2022-01-01から1年間の記事一覧

著書訂正

「直木賞をとらなかった名作たち」 75p 「しかし文学賞はとらなかった」→「野間文芸賞受賞」

「水俣曼荼羅」アマゾンレビュー

天皇登場で台無し星3つ 、2022/12/17はじめはだれて長いなあと思うが、中盤から面白くなってきて、熊本県や環境省との対決は白眉なのだが、そこへ天皇が水戸黄門みたいに出てきて、いっきに台無しになる。別に原一男が悪いわけではなく、原は石牟礼道子の手…

ホンネとホント

私は大学四年の時に、地元の出身中学校で二週間の教育実習をしたのだが、成績はBで、きっといい成績ではないのだろう。結局、「教育原理」を落としてしまい、朝一限に家から遠い駒場で開講されるこれを再度履修できず、教員免許はとらずじまいになった。 そ…

著書訂正

「徳川時代はそんなにいい時代だったのか」 49p「常陸の名家・結城家」→「北関東の名家・結城家」

「黄禍論」の流行

先ごろ死去したドウス昌代のノンフィクション「日本の陰謀 : ハワイ・オアフ島大ストライキの光と影」(文藝春秋、1991)は、のち文庫になっているが、アマゾンを見ると中身のあるレビューが一つもなかった。 これは大宅壮一ノンフィクション賞と新潮学芸賞…

インベカヲリ★「私の顔は誰も知らない」書評 「週刊朝日」

インベカヲリ★は、写真家である。募集に応じて来た女性たちの、ちょっと不気味な感じの半ヌード的な写真を撮っており、『やっぱ月帰るわ、私』や『理想の猫じゃない』といった写真集を出し、木村伊兵衛賞候補になり、ニコンサロンで伊奈信男賞も受賞している…

音楽には物語がある(48)「きのう何食べた?」の中村屋 「中央公論」12月号

夏休み前に(といっても私は勤め人ではないから何かが休みになるわけではない)、アマゾン・プライムで、西島秀俊と内野聖陽がゲイ・カップルを演じるドラマ「きのう何食べた?」(二〇一九)を観ていた。原作はよしながふみのマンガだが、こちらは読んでい…

丸山健二という人

綿矢りさらに抜かれるまで、最年少23歳で芥川賞をとった丸山健二は、私が大学生のころ(1982-)「朝日新聞」紙上の小さなコラムに「ガキの小説」というのを書いていた。今のアメリカの小説は「ガキの小説」になってしまったというのだ。具体的にどういうもの…

それまでの否定

もう7年くらい前になろうか、私が何度めかの、中井英夫の「虚無への供物」はわけが分からないというのを書いた時に、斎藤慎爾が、安藤礼二の『光の曼荼羅』で論じられていると言っていたので、それを読んでみたら、安藤は、これまでの論者は「虚無への供物」…

昭和の「まじめ」

阪大へ就職してひと月ほどした五月ごろ、言語文化部が教養部から独立した十周年祝賀パーティーというのが開かれて、生協の二階の食堂に集まった。私らみなスーツにネクタイ姿だったが、一人だけ、ネクタイをしていない40代くらいの教員がいた。ヨコタ村上ら3…

ポモ崇拝者誕生の時

2002年の12月に、東大比較文学出身者による「恋愛」シンポジウムが行われた。その時、「ドン・ジュアン」の比較文学などは成立しないと、プリンストン大学に提出した博士論文で主張していたヨコタ村上孝之は、その話をして、「じゃあドン・ガバチョの比較文…

生殖器に電流を

私は英文科を出て比較文学の大学院に行ったが、二年目に英文科で高橋康也先生が開いている大学院のゼミに出席した。阿部公彦、河合祥一郎といった人たちがいた。そこで知り合ったT君は、法学部から英文科の大学院へ来た人で、親の命令でいやいや法学部へ行か…

