2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

暴力的演劇

その昔、村上龍が「演劇は暴力装置だ」という文章を朝日新聞に書いたことがあった。演劇が好きだった私は、へえ村上龍は演劇が嫌いなんだ、と思った。 柴幸男の岸田戯曲賞受賞作「わが星」は、戯曲を読んだ時点で、なんだかうるさそうな舞台だなと思った。ず…

藝養子と養子

『猿之助三代』で、中村梅玉、魁春、東蔵について、歌右衛門の養子、藝養子と書いておいたら、梅玉と魁春は養子で、東蔵は藝養子では、と言われた。 ところが、梅玉は歌右衛門の河村姓になっているが、魁春は平野姓である。さる箇所では河村になっているが、…

消費税に関する嘘の説明をやめよ

私が、初めて確定申告をしたのは、一九九九年に大阪大学を辞めて、たまたまその年に本が売れて多量の文筆収入があったので、その翌年のことである。私は元来、経済というのが苦手で、今でも、経済学というのが役に立つのかどうか疑問に思っている。経済学者…

尾崎翠の勘違い

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20101220 浜野佐知の『女が映画を作るとき』(平凡社新書、2005)を見ていたら、 「尾崎翠は、当時の日本文学の主流である自然主義を真っ向から批判した、表現主義、モダニズムの作家であるとされる」とあった(46p)。 …

樺俊雄の謎 

佐藤春夫というのも、ちゃんとした伝記のない文学者だ。あまりに作品量が膨大で、『定本佐藤春夫全集』は36巻別巻2、おのおの450p以上ある。研究している人はいるが、まとまらない。 で、佐藤の弟子だった竹内良男の『華麗なる生涯‐佐藤春夫とその周辺』(19…

新刊です

久米正雄伝―微苦笑の人作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2011/05メディア: 単行本 クリック: 69回この商品を含むブログ (16件) を見るhttp://www.chuko.co.jp/tanko/2011/05/004200.htmlなお112p、久保勘三郎の没年は1961年のようだ。 1…

http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/what's%20new/2011/koyano518.pdf 鈴木氏の反駁文は、本筋とは関係のない話が多く、そこで「博識」ぶりを開陳するので、それに幻惑されてしまいがちだ。私も、余談を誘発するようなところがある。そこでそういうあたり、…

通説への疑問 

小説家というのは、昔は戯作者としてバカにされるアウトローだった、という。それが変わったのが、石原新太郎が芥川賞をとった昭和30年ころだという通説がある。 しかしどうもこの説は胡散臭い。だいいち、「太陽の季節」や「太陽族映画」は良識派の顰蹙をか…

書かなかった話

『久米正雄伝』に、入れようかどうしようか迷って結局入れなかった資料がある。七尾京子「偽久米正雄と結婚した話」(『婦人公論』1930年12月)である。著者は、どうも新潟辺で藝者をしていて、関東大震災のころ、久米の境遇に同情していたら、久米が講演に…

http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/what's%20new/2011/koyano516.pdf[ 鈴木氏の「民衆文学」という語についての説明は、混乱しきっている。 1.西鶴、芭蕉、近松を「民衆文学」とする。そして「自然発生的で為政者の弾圧に耐え」などと称揚する。 2.日本…

1955年(昭和30年)の『文藝年鑑』を見る。これには前年雑誌に発表された小説の題目が載っている。雑誌ごとの分類で、二つに分けられており、1)は「綜合・文芸・同人誌」で、『新潮』『群像』『文學界』『文藝』『文藝春秋』『別冊文春』『中央公論』『世…

http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/what's%20new/2011/koyano5012.pdf 西鶴、近松、芭蕉を「民衆文学」とするのは、単なる鈴木氏の「意見」に過ぎない。なるほど北村透谷は、近世の、遊里を中心とした文藝を批判しつつ、それが民衆の文藝だからというので、…

言うに忍びないが

言わないと私の精神状態が危機に陥るので。 猫猫塾に来た男子。某私大を出てかなりいい大学の院に入ったという子で、論文も活字にしている。先日、夏目漱石から話が正岡子規になって、俳句の歴史を訊いたら、何も知らなかった。俳諧連歌の発句が独立したとい…

http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/what's%20new/2011/koyano511.pdf 私は、西洋文学で大衆文学が文学史に入っていた、などとは言っていない。日本でも同じことで、日本文学史は特殊ではない、と言っているのだ。明治期の家庭小説も新聞小説も、文学史から…

http://www.nichibun.ac.jp/~sadami/what's%20new/2011/koyano509.pdf もう終わりかと思ったらまだ続いていた。さすがに鈴木氏も、20年かけてやってきたことを今さら間違っていましたとも言えないだろうから、私も終わりにするつもりである。鈴木氏は戦略だ…

塚本明子先生が駒場へ来たのは、ちょうど私が大学院へ入った年で、46歳になった年だった。筑波から来たので、加藤百合さんと同じということになる。 川本先生だったか、塚本先生を紹介して、イギリスで博士号をとって、ケンブリッジかオックスフォードか、と…

海外の通俗小説 

19世紀後半から20世紀のフランスのロマンスつまり通俗小説に関する本。Romance and Readership in Twentieth-century France: Love Stories (Oxford Studies in Modern European Culture)作者: Diana Holmes出版社/メーカー: Oxford Univ Pr on Demand発売日…

団鬼六

団鬼六が死んだ。私は団の『花と蛇』などは、少しも読んだことがない。SMに興味がないからである。しかし、団に書評をされたことはある。浜田山に住んでいたことになっているが、実際は東高井戸である。が、自転車ですぐである。 団の新潮文庫に入っている…

もてるスパイ

ジョン・ル=カレの『寒い国から帰ってきたスパイ』を読んだ。実は私は、高校時代に、新聞のコラムで、『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』を読んだ記者が、途中までは退屈で、何でこんなものが名作扱いされているのだろうと思っていたら、後半に…

デーヴァダース

インド映画『デーヴァダース』。原作は1919年に書かれたロングセラー。2002年の何度目かの映画化にあわせて鳥居千代香先生が邦訳していたのを知り、知った。 鳥居先生は長く帝京女子短大の非常勤をしていて、近ごろ助教授をへて教授になられたが、私が1993年…

ヴェンセスラオ・デ・モラエス

以前、東大で一年生を教えていた時、日本へ来て最初に日本を紹介した西洋人は誰だ、と訊いた。私としては、「シーボルト」と言われたら、もっと古い人、と言って、ルイス・フロイスへ辿りつくつもりだったのだが、理系だったせいか誰も分からず、ただ一人だ…

根が左翼

要するに問題は根が左翼なのである。マルクスとか浅間山荘とか安保とか聞くと興奮してしまうのである。ほかに吉本隆明とか柳田國男とかもある。私にはそういう「根が左翼」がないのである。 これは、天皇礼賛をしている人にもある。逆に言えば、谷沢永一は根…

特記訂正

『名前とは何か なぜ羽柴筑前守は筑前と関係がないのか』(青土社)のp.100に「有職読み」という語が出てくるが、このような言葉は存在しない。これは2006年何者かによってWikipediaに立項され、その内容がいかにもありそうだったため、以後増補が続けられ…