2016-01-01から1年間の記事一覧

http://sugiyamakenkyu.blog.fc2.com/ 小谷野はさらに、杉山が「サバルワルを養子にして日本国籍も与え」たと書いているが、これは野田美鴻の『杉山茂丸伝:もぐらの記録』に拠ったものと明記されている。だが、野田が何を根拠にそう書いたのかは判らない。…

凍雲篩雪

二、ジョン・K・ガルブレイスの『不確実性の時代』の邦訳が出て話題になったのは一九七八年だが、この「〜の時代」というタイトルはほかにも多く、一時は流行した観もあった。一九八〇年の大河ドラマが、明治維新期を扱った「獅子の時代」である。題名として…

伊丹十三と吉行淳之介

伊丹十三と吉行淳之介には共通点がある。 ・父親が子供の頃死んで、母親が再婚し、母は本人より長く生きた。 ・妹がいる。吉行は、一人は女優、一人は芥川賞作家になり、伊丹は、ノーベル賞作家の妻になった。 ・もて男である。 伊丹はある時期、自分がもて…

ウレシュウの謎

『東京人』12月号に、江川宇礼雄についての記事があった。筆者は佐々木光、私と同年で愛知県岡崎市出身。神奈川近代文学館の人らしい。 江川のことを「ウレシュウ」と書いているのだが、佐々木によると、乞食の世界では人を出身地で「紀州」などと呼ぶのでそ…

新刊です

本当に偉いのか あまのじゃく偉人伝 (新潮新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/10/14メディア: 新書この商品を含むブログ (6件) を見る 訂正 35p:クラーク・ゲーブル→ハンフリー・ボガート

東大博士論文一覧(駒場2)

2005年 〇大東和重(1974-、関西学院大教授)『文学の誕生』講談社選書メチエ 2006 △陳岡めぐみ(1971- 西洋美術館主任研究員)『市場のための紙上美術館―19世紀フランス、画商たちの複製イメージ戦略』三元社、2009 渋沢クローデル特別賞 〇井上貴子(195…

東大博士論文一覧(5)

2010年 △木村直樹(1971- 長崎大教授)『幕藩制国家と東アジア世界』吉川弘文館、2009 △岸貴介(たかゆき、1974? 星城大准教授)ニーチェ哲学研究-「根本的に健康である」ことに基づく、最良の生存の追求 〇木田直人(1973- 首都大准教授)『ものはなぜ…

東大博士論文一覧(4)

2006年度 ■課程博士 ×青山由美子 11・12世紀におけるフランドル伯の尚書部 △安部聡一郎(金沢大准教授)後漢末士大夫像の構成過程からみた魏晉貴族制の形成 △新井重行(宮内庁書陵部研究員)日本古代の力役編成と地方社会の研究 ○有富純也(1974- 成蹊大准…

東大博士論文一覧(2、)

●1995 ●辻惟雄(1932- 東大名誉教授)『戦国時代狩野派の研究 狩野元信を中心として』吉川弘文館、1994 ●松本宣郎 ノリオ(1944- 東北大名誉教授、東北学院大学長)『キリスト教徒大迫害の研究』南窓社、1991 ○中井章子(1948- アヤコ 青短教授)『ノ…

中村真一郎の『文章読本』

昨日だか、私の『文章読本X』に触れて、中村真一郎の『文章読本』が良かった、と書いている人がいた。私はこれは未読だったし、そこで紹介されている内容にはさして感心しなかったが、図書館から借りてきた。 ところが「ですます」体である。さらに、論文と…

〜の時代

侮蔑の時代』アンドレ・マルロオ 小松清訳 鎌倉文庫 1948 青の時代」三島 1950 われらの時代」大江、1959 敗北の時代』コリン・ウィルソン 丸谷才一訳 新潮社 1959 破約の時代』筑波常治 講談社 1959 イブの時代』多岐川恭 中央公論社 1961 幻影の時代 マス…

『ウルトラマン』のジャミラが出てくる「故郷は地球」について、脚本を書いた佐々木守の『 戦後ヒーローの肖像 『鐘の鳴る丘』から『ウルトラマン』へ』岩波書店)にシナリオが採録されていて、最後のイデのセリフは「犠牲者はいつもそうだ」になっている。…

凍雲篩雪

凍雲篩雪(57)アダルトビデオの光と影 私が大学生から大学院生だった頃が、アダルトビデオが最初の黄金期を迎えた時期だった。院生になって自室にテレビを備えた私は、ずいぶんお世話になった。その当時は、レンタルビデオ店で二点を借りてきて、色々なAV…

連載盛衰記

学問的キャッチボール

以前、佐々木邦の初期作品『いたずら小僧日記』について、当時池坊短大教授だった堀部功夫氏が、これの原本は『BAD BOY'S DIARY』として米国で出たものだとした(1991年)のを、その作者がメッタ・ヴィクトリア・フラー・ヴィクターだという論文を書いたのだ…

