2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧
水谷昭夫の『山本周五郎の生涯』(人文書院、1984)を見ていたら、横光利一が純粋小説論を唱えた時、「所詮はむつかしく書かれた通俗小説にすぎないではないかと」久米正雄が「くってかかった」と書いてあった。久米にとって「純文学とは、ただむつかしい小…
「統合失調症」という言い換えのおかげで迷惑している人はいないだろうか。自律神経失調症の人とか、統合幕僚本部の人とか、東郷君とか。小学生の東郷君が「失調症」とあだ名をつけられていじめられているとか。きっと敗戦後しばらく「東条」って名前の子供…
中川右介氏は『聴かなくても語れるクラシック』(日経プレミアシリーズ)で、クラシックが難しいと言われるのは、歌詞がない、あるいは外国語だからだ、と述べているが、それはどうかな。 松田聖子の「ハートにロック」の語り手は、恋人にクラシックのコンサ…
連載漫画の読み切りものでないストーリーものの場合、「次回へ続く」となるのを「ひく」というが、これは一応大ゴマにしてクライマックス扱いしなければならない。だが話の流れとしてそういかない場合があって、私が忘れられないのは『キャンディ・キャンデ…
『天皇制批判の常識』38p「イスラエルの総理は公選制」→「公選制だったことがある」 49p「軍人誣告罪とか」トルツメ - 「仕分け」にあって廃止された現代日本文学の翻訳事業だが、その全容はこちら。 http://www36.atwiki.jp/asianmystery/pages/200.html あ…
図書館でヨッパライのおじさんが青年図書館員にからんでいた。利用カードの作り方を訊いているようなのだが、 「紙とか、ないんですか」 と言い、青年が、いや、今は紙じゃなくて、あそこの端末から、と言うと、 「端末ゥ〜?」 と、どうも紙でないのが不満…
竹内洋先生の『メディアと知識人』という清水幾太郎論が届く。竹内の世代(70代)には、清水は必読書だったと言い、十歳くらい下の人は「過去の人でしょう」と言う、とある。私の世代になると、まず西田幾多郎と区別するための人であり、西田は「きたろう」…
『これから出る本』9月上期号に、演劇学者で明大教授の神山彰(1950- )という人がエッセイを書いていて、歌謡曲には読書に関する歌詞がない、と言い、ペギー葉山の「学生時代」を例外としてあげ、「東京行進曲」にコロンタイの『赤い恋』があったのに削除さ…
杉浦守邦『江戸期文化人の死因』(思文閣、2008)に、間宮林蔵の死因が梅毒と出ているらしいので見てみたら、私の名前が出てきたので驚いた。別に驚くことはないのだが、私は吉村昭が梅毒だとしたのを否定していた(忘れていた)。杉浦は、やはり梅毒だとし…
それは八十年ぶりとも言われる猛暑の最中だった、といった小説の書き出しがあったような気がするが、実際それはそういう夏で、七月半ばに梅雨が明けると、蒸し暑いと言われる日本の夏にしては珍しい、かっと照り付けて、半袖で外へ出ると火傷しそうな、ちょ…
さて、浪速大では、ムラヴィンスキーや牧冬子を呼んで聞き取り調査をしていたが、その秋から、シラバスからムラヴィンスキーの授業が消え、どうやら六か月の停職になったらしかったが、発表されなかったのは、ムラヴィンスキーが異議申し立てをしていたから…
イプセンの戯曲の一つの題名を名前にしてツイッターにいたやつ、と言えば分かる人は分かるだろう。あとで述べる理由から、L君としておいてやろう。こいつが私の周囲をうろちょろし始めたのは、昨年の六月ころだったかな。やたらと人に議論をふっかけては、…
さて私はSNS「ミクシィ」もやっていたのだが、その頃は「あしあと」というものがあって、私のところを見に来た者が分かるようになっていた。その中に「アリマキコ」というのがあって、私のところは色々な者が来るのだが、この名は初めてだったので、行っ…
宮川健一郎(筆名・柳町健郎‐たけお)1911(明治44)3月13日 茨城県結城郡三妻村中妻(のち水海道市中妻、現常総市)の旧家の長男として生まれる。父は五箇小学校校長・宮川清次郎。1936(昭和11)早大英文科卒。在学中、私淑する井伏鱒二をモデルとする「蘭…
その頃私は浪速大のウェブサイトを見ていて、ムラヴィンスキーの新しいロシヤ人の学生というのは、これではないか、と目星をつけたのがいた。それは文学部のほうの大学院生だったが、専門がムラヴィンスキーに近いので、そう思ったのだ。そこで私は、自分の…
私がカナダから帰ってきた翌年か、ふらりと川本先生のゼミに出たら、修士の学生が萩原朔太郎の発表をしていて、それがH君だったのだが、その後聞くところでは、修士論文準備中に精神を病んで、中間発表の時に教官から「君、大丈夫か」と言われたほどで、結…
その晩、記者の女性からメールがあって、会議にかけたが、記事にするかどうかは決まらなかった、彼女の言うことが曖昧だというのがその理由で、女性記者は、明日大阪へ出かけて、ムラヴィンスキーに取材をしてくる、と言い、もし本人が、まったく知らないと…
[著書訂正] 『谷崎潤一郎伝]303pの、おどろおどろしい人魚の絵は「名越国三郎」となっているが「水島爾保布」の間違い。 - 最近はゆるくなったようだが、一時期杉並辺で「自転車狩り」が盛んだった。「駐輪禁止区域」とされた地区では、買い物に行ってコン…
「ゆみ」と名乗る女からの怪しいメールが届いたのは、その頃のことである。しかしこれは、発信されてから二週間ほどたってからのことだった。というのは、そのメールは私のウェブサイト宛に送信されており、ウェブサイトは妻に頼んで作ってもらったもので、…
今日は野暮用のついでに国会図書館へ行ってきた。今年になってからろくなことになっていないので、実に嫌だったのだがそうそう避けても通れないから行ったが、やっぱりひどい目に遭った。 以前は、自分持ちのカードで入館用のカードを入手する手順だったのが…
ミネルヴァ書房日本評伝選(いったい何が「選」なのか不明だが)の川久保剛『福田恆存』は、初の福田の伝記である。私は若いころ、西部さんとか呉智英さんが盛んに言うので、福田を偉いと思っていたが、最近は評価が下がっている。シェイクスピアの翻訳は硬…
名作がくれた勇気 戦後読書ブームと日本人作者: 藤井淑禎出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/08/03メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 9回この商品を含むブログ (2件) を見る