清水基吉の酒乱懺悔で思い出した。南條竹則『酒乱』じゃない『酒仙』新潮文庫版(1996)の解説は、こんな文章だ。
古今東西、酒についての名言珍言あまたある中で、江戸は文化年間に式亭三馬が著した『酩酊(なまえい)気質』『一盃綺言』は凄まじく、悪たい上戸に泣き上戸、理屈上戸にねち上戸、腹立ち上戸と耳が痛い。
耳が痛いも道理、書いたのは阪大助教授渡辺秀樹である。なお『幻想文学』の常連執筆者・並木二郎が南条の筆名であることは、この解説に書いてある。しかし改めて読むと渡辺秀樹って文学研究者になるべき人だったと思うのだよな。
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学者はよく「自分の本来の専門は」といったことを言う。たとえば高田衛のことを、世間の人は馬琴の専門家だと思っているだろうが、実は上田秋成である。小森陽一は漱石ではなく二葉亭かな。そんな堅苦しいことを言わんでもよかろうと人は思うだろうが、大学院生の頃からあまり忙しくない若いころにやったものというのはバカにならないという面もあるのだ。