『梅原猛著作集 13 万葉を考える』(集英社、1982)は、『水底の歌』その後といった感じの文集だが、ここには益田勝美への反論も載っている。で、巻末の著者による解説を見ると、「(益田の批判は)著者の期待に反して、残念ながら『水底の歌』を真面目に読…

川端康成が伊藤初代から突如ふられた「非常」の手紙について、初代が養父である僧に犯されたからだという説をなしている者があるのだが、それではそのあと初代から川端にきた「あなたを怨みます」という手紙がどういう意味なのかさっぱり分からないのである…

http://tsiraisi.hatenablog.com/entry/20161027/1477529972 小谷野敦の父は時計の職人さんで、おそらくその種の符丁が飛び交う場に生きていて、小谷野はそんな父を個人としては憎んで私小説を書くのに、落語を語るときには、落語家とシロウトの線引き・間合…

凍雲篩雪

秘密を他人に押し付けてはいけない 一橋大学の法科大学院で、ゲイの学生(A氏とする)が、好きな男子(B氏とする)に告白したら振られ、一週間後にB氏が仲間内のラインで、これ以上お前がゲイであることを隠しておけない、と言い、A氏は大学などにクラス替え…

竹ノ塚

結城昌治の短編「夜が暗いように」というのを読んでいたら、主人公の探偵が竹ノ塚へ行く場面があった。「東部線と地下鉄が並行している駅前は商店街がにぎわい」と書いてある。だが竹ノ塚に地下鉄は通っていない。日比谷線が東武線へ乗り入れていて、「竹ノ…

写楽

『週刊文春』の「文庫本を狙え!」で坪内祐三が、中野三敏の『写楽』(中公文庫)を取り上げている。これは2007年に中公新書で出たものの文庫化である。 写楽については、戦後「別人説」が叢生し、1984年にはNHKで池田満寿夫が、その正体は歌舞伎役者の中…

あずさ2号

私は若いころ、鴻上尚史のエッセイを愛読していた。『鴻上夕日堂の逆上』(もちろん『村上朝日堂』のもじり)とかである。面白かったのと、鴻上はフェミニズムの影響を受けていて、恋愛についての深い洞察に満ちているように思えたからだ。だが、その結果と…

ドードー鳥の人

初夏のこと、妻が「枡野書店」で、谷崎潤一郎読み放題企画の店主というのをやっていた。私は夕方ごろ、自転車で出かけたのだが、いくらか怪しい雲ゆきが、ぱらぱらっと驟雨になり、しかも上り坂で、私はほうほうのていで、道に迷いながら枡野書店へたどりつ…

新刊です

川端康成詳細年譜作者: 小谷野敦,深澤晴美出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2016/08/31メディア: 大型本この商品を含むブログを見る1948年12月25日刊行の『私の伊豆』(弘文堂・アテネ文庫)が抜けていました。収録作品は、「伊豆序説」「伊豆温泉記」「伊…

妻に教えられて知ったのだが、マンディアルグの『薔薇の葬儀』には、イヨ、アオイ、ダイニ、イヌキという四人の日本人遊女が出てくる。94年にこれを訳した田中義廣は、イヨとアオイはともかく、ダイニとイヌキという名前をどこから思いついたか分からない、…

丸山健二よ

大学院生の頃だったか、実家の近くの古書店へ行ったら、文学青年崩れみたいな男が店主と話していて、男は、丸山健二って知ってますか、長野にいて・・・などと言い、尊敬しているみたいなことを言っていた。 丸山自身、芥川賞受賞の時の騒ぎにうんざりして、…

文士劇

戦後の文藝春秋主催の文士劇の一覧を作ろうと思ったが配役まで全部は分からなかった。1952年3月28日 歌舞伎座「父帰る」小島、小山いと子、小林秀雄、井上友一郎、「白浪五人男・稲瀬川」久保田万太郎、川口松太郎、中野実、今日出海、久生十蘭、益田義信、…

集英社文庫アンソロジー

「日本ペンクラブ編、(作家)選」となっていたシリーズ教養小説名作選 / 高橋健二 1979.4. 音楽小説名作選 / 五木寛之 1979.4. 幻想小説名作選 / 半村良 1979.4. 純愛小説名作選 / 吉行淳之介 1979.5 スポーツ小説名作選 / 井上ひさし 1979.5 情報小説名作…

長谷川町子の一種の自伝『サザエさんうちあけ話』は、朝ドラ「マー姉ちゃん」の原作にもなっていて、1978年に「朝日新聞」に連載された。この中に、1967年長谷川が47歳の時激しい胃痛に襲われ、手術する部分がある。これは実際は胃がんだったが、長谷川がが…

「新八犬伝」の二年目だったか、犬山道節が敵を攻めあぐんでいる時、不思議な子供が現れて、「おじさん、せいのでんたんを知ってるかい」と言う。すると道節は「せいのでんたん、おう、えんのがっきがせいの七十よじょうを奪った時・・・」と説明する。その…