が用いるもので、かつおおよそはその実名もまた世間には知れている。岸本葉子も筆名…

荻上チキの正体

九月にここで、ちくま新書が出たら荻上チキの実名を明かす、と書いたら、ほどなくチキから、やめてほしいという懇願メールが来た。会社で仕事をしているので、顧客などに知れるとまずい、というのだ。 チキは私が小山エミと論争している時に、「小谷野さんが…

一応事後報告であります

http://www.indo.to/log/nakajima/?itemid=932 「逃げたな」と書いた以上、その後の展開について報告しておきます。中島岳志は『月刊現代』二月号(12月28日発売)で「小林よしのりにガチンコ討論を申し込む」を掲載しています。ただし、この手の雑誌の記事…

ネコジャラ市の11人

http://www.h2.dion.ne.jp/~kaori-y/index.htm そう熱心に観ていたわけではないのだが、私の世代は、むやみと光の当たる「ひょっこりひょうたん島」よりも、同じ作者による「ネコジャラ市の11人」のほうを観ていたはずだが、この番組に関する情報はやたら少…

グロリアーナいまいずこ

1984年、朝日新聞の国際面に、こんな記事が出た。イタリアの小国サンマリノ共和国で、26歳の女性が国家元首になったというのだ。サンマリノは中世以来の共和国で、カヴールによるイタリア統一にも加わらずに残った国だが、ほとんど町みたいな国で、半年で交…

評伝観世榮夫

書店で『評伝観世榮夫』船木拓生(平凡社)を見つけた。自伝が出たばかりで評伝が出るか。谷崎恵美子との結婚のところを立ち読みする。恵美子の兄の妻が「『痴人の愛』などの作品の触媒となった」(大意)とあったが、これは間違い。恵美子の兄の妻といえば…

国会図書館OPACへの要望

1、シリーズものの「編集委員」を著者標目にするのはやめてほしい。中央公論社の『日本の文学』シリーズが、編集委員会に最後の一回出ただけの谷崎潤一郎の著作になっているし、『世界幻想文学大系』は全部紀田順一郎と荒俣宏の著作になっている。またこれ…

長崎暢子先生と長野順子先生

別にこれは教わったわけでも面識があるわけでもないのだが、東大にいたインド史の長崎暢子先生は、定年になって龍谷大学教授になった。それで以下の話はどこで聞いたのかまるで忘れているのだが、当時鶴田欣也先生も龍谷大にいて、鶴田先生は女性と親しくな…

帰国チャイルド

実にこの、言い換え語には腹がたつ。男は看護師、女は看護婦で何の支障もないのに、看護師と言わなければいけないのだと思い込んでいる奴が多い。そういうのって、戦前、お国の言いなりになった愚かさと同じなんだがな、左翼はそんなことは一切批判しないの…

土岐村路

書物を登録するのに、いちいちISBNを書く奴がいるが、あれはどういうつもりなのだろう。だいたい学者が書類に書かされるとかいうのを除いたら、本を注文するのにISBNで注文する奴なんていないだろう。 昨日の新聞に、沼沢洽治先生と平野敬一先生の訃報が載っ…

逃げたな、中島岳志

http://www.indo.to/log/nakajima/?itemid=910 ついに一ヶ月。中島岳志は私の批判には一切答える気はないようだ。『SAPIO』では小林よしのりが第二弾の攻撃をしているし、『パール判事』については中島の完敗というところだな。しかしまあ、『ランティ…

やっぱり変だよウィキペディア

先日編集した「関場誓子」が削除されていたのだが、というのが、サントリー学芸賞受賞時の履歴を写したものだから著作権侵害だという。しかし、その後慶大教授になったという情報は付け加えたし、何よりこの関場という人が、その受賞作以後著書を出していな…

村上龍らしくない

『半島を出よ』上巻の最後のほうで、北朝鮮人が日本の雑誌のヌードグラビアを見る場面がある。そこに「昨年ノーベル化学賞を受賞したS教授を生んだ理科系有名私立大学二年の」女が脱いだ、とある。 日本に「理科系有名私立大」などというものはない。この小…

