自著が出ると幾人かに寄贈する。一時、寄贈のための出費で印税が半分以上消えたことがあったので、最近は控えめにしている。だいたい固定している人と、その本の性質、ないしその本について世話になった人に贈っている。メールや手紙やはがきでお礼を言ってくる人はだいたい三分の二、中にはメールが通じているのに郵便で送る人もいれば、ツイッターで言及するだけという人もいる。
 最初の本を出した時は、何も言ってこないような人に腹が立って、当時の手帖にそいつらの名前が列挙されて「なんだこいつら」などと書いてある。だが何冊も出すうちに、別に気にならなくなった。
 私のところへ来る本でも、まあ目を通すのは、自身の関心に関わる場合、好きな作家の場合である。時には、私の指向性とはまったく関係なしに編集者が送ってきて「乞御高評」なんてスリップが入っていたりする。
 まあ、特にこういう本に関心がないだろうという人に送って何も言ってこなくても別に腹は立たない。