引用された・・・

中公新書佐藤八寿子『ミッション・スクール』というのが、著者謹呈で送られてきた。別に知らない人である。私より三つ年上の社会学者で、これが最初の単著らしい。私の本が参考文献にあがっているのかな、と思って見て行ったら、がーん。「小谷野敦 猫を償うに猫をもってせよ」・・・・。これである。活字に引用されてしまった。少々焦りつつ、本文中の引用箇所を探したら、「夏の思い出」に関する箇所で、まあ、特に問題はない。
 この方、神戸ファッション造形大学専任講師とあるが、そんな大学あったんだ・・・。どうやら遅く大学院に入った人らしい。京大にいた竹内洋教授に教わったようだから、まさかこれだけ見ているということはないだろう。『恋愛の昭和史』くらい読んでいるだろう。そしてこの文章もすぐ読むだろう。佐藤さん、どうも。
 しかしこの本、パラパラと見ただけで、だいたい何を言わんとしている本だか分かってしまう。タイトルも「ミッション・スクール幻想」か、思い切って「お嬢さま幻想」とかしたほうが売れたと思う。あと巌本善治に「ぜんじ」とあって、間違いではないが正しくは「よしはる」。それと、「蒲団」は今なら「石に泳ぐ魚」のように云々という箇所は、「石に泳ぐ魚」が特殊な例であることからみてあまりよろしくない。現に田中康夫は某相撲の親方の娘との情事を描いている。
 私はあまりミッション校出身ということに幻想は抱かないな。むしろ国立校出身のほうが、家は豊かではないが優秀、という感じがして好感をもつ。

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昇太が「ちりとてちん」をやっていたが、良くなかった。マクラのお喋りが妙につまらないのは、昇太の芸風と年齢が合わなくなってきたからだろう。本題のほうも、こいつ食中毒で死んだらどうするんだ、と思わせてしまって、失敗。ちりとてちん酢豆腐よりも腐敗の度が激しいから、いくぶんファンタジーじみた演出を要する。上方弁でやると、全体がバカ噺めいているからいいのだが、確か小さんもちりとてちんでやっていたが、小さんはやはりうまかった。

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最近、学生による教員評価とか、オークションなどの相互評価とかが盛んで、なんか相互監視社会みたいで嫌なんだが、ぜひ新聞記者の読者や被取材者による評価をやってほしいね。