2007-01-01から1年間の記事一覧

ハレルヤ!

山崎行太郎がいかに罵詈雑言を発していても、私はそれを許せる。なぜなら実名で行っており、その罵詈雑言がもたらすリスクを、山崎が引き受けているからだ。匿名での批判や罵詈雑言が卑怯なのは、そのリスクを回避しているからにほかならない。 さて、私は、…

政治少年死す

「アサッテの人」の諏訪哲史が、『新刊展望』で読書日記を書いている。「風流夢譚」など、封印された作品について書いていて、おやそういうものも読む人なのかと思ったが、大江の「政治少年死す」について、「長年捜し続けた原テキストの入手はついに叶わず…

昨日、第二回公判で、第一準備書面を陳述してきた。その一部を披露する。 5、被告は、「第3の1」の7行目において、「列車内での禁煙を求める声が強い」としているが、その証拠を示していない。また同「3の(2)」7行目において、「利用客の禁煙に対す…

それでも匿名批判は卑怯である

ある場合における匿名批判の意義は認める。自分が勤める企業の内部告発とか、自分の生殺与奪の権を握るような大物への批判とかである。しかし、糸圭秀実や渡部直己の、文藝雑誌における匿名批評の重視は、私にはよく分からない。なぜなら、匿名なら何でも書…

「リンゴの歌」は明るいか?

戦争中から戦後への変遷を語る劇映画やドキュメンタリー番組では、判で捺したように「リンゴの歌」が流れる。そしてドキュメンタリーなら、その明るいメロディーが人々を勇気づけた、などと言われる。 しかし、あれは明るい歌だろうか。私はあの曲の、長調の…

岩波少年文庫の古いの

判型としては新書と同じ岩波少年文庫だが、その古い装丁を若い人は知らないだろう。昔はハードカヴァーの箱入りだった。それが1975年ころに箱なし、ソフトカヴァーになったのだが、今のようにカヴァーはついていなくて、しかも独特の手触りの紙を表紙に使っ…

香山リカの使い回しを目撃

岸本葉子さんが、手術から五年たって、再発率は極めて低く「治った」そうである。たいへん、めでたい。 ところで毎日新聞11日朝刊の香山リカの連載コラムがそのことに触れて、精神科医は「治った」とは言えないからつらい、と書いていた。この連載で、前にも…

昔もあった新書ブーム

いやー新書戦争は大変なことになって、年間200冊くらい出ているようだ。しかし、かつては岩波、中公、講談社の御三家があったといっても、新書とは名乗らないがレグルス文庫、文庫クセジュ、教育社新書、あるいは地味な三一新書とか新日本新書とかもあった。…

メディア研究の方々へ

ウィキペディアでよく「要出典」などと書いてあるが、これに限らず「典拠を示せ」ということは多い。しかるに、その典拠がテレビやラジオだと、再確認できない。再確認できないと、学問的には典拠たりえない。もっとも、学術論文でも「なんたら学会での発表…

子供を叱って何が悪いか!

神奈川県のほうで、ふざけていた高校生を殴った巡査長が逮捕されて、しかし世間では巡査長を支持する声が多く、その後、拳銃型のライターを乗客に向けていて、巡査長はいきなりびんたしたとか、さらには、車内には乗客はいなくて、車内からプラットフォーム…

原武史の軽薄

その、私の本の書評が載っているので買ってきた「週刊現代」に「リレー書評」で原武史が見開きで書いていた。 これを読んで、かねてから軽薄な男だと思っていた原武史が、むしろ前以上に軽薄になっているのを感じたのである。 天皇制反対の左翼なのかと思え…

深沢七郎異聞

「週刊現代」の書評で枡野浩一さんが、「悲望」は芥川賞候補になるだろうと思って知人の有名書評家も同意してくれたがならなかった、と書いてくれた。この書評家は豊崎さんかな? まあ、お悔やみありがとうございます・・・。 芥川賞や直木賞の候補になって…

父子連続死去

例によってバカなことを書こうとしていたら、三谷栄一、三谷邦明が相次いで死んだというニュースでびっくりした。 カナダ留学中、米国人の二人の助教授が「ミタニが言っている」「どっちだ? 栄一か邦明か」などと言っていたくらいである。 夫婦が続けて死ぬ…

植草一秀、分からん

植草一秀の『知られざる真実』を入手。アマゾンのレビューでは既に8人が、植草の無罪を信じてエールを送っている。しかし、一冊買うのはかなりムダなのは確かで、260余ページのうち200ページ程度は、ただの社会評論だし、竹中平蔵がりそなとどうしたとかある…

「著」と「編」

「著」と「編」の違いは気になる。一見「著」のように見えて「編」であることがあるからで、先日の赤松良子の自伝も「編」である。 さて図書館で齋藤孝の『人間劇場』を手にとって、驚いた。これは「著」となっている。「編」と書いてなくて「齋藤孝」とあれ…

ツァーリ的なもの

「天皇をなくしても天皇制的なものが」式でいえば、それを如実に体現しているのが、ロシヤの「ツァーリ的なもの」だろう。実際、ツァーリを殺害しても、スターリン以後、共産党書記長などを頂点とする体制は復活したわけだし、今ではプーチンがツァーリだ。…

安全、安心なやり方

組閣のニュースを見ていたら、天野祐吉が出てきて、例によってテキトーに悪口言って、ダメな大臣にはノーと言わなきゃなどと言っていた。議院内閣制なんだから、大臣へのリコール制度なんてないのだよ。自民党が嫌いなら、その自民党を第一党に選び続けてい…

厄病神?

