2026-02-01から1ヶ月間の記事一覧

新田次郎の愛読者

新田次郎の長篇『アラスカ物語』というのを読んだ。明治元年に岩手県石巻に生まれた安田恭輔(フランク安田)という男が、アメリカへ渡って船乗りになるが、アラスカに定住してエスキモーとインディアンが雑居するビーバー村を作り大酋長などと呼ばれる話で…

田中希生の歴史小説論

grokとやりとりした結論部分だけ記録しておく。 「しかし、徳富蘇峰は「歴史小説」を書いたわけではないし、『夜明け前』も、歴史小説と呼ぶ人はいるけれど、藤村の父を主人公とした、拡大私小説です。田中は「歴史小説」という言葉を恣意的に用いていると思…

乃木希典の妻殺し

1978年8月に、二時間の単発ドラマ「獅子のごとく」が民放で放送された。当時私は高校一年だったが、森鴎外を江守徹が演じるこのドラマは大層面白く観た。鴎外の二人目の妻を十朱幸代が演じていたが、鴎外は二人目の妻しげを「美術品のようだ」とその美貌を褒…

竹内信夫先生のこと

竹内信夫先生(1945-2026)が2月3日に死去したと連絡があった。81歳になったばかりだった。ルソーの本でも書いたが竹内先生は私が大学一年の時に第三外国語でフランス語を習った人である。もっとも二学期からル・クレジオを読み始めたので挫折した。その後…

アランと反ユダヤ主義

大岡昇平の『小林秀雄』という、2018年に中公文庫でオリジナル編纂されたエッセイ集に、山城むつみの解説がついている。山城はここで、「エミール・オーギュスト・シャルチエ」の「アラン」について書いている。アランは第一次大戦に従軍したあと、「反ファ…

大江健三郎の小説では

そういえば、大江健三郎の小説では何を読んだらいいかのリストを作っていなかったので、ここで作る。 「奇妙な仕事」 「人間の羊」 「空の怪物アグイー」 『個人的な体験』 「性的人間」 「セヴンティーン」「政治少年死す」 『万延元年のフットボール』 『…

孫武と女官たち

横山光輝の『史記』を読んでいたら、孫子のうちの一人、孫武の逸話があった。孫呉が新しい君主に仕えて、自分のやり方を見せるため、女官たちを集めて、太鼓を叩いて、右と言ったら右を向き、左と言ったら左を向けと命じた。だが実際にそれをやると、女官た…