2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

新刊です

このミステリーがひどい! [ 小谷野敦 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 文学 > 戯曲・シナリオショップ: 楽天ブックス価格: 1,620円訂正 訂正した索引:http://www.asukashinsha.co.jp/files/index_m.pdf p23「操作方法」→「捜査方…

著書訂正 『頭の悪い日本語』 p32「葦編三絶」→「韋編三絶」 p70『保守反動思想家に学ぶ本』ではなく、『賢者の誘惑』(双葉社、1995)の南伸坊らとの座談会で、しかも「カイヨワとの対談」とはっきり言っているので、どう直していいか分かりません。 - 井…

自著が出ると幾人かに寄贈する。一時、寄贈のための出費で印税が半分以上消えたことがあったので、最近は控えめにしている。だいたい固定している人と、その本の性質、ないしその本について世話になった人に贈っている。メールや手紙やはがきでお礼を言って…

島左近と島義勇

私は『俺の日本史』で、島左近義勇と書いて訂正された。島義勇は佐賀の乱で処刑された男である。しかし、司馬遼太郎の『歳月』を読むと、島左近と島義勇は、似ている。江藤新平と石田三成は、ともに40歳で戦に敗れて処刑されており、大久保利通は徳川家康の…

江藤は

江藤の姿は、むしろ滑稽であった。・・・佐賀人のほとんど人種的ともいうべき欠陥はユーモアのなさであり、・・・江藤もそうであった。おそらくそのことと根もとでかかわりのあることらしく思われるが、現実というものを自分の存在をもふくめて一段高い視点からな…

凍雲篩雪

(これは一ヶ月前に出たもので、書いたのは二ヶ月前) 前回触れた『絶歌』の件だが、『文學界』の八月号で、栗原裕一郎が短文を書いていて、少年Aと太田出版の行為を「蛮行」と評していた。しかし栗原はかつて太田出版の依頼で書いた、のち『盗作の文学史』…

円地文子『朱を奪うもの』三部作

円地文子の『虹と修羅』を読了した。『朱を奪うもの』を読んだのが2012年なので、三年かけて三部作を読んだことになる。二番目が『傷ある翼』だ。 円地自身が、私小説として読んでほしくないと言ったため、『日本の作家 円地文子』の野口裕子などもモデルの…

チラシ入れると訴えるぞ

久しぶりに実家へ行ってきたが、郵便受けがチラシだらけである。これは今後苦情を言って、それでもやめなければ訴えるしかないと思った。だいたい実家は人が住んでいないからゴミ処理ができないのである。 - 大佛次郎を「だいぶつじろう」と読んだ東大生がい…

大笹吉雄の『現代日本演劇史 昭和戦前編』を見たら、検閲の話のところで、 「山本有三さんの「嬰児殺し」を松本幸四郎が浅草の常盤座で上演しようとして台本を出したら不許可になった。何故かときくと、『巡査の役が松本幸四郎のような美男でなくては困る』…

飯嶋裕治論文について

『比較文學研究』100号に、長く東大比較の助手ー助教をしてきて今は九大にいる飯嶋裕治氏の論文「大正改元期における和辻哲郎と田中王堂」という論文が載っている。この雑誌は昔は査読なしだったが今は査読誌のはず。 その結語が、こんな風になっている。 い…

「疑惑」と三浦和義

1985年12月28日の夜にNHKで、「疑惑」というアメリカの三時間ドラマが一挙放送された。サスペンスドラマ「疑惑」 <第1部>―雨の夜の惨劇・動機のない容疑者たち― <第2部>―執念の追跡・血液型が語るもの―」で、ジョー・マクギニス(1942-2014)のノンフ…

野村胡堂の『随筆銭形平次』(旺文社文庫)をぼちぼち読んでいる。別に銭形平次についての本ではなくて胡堂の自伝と随筆だが、盛岡中学にいたころの「山田敬一」という級友が、憑依されて、電信柱を拝んだり、自分が寝る床や枕を拝むようになったという話が…

