2026-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「女学者丁々発止!」と金塚貞文

私の最初の本『八犬伝綺想』が出たのと同じ1990年6月に『女学者丁々発止! われいかにしてフェミニストになりしや・ならざりしや』という軽装版の本が出た。当時話題の女学者たちに島崎今日子がインタビューしたもので、佐伯順子さんも出ていたので見つけて…

岡崎祥久「キャッシュとディッシュ」アマゾンレビュー

この表題作は『文學界』に載った時、倉本さおりに教えられて読み、その哀切さは「フランダースの犬」どころではないと思い、私が勝手に作っている「小谷野賞」受賞作にした。それが倉本らの尽力で一冊になった。倉本が解説を書いているが、倉本は触れていな…

伝記のウソ・ホント

丸谷才一の伝記を書こうかと思っても、日記や書簡などの資料がないとちゃんとしたものは書けない。本人の自伝から再構成する伝記というのはあるが、丸谷のように、私小説を嫌い、自分のことはなるべく秘してきた人は無理である。 学問的にいえば、日記や書簡…

秦恒平さんの思い出

作家の秦恒平さんが90歳で亡くなった。私と誕生日が同じだったが、「清経入水」で太宰治賞をとってデビューしてから、多くの小説・評論を書き、小森陽一が示唆した、夏目漱石の『こころ』で、「私」が「奥さん=静」と結婚するという結末を持つ「心・わが愛…

英文科の英語至上主義者たち

英文科には、翻訳で読むということをとことんバカにする学生というのがいた。もっとも私が知っているのは上のクラスにいた二人だけである。一人は角山(仮名)という、体育会系の男で、もう一人がアメリカ文学者になった竹本憲昭さんである。 私と同じ文三四…

大山祐亮「トンデモ学説をぶった斬ったら比較言語学の入門書になった件」アマゾンレビュー

星5つ中5つ 終わらせる勇気 2026年6月7日に日本でレビュー済み 大変素晴らしい本であった。トンデモ学説は相手にしないのがアカデミズムの作法で、相手にしたらその人自身がトンデモ扱いされるという中で、もしかしたら出世は捨てているのかもしれないが、最…

桜井浩子とひし美ゆり子の記憶力

昭和期ウルトラシリーズは、森次晃嗣以外の隊長役は全員鬼籍に入り(小林昭二、中山昭二、塚本信夫、根上淳、瑳川哲郎、名古屋章、東野英心(副)、三谷昇(副)、中山仁)、主役では団時朗が去り、隊員では二瓶正也、阿知波信介、池田駿介らが死去している…

西恵子の「あげてよかった」を観た

西恵子といえば、「ウルトラマンA」の美川隊員である。瑳川哲郎の隊長が出動命令を出す時、「美川隊員は私と一緒に」といつも言っていて、隊長機に同乗する美女である。初期ウルトラシリーズでは唯一、戦闘隊内に美人が二人いた片方である。 その西恵子の、…

歴史学に「まとめ」は必要か?-「観応の擾乱」を読む

垣根涼介の直木賞受賞作『極楽征夷大将軍』を読んだら、足利尊氏ー直義兄弟の奇妙な関係が前半は面白かったが、後半で観応の擾乱になってからはあまりに武将たちの動きがぐちゃぐちゃで難儀したので、亀田俊和の『観応の擾乱』(中公新書)を読んでみた。こ…

谷崎潤一郎の「一日」

谷崎潤一郎が『青春物語』に書いた若い頃の思い出から作成した年譜を見ると、明治43年に和辻哲郎らと第二次『新思潮』を創刊する前の年のこととして、「史劇「誕生」を『帝国文學』(編集長栗原武一郎)へ送ったが没となり、自然主義に妥協した「一日」を書…