「神経症は君だけじゃない」に行ったこと

 大阪大学に勤めていたころ、不安神経症になった。夏休みに実家へ帰っていたがよくならないので、東大病院にかかり、抗不安剤と抗うつ剤を処方されて、飲んでいたらよくなっていったのだが、半年ほどして、いつまでも薬を飲んでいてはいけないと思って自己判断で薬をやめたら大変なことになり、四月に大阪へ帰ってまた薬を飲みながら療養していた。96年のことだ。

 それで大学構内などに貼ってあった「神経症は君だけじゃない」というチラシを見て、一度だけ大坂城の近くにある「メンタルヘルス友の会」の会場へ行ったのだが、それは貸しビルの一室で、主催者側の男性三人、女性一人くらいがいて、来訪者は五、六人だったか。時間がきて主催者の講演者が話を始めたが、それは、親鸞聖人の教えを説くもので、あなたの病気は三世の理というものです、というものだったから、私はうすうす予想していたが、ああ、宗教か、と思った。

 終わって、こういう会だとは思わなかった、と怒り出した人がいた。まあ当然だ。ところで主催舎側にいる女性は、ちょっと美人だったし、言うこともいい人っぽかった。怒っている人が、おそらくその女性を指して「まあいい人みたいだし」と言ったのを聞いて、私は内心で、ふっと思った。こういうのを抑えるためにちょっと美人目の女を置いておくんだよね、と思ったからである。

 私はその頃には、薬を飲んで結構回復していたのだが、特に怒ることもなく、ただ黙って帰宅した。

 のちにそれが「浄土真宗親鸞会系の新興宗教・真流一の会」の勧誘活動であることが分かった。のち見ていると、新興宗教にはどういうわけか美人が一人は混じっているのだが、考えてみるとオウム真理教には美人はいなかった気がする。なんでだろう。