1985年12月28日の夜にNHKで、「疑惑」というアメリカの三時間ドラマが一挙放送された。サスペンスドラマ「疑惑」 <第1部>―雨の夜の惨劇・動機のない容疑者たち― <第2部>―執念の追跡・血液型が語るもの―」で、ジョー・マクギニス(1942-2014)のノンフィクション小説「Fatal Vision」を同題でドラマ化したもので、出演はゲイリー・コール、カール・マルデン、エヴァ・マリー・セイントらである。1970年にノースキャロライナで起きた、雨の夜にジェフリー・マクドナルドという軍人の家で妻と子供二人が惨殺された事件で、当初は外部からの侵入者の犯行とされていたのが、のちマクドナルド自身の犯行と疑われるという筋である。ここに詳しい。
http://www5b.biglobe.ne.jp/madison/murder/text4/macdonald_jeffrey.html
しかし、そのドラマを観ているうちに、それがその頃無罪判決の出ていた三浦和義を彷彿とさせることに気づかざるを得ず、これはどういうことかと思ったものだ。中でも、マクドナルド(コール)が悲劇の主人公としてテレビのワイドショーに出演し、殺された妻の両親がそれを観ていると、司会者の「その晩は何をしていたんですか?」という質問に、「ワイドショーを観ていました」と答えると、客席から笑いが起き、妻の父が「なんだ、なんでここで笑うんだ?」と驚き、そのショーが何やらお笑いショーのようになっていくところが無気味だった。