2010-01-01から1年間の記事一覧
同志社大院生・杉岡歩美さんから、『日本文学』12月号に載った「研究ノート・中島敦<南洋行>と大久保康雄『妙齢』」の抜き刷りを送ってきてくれた。例の、中島敦の書簡に出てくる大久保の作品に関するもので、2009年7月の日文協大会(於静岡大学)で発表し…
昨年まで四年くらい、今ごろの時期になると、朝日ニュースターの討論番組に出ていた。しかしもう耐えられないので今年は勘弁してもらった。何しろ五時間近く、喫煙できないで座っている。休憩はあるが一回、CM時間に喫煙に出るがすぐにまた始まる。で、へ…
http://homepage2.nifty.com/akoyano/ronsou_index.pdf 索引があればよいよいと言われたので作りました。ここからPDFでダウンロードできます。 なお337p、「笙野はこれには反論せず」とあるが、『新潮』2002年8月号に「お出口はそちらですよ、大塚英志先…
こないだ日文研から二冊の論文集を送ってきた。うち一冊、以文社が制作した「非売品」だが、どうも製本がおかしい。僅かに歪んでいる。商業出版だったら製本会社へ突っ返されてもおかしくないし、まず取次へ出せない代物である。製本はシナノ印刷である。 - …
毎月7日、日曜の場合は6日に、朝日新聞二面の四つ切広告に、『新潮』『群像』『文學界』『すばる』の広告が並ぶ。『すばる』が昔は『海』だったが、『海』廃刊後は中央公論社の広告欄になり、年に四回は『中央公論文藝特集』だったが、これも95年には廃刊に…
http://news.nifty.com/cs/item/detail/sinkan-20101225-1640/1.htm 「元々、伏姫に弟はいないんです。でも、この作品を書くにあたって、伏姫に弟を創ったら急に話が動き出したんです。そこで急遽、姉と弟の確執が入ったりして 伏姫に弟がいない? 里見義成…
『ユリイカ』村上春樹特集で栗原さんが小森陽一の春樹新書をぼろくそに言っていた。ただまあ、春樹というのが、天皇制を否定しなそうな作家だという感じはあるし、文化勲章も喜んでもらうだろうような奴だという気はする。 しかし今日届いた日文研の、酒井直…
『バルトーク晩年の悲劇』を読み始めたがこれはいかんと投げ出す。翻訳もあまりいいものではないのだが、これは著者アガサ・ファセットが、1940年にナチスから逃れた59歳のバルトークが五年後に死ぬまでの見聞を描いたもので、私はバルトークの伝記を求めて…
田久保英夫は、芥川賞選考委員であったが、没後十年、論も伝も出ない。私生児で、ハンサムな人であった。「辻火」は珠玉の短篇である。 と言いつつ田久保をそんなに読んでいるわけではなく、読売文学賞をとった連作『海図』を読み始めたら、妻のいる男が愛人…
http://tanakasan.blog.so-net.ne.jp/ 断わっておきますが津原泰水の作品からの盗用というのは成り立ちません。せいぜいインスパイアされた程度か。 しかし、「自然主義に抵抗した」みたいな書き方はまったく噴飯ものである。谷崎潤一郎が反自然主義的な「刺…
『新潮45』の一月号に、八田利一という人による小澤征爾批判が載っていたのを読んだ。この八田利一という名は、国会図書館で検索すると一冊カメラの本があるが、これは「としかず」と読む別人らしく、「りいち」のほうは『新潮45』で年一回くらい、クラシッ…
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-83860/1.htm 猪瀬直樹の「傑作」発言は確かにおかしいのだが、紀藤弁護士の発言もおかしい。 「過去の傑作や名作を見る限り、権力や権威は傑作を見抜けない。文化というのは結果論に近く、傑作は市民が決め…
神保町のオタどんに委嘱されたような気がしたので、文藝雑誌編集長一覧を作ってみた。ただ1955年以前の分はややこころもとない。なお中根駒十郎が晩年思い出を語った「駒十郎随聞」は『図書新聞』1960年7月から12月まで連載されたが、分量が少なかったせいか…
大橋洋一。地獄ってものは残念ながら存在しない。お前は東大辞めろ。 だいたい大橋が学習院から東大助教授になったのは1996年だから、れっきとした国家公務員だ。そんなに国家が憎いなら、今なお準公務員の地位にあることを恥じてとっとと辞任すべきだろう。…
能は死ぬほど退屈だ―演劇・文学論集作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 論創社発売日: 2010/11/01メディア: 単行本 クリック: 19回この商品を含むブログ (10件) を見る 前にここに書いた同題エッセイが評判が良かったので題名にして巻頭に持ってきました(ブロ…
