2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

著書訂正

「近松秋江伝」 p、32「塩谷」→「塩屋」(二か所) p、80「一件一件」→「一軒一軒」 「<男の恋>の文学史」(旧版) p、214「一件一件」→「一軒一軒」 「<男の恋>の文学史」(改訂版) p、275「一件一件」→「一軒一軒」

呉智英さんと私

呉智英さんと絶縁してから五年くらいになる。絶縁といっても、単に新刊が出ても送らないというだけで、新刊を送ると旧仮名遣いで書かれたハガキが来るという程度のつきあいでしかなかった。 若いころは尊敬していたが、だんだん薄れていった。『読書家の新技…

有吉佐和子「開幕ベルは華やかに」アマゾンレビュー

小谷野敦 5つ星のうち3.0 白鳥の歌 2020年11月17日に日本でレビュー済み 二年後に急逝した有吉の遺作というに近いだろう。帝劇という実名で出てくる劇場での、川島芳子を描いた芝居に主演する70代の大女優・八重垣光子、相手役の中村勘十郎。後半から殺人予…

「翻訳学」は存在しない

12月に徳島の文書館で先輩の杉田英明さんと公開対談をする予定だったのだが、コロナで行けなくなり中止になった。 syougai.tokushima-ec.ed.jp 明治の翻訳家・井上勤についての話だったが、あまり井上について訳書以外のことは分かっておらず、どうなるの…

栃野の世界(3)

結果として、栃野へのあからさまないじめはあまりなくなったが、栃野は私と大川ばかり相手にするようになり、放課後、駅まで三人で歩くということもよくあった。しかし栃野は、決してつきあって楽しい男ではなかった。 今でも十条に朝鮮学校があり、私らの学…

栃野の世界(2)

ある意味で、クラスの大部分の生徒からハブにされた栃野は、私や大川、あと生徒会長に立候補して当選してしまった清見原などと話すようになった。清見原というのは、それほどの人格者というわけではないが、私や栃野と一緒にいても、窪木から狙われないとい…

栃野の世界(1)

(「ミゼラブル・ハイスクール1978」の一部を書き直したもの) JR山手線の新大久保駅と中央線大久保駅の間は「コリアン街」になっている。この二つの駅は、新宿駅から中央線と山手線が分かれるために隣接している二つの駅である。今では、東アジア街と…

学問のオリジナリティ

学問のオリジナリティということは以前からしばしば問題になる。歴史学でも文学でも、新しい資料を発見してきたらそれはオリジナルだ。だが誰もが新しい資料を発見はできない。 そこで、明治大正期の本を見て、こりゃまだ誰も言ってない、といって発表するに…

玉三郎×三浦雅士

1995年に、ETV特集で坂東玉三郎が取り上げられ、間に玉三郎と三浦雅士の対談があった。双方40代であった。私にはこの双方意気投合という風の対談が難解で分からず、当時佐伯順子さんに見てもらったら、佐伯さんは分かったらしい。今回DVDに焼いたので…

中村詳一

中村詳一伝」 藤井禎輔 編著. 「中村詳一伝」刊行会, 1966、という本を入手した。英文学の翻訳家だがほかにもやった人らしい。伝といっても色々な人が書いたものの寄せ集めなので、以下にまとめた。 中村詳一(1889年ー1962年10月14日)山口県阿武郡佐々並村…