2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

1999年に、阪大を辞めた顛末は、簡単に「新潮45」に書いたが、もっと詳細な手記がある。これも、活字にしてもらえないものである。(イニシャルでも)よってここに掲載することにする。 大学教師が、よその大学へ「移る」のではなくて辞職するというのは、…

書店での発見

駒場の書籍部へ行った。本当は図書館へ行くつもりだったのだが、閉館であった。確認を怠った。するといろいろ見つけた。高木博志の著作も出ていた。 不意の発見は水野尚『恋愛の誕生』である。恋愛は12世紀南フランスに生まれたなんて、二十年前の遺物に過…

引用された・・・

中公新書の佐藤八寿子『ミッション・スクール』というのが、著者謹呈で送られてきた。別に知らない人である。私より三つ年上の社会学者で、これが最初の単著らしい。私の本が参考文献にあがっているのかな、と思って見て行ったら、がーん。「小谷野敦 猫を償…

童貞なのはお前だけじゃない

http://freekoi.blog34.fc2.com/blog-entry-74.html 私が『もてない男』を出したとき、『週刊文春』で井上章一さんが「今どき30歳で童貞なんて、トキみたいなもの」と発言、私は井上さんに「抗議」し、「四ケタはいると思う」と反論したが、統計に詳しい人の…

座談会からの失踪

『ダ・カーポ』を立ち読みしたら、吾妻ひでおにあやかって「失踪」を特集していた。なかで辛酸なめ子が、パーティからの失踪を語っていた。私もパーティからはよく失踪する。特に小人数の場合、悪酔いした奴が出てくると逃げ出すことにしている。 しかし、座…

テレヴィジョンは不滅か

「今、検索されている言葉」を見ると、上位はたいていテレビ番組関係である。かつて映画が登場して演劇や見世物の地位を脅かし、テレビが登場して映画を斜陽産業と呼ばしめた。しかしどうも、インターネットは、新聞は脅かしているが、テレビは脅かしていな…

山下悦子の思想と個人崇拝

東京裁判のとき「あなたと東条の間に思想的対立があったそうだが」と尋ねられた石原莞爾が、「東条には思想などというものはない。ないから対立するはずがない」と答えたのは有名な話だが、山下悦子にも思想などというものはない。今の若い人は、十五年くら…

祝! 男児ご誕生

・・・とでかでかと表紙に記してある『週刊朝日』を外国人に示して、これは左翼・フェミニズム系とされる新聞社が出している雑誌だと言ったらたまげられるだろうなあ。オペレッタ(サヴォイ・オペラ)「ミカド」でバカにされるだけの理由はあるよ、日本人は。 -…

増加する戦後民主主義者

糸圭秀実は、井上ひさしを「戦後民主主義者」と呼んだ。天皇を認め、憲法第九条を守れと主張するのがその謂である。私は、井上がかつて激しい反天皇論者だったとして糸圭に反論したが、井上が文化功労者となって天皇の茶会に出たとき、井上は私と、井上を信…

「エマ」はひどい、その他

最初はジェイン・オースティンの原作かと思っていたが、なんか評判なので読んでみたマンガ「エマ」はひどい。あれが当時の英国の階級意識を正確に描いていると思われるようでは困る。「身分違いの恋」という設定にはなっているが、あんな生易しいものでないこ…

種は尽きまじ

恐らくこれからも、次々と新手のバカが現れて、遊女は聖なるものだったとか言い続けるのだろう。『別冊歴史読本 歴史の中の遊女・被差別民』を見つけてそう思った。今のところ、私に批判されているのを知っているのか知らないのか、たぶん知らないのだろうほ…

『谷崎潤一郎伝』訂正その2

(ウェブサイトへ移動) なお河野多恵子『谷崎文学と肯定の欲望』には、谷崎が丁未子を作家にしようとして荷風に頼み、『クオ・ヴァディス』を読むよう言われたとの記述がありますが、隅野滋子からの伝聞と思われ、谷崎と荷風の関係からいって考えにくく、荷…