西村寿行が死んだ。数年前、西村の『大厄病神』という文庫を書店で見つけてぎょっとしたものだが、今年になって赤川次郎も「厄病神」を題名に入れた小説を出している。正しくは、 疫病神(やくびょうがみ) である。「やく」という読みから逆に「厄」を想像…

トゥヴァルについて

地球温暖化で水没の危機にさらされる南太平洋の国トゥヴァル。しかし、土地はすべて珊瑚礁だというこの島々は、中世にも存在したのだろうか。地球温暖化論を批判する薬師院仁志氏によれば、もしトゥヴァルが沈むとしたら、中世において存在しなかったからだ…

森まゆみ、よし

小林君が言っていた、上野千鶴子に関する記事を探していたら、上野の新刊『おひとりさまの老後』の、森まゆみによる書評を見つけた。最初三分の二くらいは、適当に褒めてある。その後、 不満もなくはない。「各種パートナーの在庫くらい、用途別にいろいろ抱…

岩井茂樹氏著について

日文研から、岩井茂樹『恋歌の歴史』という大胆な題名の冊子が送られてきた。分量的には一冊の本である。日文研叢書の一で、岩井氏の本は既に『恋と茶道の関係史』を持っている。岩井氏は総合研究大学院(総研大、日文研に附属する大学院)で「歌道と茶道に…

勘太夫の引退

朝青龍、引退の危機で角界は大騒動、また元横綱琴桜の死去とニュースが続く中、三役格行司の式守勘太夫が、17日、65歳の誕生日を迎え、ひっそりと引退した。 昭和30年6月、今から52年前に13歳で伊勢ヶ浜部屋に入門、当時の親方は横綱の照国、先代の大関清国…

「がん具」はやめい

ニュースに、「中国製のがん具」がどうしたとか書いてあった。むかむかした。「玩具」でいいではないか。画数が多いわけじゃないし。 だいいち、岸本葉子さんは、がん宣告されてしばらく、「がん」の字を目にするだけでどきりとして不安になったという。「が…

「監修」の真実

本に「だれそれ監修」と書いてあることがありますね。だれそれは、たいてい大物です。「監訳」というのもあります。これは「何もしていない。名前を貸しただけ」という意味です。 たとえばサイードの『オリエンタリズム』は、板垣雄三・杉田英明監訳、今沢紀…

バタイユ入門

『先生とわたし』で四方田さんが蓮實先生から「君もMくんやSくんのようにフランスへ留学するんだと思っていました。韓国には映画があるんですか」と言われる場面で、Mくんは松浦寿輝だがSくんは誰か、と言われていたが、あれは酒井健です。 ええ、『バタ…

芥川賞選評

コンビニで『文藝春秋』を立ち読み、芥川賞の選評を見る。受賞作をまったく評価していなかったのが、石原慎太郎と村上龍。前回の受賞作を推した二人である。最近、この二人、意見があう。私も、石原とは、芥川賞に関しては、前々から同意見であることがほと…

バカの巣窟・教えて!goo

教えて!gooがバカの巣窟だというのは周知の事実だが、先日、回答者もバカという例に出くわした。コピペはまずいだろうから、記憶で書く。 「以下の本をどうしても入手したいのです。図書館に問い合わせていますが、僕の人生がかかっています」 といって挙げ…

知的レベルの劣化?

週刊朝日に、四方田さんの「先生とわたし」の長薗安浩による書評が載っていた。いやあ各紙誌絶賛、これなら小林秀雄賞もとれる! 長薗は最後に、今でもこういう師弟関係は成り立つのだろうか、それとも学生の知的レベルの劣化でそれもならないのか、と書いて…

天皇制的なもの

天皇制そのものをなくしても、日本人には天皇制的な心性が残るとか、そういうことを言う人がいる。しかし、そんなものが学問的に、たとえ擬似科学的にでも証明されたことはない。 たとえば「水戸黄門」が天皇制的だという説は、同じような話型が世界中にある…

われめちゃんの始まり

北沢杏子という市民運動家が、1972年に出した性教育の絵本で「われめちゃん」という言葉を初めて使った。その後北沢が出した北欧旅行の記は『白夜のエロスたちーわれめちゃん北欧を行く』という。当時、北沢自身が「われめちゃん」とか「ミス・ワレメ」とか…