2017-01-01から1年間の記事一覧

シェパード

マークートウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』に「シェパードソン家」というのが出てくる。だが綴りが「Shephardson」であるため、新潮文庫の村岡花子訳では「シェファードソン家」と書いてあった。私は修士論文でこの作品に触れて「シェファードソ…

姜在彦が死んだ。私は学生のころ、『朝鮮の攘夷と開化』というのを呉智英さんが勧めていたので読んでみたが、呉さんが言いたかったのは、朝鮮の日本帝国主義からの独立運動は儒教にもとづいていた、ということで、呉さんの周囲にいたマルクス主義者にとって…

http://www4.nhk.or.jp/wildlife/ 10月23日放送の「ワイルドライフ 東京湾海の猛者対決!イセエビ・タコ・ウツボ 天敵?同盟?奇妙な三角関係」をご覧になった皆様へ 番組では、イセエビ・タコ・ウツボの関係を、ウツボはイセエビをおとりのように使い、イセ…

凍雲篩雪

蓮實重彦と学問 『ユリイカ』の臨時増刊号は蓮實重彦特集だった。最近はサブカルチャー雑誌めいてきた同誌には珍しいことで、昔は『國文學 解釈と教材の研究』あたりが、江藤淳や吉本隆明、柄谷行人や蓮實の特集を組んだものだが、今や文藝評論家的な人物で…

野狐忌

西村賢太の『田中英光私研究』第八輯は、田中の研究家でもあり西村が世話になった宇留野元一の追悼号なのだが、その最後に「野狐忌」という、もしかしたら西村の最初の私小説かもしれないものが載っている。ここでは「北町貫吉」という名前になっていて、こ…

新刊です

文豪の女遍歴 (幻冬舎新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/09/28メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見る 著書訂正 110p「徳田国子」→「徳川国子」 218p「加計呂間島」→「加計呂麻島」 220p「ミホは奄美大島出身ではなく東京…

凍雲篩雪

昔、十八世紀英国の劇作家オリヴァー・ゴールドスミスの『低く出て勝つ』(She Stoops to Conquer)というのを英文科の中野里先生の授業で読んだが(『負けるが勝ち』の題で竹之内明子訳が出ている)、その後ゴールドスミスの小説『ウェイクフィールドの牧師…

野田聖子に訊け

http://tsiraisi.hatenablog.com/entry/20170715/1500113252 小谷野敦が、夫婦別姓論は、一見リベラルに個人の尊厳を主張しているようだが、実態は家名存続を願う保守主義だろうと繰り返し発言しているが、 正確には違う。夫婦別姓論者の中にはそういうのが…

歌はともだち

https://www.nhk.or.jp/archives/hakkutsu/news/detail.html?id=145 これは1973年の夏ごろ、公開録画に私は行っているのだがその時にテーマソングが変わったのである。 それまでの歌は「一人の時はソロで、二人の時はデュエットで、三人寄ったらトリオだよ。…

「川端詳細年譜」583p「小尾(十三)」→「小尾(乕雄)」

凍雲篩雪

凍雲篩雪(67)『砂の器』の代作者一、私が所属している日本文藝家協会の『文藝家協会ニュース』七月号の「編集後記」に、「忖度」という言葉を論じて、「日本には「世間」はあるがまだ西欧的な「社会」はないし、法より隠れた世間のおきてが上位にあるのが…

芥川賞は純文学で直木賞は大衆文学だから芥のほうが権威があるだろうと思っている人もいるかもしれないが文化勲章・文化功労者を見ると直木のほうが多い上、2000年以降は直木賞のほうが多いのである。芥川 井上靖 文化勲章(1976) 尾崎一雄 文化勲章(1978…

天皇の言葉を毎日新聞に漏らしたとして宮内庁職員を刑事告発したのは、鍛冶俊樹(軍事ジャーナリスト) 加瀬英明(外交評論家) 小堀桂一郎(東京大学名誉教授) 田中英道(東北大学名誉教授) 水島総(チャンネル桜代表) 高清水有子(皇室ジャーナリスト)…

