2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

保苅瑞穂先生とヴォルテール

私が1987年に比較文学の大学院に入った時、保苅瑞穂先生も比較の担当教員の一人だった。その当時は、芳賀、平川、小堀、川本など固定した教員のほかは、駒場のだいたい語学教員からのローテーションで回ってきていて、保苅先生もその一人で、当時ちょうど50…

古典・中古典を読んだ年表

1987年に大学院に入った当時、自分があまりに本を読んでいないという強迫観念から頭がおかしくなって狂ったように読んだことは書いたことがあるが、改めて古典的作品とか有名作品をいつ読んだか調べてみた。題名は一般的なものとし、英語で読んだものも日本…

赤塚不二夫と山上たつひこ

先日、書庫を整理していたら、「ユリイカ」のギャグ漫画特集が出てきて、私は武石りえこと永野のりこについて寄稿していたのだが、春日武彦としりあがり寿の対談を読んで、二人が、鴨川つばめがダメだと言っているのを見て、ちと考え込んだ。 鴨川は、私が高…

インド残酷物語 世界一たくましい民 (集英社新書) 池亀彩ーアマゾンレビュー

ちょっとこの書き方はないわ 星3つ -、2021/12/12 インドでフィールドワークをしている京大准教授、52歳初の単著である。いくつかの逸話が並んでいるが、冒頭に、不可触民カーストの男と結婚した上位カーストの女性が、家族によって夫を殺される「名誉殺人」…

書評・葉真中顕「灼熱」ー「週刊朝日」12月10日号

一九四五年、大東亜戦争と日本では呼ばれていた戦争に日本が負けた時、ブラジルに二十万人ほどいた日本人移民の間で、日本が勝ったというデマが広まった。のちに「勝ち組」「負け組」の争いと呼ばれるようになるもので、日本が買ったと信じる者は「信念派」…

ヴィクトール・ユゴー 言葉と権力: ナポレオン三世との戦い (西永良成) (平凡社新書 アマゾンレビュー

女ぐせの悪さが書かれていない星2つ -、2021/12/10新書版なので、ユゴーの伝記として読む人もいるだろうが、伝記としては勧められない。政治的な側面を、ナポレオン三世を悪玉として描いているが、妻のほかに公然と愛人を作り、ガーンジー島流刑中にも息子の…

音楽には物語がある(34)「さとうきび畑」と沖縄 「中央公論」9月号

「みんなのうた」で「さとうきび畑」がちあきなおみの歌唱で放送されたのは私が中学に入った時(一九七五年)のことだった。生徒が多すぎて従来の建物に収まりきらず、新しい校舎を建てながら一年生はプレハブ教室で授業をしていたのは、小学校三年生で茨城…