「放置自転車」問題 

[著書訂正]
 『谷崎潤一郎伝]303pの、おどろおどろしい人魚の絵は「名越国三郎」となっているが「水島爾保布」の間違い。

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最近はゆるくなったようだが、一時期杉並辺で「自転車狩り」が盛んだった。「駐輪禁止区域」とされた地区では、買い物に行ってコンビニの前に五分ほど停めただけで、「駐輪禁止」の黄色のステッカーを張り付けられ、場合によっては一晩たってもいないのに撤去されるという暴行である。私がステッカーをとりつけている老人たちに苦情を言うと、「すぐに撤去したっていいんですよ!」などとすごまれた。
 確かに条例を見ると、駐輪禁止区域に置いたものはすぐ撤去していいことになっている。『放置自転車条例』(兼子仁, 関哲夫編著、北樹出版、1983)を見ると、この当時は、すぐ撤去していいという条例はなかったらしく、執筆者も行政側が多くて、撤去する権限については論じられているが、概して、放置自転車をどうにかすべきだという論調である。そこでもっと最近のものとして「市は駅前の放置自転車を即時撤去することができるか」(総務省、清水敦、『自治実務セミナー』2009年2月)を読んで、あっと驚いたのであるが、というのは、1992年の自転車法改正で、放置自転車を即時撤去できるようになった、とあるのだが、それはこれの六条一項である。http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S55/S55HO087.html
 放置自転車とは、「自転車等駐車場以外の場所に置かれている自転車等であつて、当該自転車等の利用者が当該自転車等を離れて直ちに移動することができない状態にあるものをいう」というのだが、これだと要するに、買い物に行って五分ほど置いておいても放置自転車になるわけである。このような法律を放置しておいてはいかんと思う。