対談集の夢

私は若いころ、山崎正和とか江藤淳みたいな有名文化人になりたかったが、結局それは半分くらいしかかなわなかったと言うべきだろう。 30代半ばで「もてない男」が売れた時は、もっと売れていくつもりでいたが、まあそうもならなかった。まあ当ての外れたのは…

音楽には物語がある(47)ウルトラヒーローと冬木透 「中央公論」11月号

劇映画「シン・ウルトラマン」を観に吉祥寺まで行ったのは、東京都での新型コロナ感染者数が千人を切った日の翌日で、電車に乗るのは二年四カ月ぶりだったが、感染者数はその日にはまた千人を越し、さらに三万、四万まで増えていて、あの一日しかなかったこ…

知らないで驚く

私が高校生のころ、予備校でもらった二枚折の冊子か何かに、予備校の日本史の教員が、「円座」を「わろうだ」と読むことをこないだまで知らなかったのでショックを受けた、と書いていた。そのあと、学問は難しいものだとでも続いたのだろうか。しかしこの人…

作家の取材と研究

吉村昭が、俳人・尾崎放哉の最晩年を描いた『海も暮れきる』を読んだ。放哉は私の好きな俳人だが、実に凄惨な最期だった。ところでこれは77-79年に講談社の『本』に連載されたもので、吉村は放哉歿後50年くらいで、小豆島へ行って関係者の話を聞いて書いてい…

夏目漱石と厨川白村

『アステイオン』に張競さんが厨川白村の伝記を連載している。これはミネルヴァ日本評伝選で予告されていたから、それになるのか、よそから出るのかは知らない。昨年の6月ころ、ふと読んでみたら、漱石が主宰する朝日文芸欄に白村が寄稿するので、漱石から白…

幕見席(最終回)

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幕見席(5)

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幕見席(4)

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幕見席(3)

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幕見席(2)

学校の図書館でもせっせと歌舞伎の本を借りてきて読んでいたのだが、すぐに「壁」にぶち当たった。「忠臣蔵」といえば、「歌舞伎の独参湯」とか言われているのに、元は「人形浄瑠璃」だと書いてあるのだ。ど、どういうこと!? と女子中学生の頭は混乱した。…

幕見席(1)

中学三年の川波真佐子が通っている公立中学校は、ちょっと見には分からないが、真佐子の家からは少し高いところにあった。だから、学校まで歩いていると、途中でしんどくなったり、汗をかいたりする。だが、それがちょうどいい運動になっているらしかった。 …

耕治人と川端康成と私道通行権

「そうかもしれない」などの「命終三部作」私小説で知られる耕治人は、川端康成に師事していた時期があり、しかし川端の妻の妹・松林から土地をあっせんされたものの、トラブルになり、被害妄想から、川端に土地をだまし取られたと思っていて、川端没後に発…

津原泰水と私

私が津原泰水という作家を知り、いきなり電話で話して面倒なことになったのは、ちょうど十年前、2012年9月のことだった。二歳年下の津原は、当時川上未映子とトラブルの関係にあった。これは2010年に川上が新潮新人賞の選考委員に抜擢された時、津原が異を唱…

音楽には物語がある(46)小林幹治と「みんなのうた」 「中央公論」10月号

前回触れた小林幹治という作詞・訳詞家については、ご子息で俳優・演出家の小林顕作さんに連絡をとって、いろいろご教示をえた。小林顕作という人はそれなりに知られた人で、私は毛皮族という劇団の「天国と地獄」という演劇をDVDで観たが、そこではプルート…

小説を読まない人

小宮彰さんの追悼文に、前川裕さんのものがあった。やはり比較の出身で法政大で英語を教えていて、「クリーピー」で作家になった人だが、前川さんによると、小宮さんは小説を読まない人だったらしく、「クリーピー」読んだよ、とだけ前川さんに言ったという。…

著書訂正

「里見とん伝」 間違いというのではないが、里見の正妻まさと愛人お良は、会ったこともないと思っていたら、何かあると相談して里見家のことを決めていたということが分かった(「かまくら春秋」2022年10月号、伊藤玄二郎発言)