中公文庫で、表記の本を読んだのである。ショスタコーヴィチが、没後海外で刊行するようにとソロモン・ヴォルコフに託したものとされ、水野忠夫が訳している。実はたいへん面白かったのである。ところが読了してアマゾンレビューを見たら、西岡昌紀氏が「偽…
横山孝一氏から送ってきた論文「J・D・サリンジャーの謎を解く-失恋体験とその影響」(新生言語文化研究会編『英米文学の原風景-起点に立つ作家たち』(音羽書房鶴見書店、1999)を読んで、ちと調べものをした。サリンジャーは太平洋戦争勃発で志願して兵…
坂本満津夫の『私小説の「嘘」を読む』があまりに奇書だったのでアマゾンレビューを書いておいたが、一つ書き落とした。坂本は花袋の『田舎教師』がモデル小説であることに気づいていないのだが、主人公が中学校卒で小学校教師になっているのを「当時既に師…
澁谷知美が『文學界』にエッセイを書いていて、「文学賞の謎」と題されている。文学賞の結果を聞くのになぜ候補者は待機しているのか、というのだが、待機しているのは芥川賞と直木賞で、これは決まるとすぐに東京会館で記者会見をするので、それで待機して…
『坂の上の雲』における、広瀬武夫の「恋人」アリアズナについて、別人ではないかという説が出ているというが、これは新聞の報道だけなので、論文になってみないと分からない。ところでドラマで、広瀬がアリアズナに日本語を教える場面があったが、これは島…
宮下規久朗さんから送ってきた新刊新書に、古代ギリシアの女性裸体彫刻に陰毛が書いてないのは剃毛していたからだ、と書いてあったから、これはどういう論文に書いてあるのかと問い合わせたら、木村重信「ヘアとセクシュアル・トライアングル‐女性裸像の陰毛…
「英語俳句」とかいうものがある。その他西洋諸語で「ハイク」は作られているという。漢語とか朝鮮語でもあるのかどうか知らないが、あれは「俳句」ではないだろう。五七五七七という日本語の音数律で出来ているものを、ただ短く三行で書いたってそれは俳句…
『忠臣蔵とは何か』論争と丸谷才一 丸谷才一(一九二五− )は、三島由紀夫や梅原猛と同年である。東大英文科の大学院を出て、國學院大学の教授をしており、作家として独立したのは四十を過ぎてからのことだ。若いころ、篠田一士らと同人誌『秩序』をやってお…
黒岩さんは、処刑されたあとの管野スガの遺体を、堺利彦がひきとったと、さらりと書いている。しかし、引き取ったのは荒畑寒村と安成貞雄で、このことは『寒村自伝』に詳しく書いてある。『寒村自伝』を見ていないはずはないし、堺が引き取ったという典拠も…
(承前) 今年は大逆事件の百周年だったが、この事件に対する二つの見方の対決は、遂に行われないままだった。というのは、 1、山県有朋によるフレームアップである。管野スガ、宮下太吉ら四人以外は冤罪である。けしからん。 というのと、 2、天皇暗殺を…
大江健三郎の「燃えあがる緑の木」第三部「大いなる日に」に、運動会の障害物競争を「野越え山越え」と改称したことに対して、読書会をやっているお母さんのサークルから、元の名前に戻せ、美しい日本語を守れという要請があったというところから、「障碍」…
平川先生の『和魂洋才の系譜』に、鴎外の遺言状についての論があって、それが、鴎外を批判した中野重治への批判になっていて、中野が反論してきた。平川先生はそれに反論して、それを増補版に載せている。 そのことは知っていたのだが、実は私は中野の最初の…
「恋愛」は明治になって輸入されたという都市伝説はさんざん批判してきたが、徳川時代に男が恋することが美化されなかった、という面はある。 しかし黙阿弥の「縮屋新助」は「籠釣瓶」に先行する万延元年の作だが、ここで新助が芸者おみよに「情婦になってく…
http://miura.k-server.org/newpage1109.htm 新潟大三浦淳先生だが、「柄谷行人‐埴谷雄高‐コム・デ・ギャルソン論争」は書いてある。飛ばし読みして見落としたのかな。昨日メール出したのだが休み明けで忙しいのだろう。(返事来た) なお「条件つきで」とい…
http://www.pipeclub-jpn.org/column/column_01_detail_81.html (第二回)菅直人の返答希望。 - サルマン・ラシュディの『真夜中の子供たち』を読み始めて、なんだまたあれか、と思って少し読んだがやめてしまった。 こういう、三代か四代くらいの一族の歴…