「そっくりだ!」「逆だ!」

http://www.vernix.org/marcel/people/ 某若者が、長塚京三を知らないというので、たまたま「週刊朝日」の裏面に写真があったので見せたら「長塚圭史に似てる」、ってそれは逆だ! と言って思い出したのが、浅田彰と柄谷行人が「ベルリン・天使の詩」を観て…

田代和生先生

大河ドラマのビデオを観終わって自動的についたNHK教育テレビに田代和生先生が出ていて、女だったのでびっくりした。「かずい」と読むのは知っていたが、ずっと男だと思い込んでいたのだ。日朝関係史の篤実な研究者だが、調べたら中央大学大学院出身なの…

房之介さん、どうも

『日本の有名一族』さらに訂正で、村松友視の父は、友視が幼い頃に死んだのではなく、生まれる前に死んでいる。これは生年と没年を見れば一目瞭然である。 もう一つ、出た時に某先生から指摘されていたのだが、夏目房之介の母方の祖父は三田平凡寺という人で…

瀬々さん、やっぱり変です

ニュースを見ていたら、混合診療で保健が適用されない制度がおかしいといって裁判を起こしていた男性の勝訴のニュースで、「前例がないので」といってどの弁護士からも断られた、とあった。ほらね瀬々さん、弁護士が見つからないなんて例は、いくらもあるん…

事実は一つである

江藤淳の『批評と私』という本に「ペンの政治学」という文章が載っている。1984年に日本ペンクラブが反核声明を出した時に、江藤がそれを政治的でありペン憲章に違反しているとして批判したものだ。その中に、会議に遅れていった江藤が反対を表明すると、三…

ああそうか

ベースボールマガジン社『相撲』購入、時津海のところが空白の話題の番付を入手する(番付複製が付いているのはこの雑誌だけ。読売の『大相撲』にはない)。当初、ちと不思議だったのは、これまでにも、番付編成会議のあとに引退して親方になった力士はいる…

失恋運転禁止

飲酒運転に対する取り締まりや判決はどんどん厳しくなっている。ところで某所で「失恋運転禁止」に関する文章を読んだ。失恋して精神的にボロボロになっている時に運転するのは禁止すべきだというのだ。まあ半分冗談だが、実際、精神的にヤバイ状態の時の運…

愛国戦隊大日本

製作当時、『アニメック』で、池田憲章の連載のパロディーとして書かれた文章で知ったとき以来、初めて現物を見た「愛国戦隊大日本」である。 しかし時は流れた。もはや、右翼といえば反共という図式が成立しない。ロシヤはもはや社会主義国ではないし、佐藤…

罵倒日和

いやーひどいものを観た。土曜にNHK教育テレビで放送していた「シェイクスピア・ソナタ」。緒川たまきが出ていたので観たんだが、30年前の清水邦夫の戯曲だと言われても信じるね。最初は、いかにもな演劇のパロディかと思っていたら、本気だから驚いた。もう…

十返舎一九

http://www6.plala.or.jp/tokio/yoshiwaratebiki.html 『吉原手引草』の年代に関するものだが、最後のほうで「名高い十返舎一九」という台詞がある。一九が有名になるのは「東海道中膝栗毛」刊行の享和二年(1802)以降と見るべきだろう。掲示板もメールも閉…

高学歴ワーキングプア

半分くらい読んだ。三流大学の大学院で博士号をとっても就職がないという話。ただし著者は九大で博士号をとっているから三流ではない。東大で博士号をとってすらないんだから、そりゃあるわけがない。 しかし、東大の仏文あたりで大学院へ行きたいなどと言え…

ボクシングは廃止せよ

なんか私は興味ないのだが、ボクシング関係で新聞紙面やテレビニュースが賑わっている。私に言わせれば、ボクシングなんてのは、本気で殴り合って、死人が出ることもあるんだから、廃止すべきである。だいたい、健康増進法違反だろう(笑)。 何か、「あした…