盲目的な恋と友情・書評

昨年七月に『週刊朝日』に書いたもの。 「盲目的な恋と友情」辻村深月 十数年前に、藤堂志津子の小説を読んで、こうも女の真実をえぐる直木賞作家がいるのかと感心して、しばらく藤堂作品を読んできたが、辻村深月の直木賞受賞作『鍵のない夢を見る』を読ん…

先日出ていた某SB社の編集者だが、一ヶ月半ほど前にも企画を出してきて、それが「日本を訪れた外国人」とかいうもので、面白くないのだがやたら細かい。しかし見ていると、この人は私がシーボルトをドイツのスパイだと言っているのも、ラフカディオ・ハーン…

「読みやすくなった」の真相

吉本隆明の『共同幻想論』が「改訂新版」として「読みやすくなった」との触れこみで角川文庫から出たのは、1982年1月、私が大学へ入る直前だった。実際に読んだのは数年後だが、どこが「改訂」されて、どう読みやすくなったかまでは調べなかった。呉智英さん…

「黄金の日日」の八代幸四郎

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20140205 この続き。『黄金の日日』第33話「海賊船」は、主演の市川染五郎(現松本幸四郎)の実父・八代幸四郎が、助左衛門の実父かもしれない海賊船の船長として特別出演している。もちろん止め。 これは天正13年(1585…

『週刊新潮』に、瀧井朝世による、金沢百枝さんの『ロマネスク美術革命』(新潮選書)の書評が出ていた。瀧井は同書から、私たちの目は「名画スタンダード」に曇らされていないかというところを引いて、この本に出ている中世の絵を「ヘタウマ」などと思った…

『すばる』10月号に、倉橋由美子をめぐる、豊崎由美、栗原裕一郎、岸本佐知子の鼎談が載っている。私は倉橋というのは結局大した作家ではなかったと思っているのだが、最近なんだか幻想趣味か何か、森茉莉とか尾崎翠とかと似たような感じでリバイバルしてい…

私が中学一年の時である。校舎が足りなくて、一年生はプレハブ校舎で授業をしていた。 私は週一回の課内クラブで落語研究会へ入っていたのだが、入ってほどなく、先生が作った、早口ことばなどを書いた刷り物が配られた。 ところが授業の終わり際、その日休…

http://yondance.blog25.fc2.com/blog-entry-4247.html この記事は面白い。私は最相葉月という人がどうもうさんくさく思えてならないのだが、その感じとここで書かれていることとはぴったり符合する。 河合隼雄というのはオカルトであるユングの、さらに通俗…

『文學界』の伊藤比呂美の連載「切腹考」で、伊藤と渡辺京二の対談が引用されている。伊藤は、海外では人なつこいと言い、渡辺は昔は日本もそうだったと言っている。伊藤は、そうかなあと言っている。 昔の日本、というのは戦前までだが、人は身なりで階級が…

ちょっと縁があって、仙台文学館から毎月ニュースレターが送られてくる。小池光、すなわち大池唯雄の息子が館長になってから、裏に当たる箇所に小池のエッセイが連載されるようになったが、これが毎回、何ともいえずビミョーにずれている。 今回は、北陸新幹…

十年ほど前か、呉智英さんと電話で話した時に、呉さんにシナ人の知人ができたが、しばらくたって気心が知れてきたところで、「実は俺、シナって言うんだけど」と話したら、まあ分かってくれたという話。多分、片言の日本語はできるが読めないという人だった…

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20150820 二日ほど前から、このエントリーに対して、はてなから、小林聡子から、著作権侵害の申し立てが出ていると言ってきている。私はウソを書いて名誉を傷つけられたから書いたのであると答えると、では引用元を記して…

楠木建という人

経営学者で一橋大教授の楠木建(1964年- )という人が、あれは一年半くらい前からか、むやみと私の小説をはじめとする著作を礼讃し始めた。ツイッターにもいたのでやりとりしたが、まあ最初は喜んだものの、どうもその褒め方は変ではあった。つまり、珍獣を…