バカの巣窟・教えて!goo

教えて!gooがバカの巣窟だというのは周知の事実だが、先日、回答者もバカという例に出くわした。コピペはまずいだろうから、記憶で書く。
 「以下の本をどうしても入手したいのです。図書館に問い合わせていますが、僕の人生がかかっています」
 といって挙げられているのが、池田晶子の『14歳の哲学』と、せいぜい昨年の『文藝春秋』と、やはりそう古くもマイナーでもない雑誌。
 こんなのは、「芥川襲之助の「羅生門」のあらすじを明日までに教えてください」(誤字は意図的)みたいなので、無視・放置すべきものだ。なのに、回答しているやつがいて、国会図書館で検索している。揃ってバカか…。その辺の書店や図書館にいくらでもある本にかかっているなんて、軽い人生だなあ…。
 なんか、それに限らず、最近どんどんバカ質問が増えている気がする。

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あ、師弟関係といえば、北方謙三磯田光一の話が美しかったな。磯田は中央大学で教えていて、当時純文学を目指していた北方は磯田とも少し話すことがあった。北方は周知の通り、書いても書いても売れないで、35歳でハードボイルド小説『逃がれの街』を刊行した。それからほどなく、街中で磯田に会い、純文学を棄てた自分を恥ずかしく思いながら挨拶をすると、磯田が『逃がれの街』の話をするので、北方が「読んでいてくださったんですか?」と驚くと、「うん、あの方向性で行けば、新しいタイプの青春小説になると思う」と磯田は言ったという。
 きっと磯田には、北方がとてもかわいかったのだろう。昔は、赤川次郎でも勝目梓でも富島健夫でも、純文学を目指したり、古典的純文学をちゃんと読んだりしてから大衆作家になったものだが、最近の連中ときたら…。氷室冴子だってそうだったのにねえ。
 (小谷野敦