凍雲篩雪

説得力のない「共謀罪」反対論 他人と意見が違い、議論をする時は、いつでも説得される気構えでいよ、という言葉がある。誰の言葉だか突き止められないが、私はだいたいそういう心構えでいる。 先日来世上を騒がせている「テロ等準備罪」(共謀罪)に関する…

林達夫の剽窃冤罪

都筑道夫の『黄色い部屋はいかに改装されたか』(晶文社、1975)に、わりと唐突に、林達夫の剽窃を示唆するみたいなことが書いてある。118pに「私の友人が平凡社の『林達夫著作集』のなかに、妙なところを見つけて、首をひねっていました」とあり、『著作集…

http://www.honzuki.jp/book/228411/review/181624/ この本を気に入らない人の書評はだいたいこんなものなのだが、私がテレビの二時間ものドラマが好きだなどという事実はない。「刑事コロンボ」とか「スチュワーデス刑事」が好きだというだけで、いわんや二…

ドリヤス工場のおかしなマンガ

今回で三回目になるのだが『文學界』の巻末にドリヤス工場という漫画家の四頁にわたる水木しげる風マンガによる「文豪春秋」というのが連載されている。文豪のエピソードの紹介なのだが、三回目が川端康成で「一途の踊子」と題されている。川端の若いころの…

「凍雲篩雪」が載った『出版ニュース』七月下旬号で、齋藤慎爾が書評の中で、題名をあげていないが私の『芥川賞の偏差値』であろう著作に触れ、鵜飼哲夫のものとあわせて「腑に落ちないのは両氏が候補作についての言及がないことである。全候補作に触れるべ…

凍雲篩雪

凍雲篩雪(65)車谷長吉 79一、今では、昔のような「文藝評論」はあまり見なくなったが、その文藝評論には、論じている作品からの「引用」があり、これこれこのように、と説明されたり論じられたりした。それはしばしば礼賛のための引用であり、文庫の解説…

変な編集者

14日に、祥伝社の堀裕城という編集者から突然メールが来た。「サピオ」で私が取材を受けて書かれた「朝日新聞」のお詫び記事に関して、一冊にする予定はないかというのだ。私は、いや別にありませんが、どういう方向で本にするんですかと訊いた。すると「頭…

「健康ファシズム」の黒幕、日野原重明なにが偉いのか

小谷野敦 聖路加国際病院理事長・日野原重明は、二〇一一年には一〇〇歳になる。私はこの人物について、特に何とも思っていなかった。二〇〇五年には文化勲章を受章しているが、文化勲章というのは歳をとると貰いやすくなるので、高齢をめでて受章したのだろ…

文アルで川端康成のサルベージが始まったんだが、はじめ横光を使ったら「川端のことは彼以上によく知っている」と言い、菊池寛は「彼の才能は俺が見出したんだ」と言っていたが、島崎藤村は「それ小説の題材になるような人?」とか。『八雲』創刊の時に相談…

三文オペニャ

https://www.youtube.com/watch?v=dTdF8QLsxv0 https://www.youtube.com/watch?v=I01fVP9yLqA https://www.youtube.com/watch?v=yO-klecC7wI

歩きスマホも危険だが、イヤホンつけて歩いているのも危険だ。中島ギドーは昔、「騒音」を聞きたくないのでイヤホンでクラシック音楽を聞きながら歩いていてトラックに轢かれそうになったというが、轢かれたら中島は自業自得として轢いた運転手がかわいそう…

気分転換

私が新幹線などに乗れなくなっていた96年ころ、鶴田欣也先生と電話で話したことがあった。谷崎潤一郎も書いているとおり、汽車が怖くて乗れないというのはこの病気をしたことのない人は理解してくれないことが多いので、そこはぼかして、精神状態が良くない…

http://akoyano.la.coocan.jp/ 新しいウェブサイトはこちら。