「がん具」はやめい

 ニュースに、「中国製のがん具」がどうしたとか書いてあった。むかむかした。「玩具」でいいではないか。画数が多いわけじゃないし。
 だいいち、岸本葉子さんは、がん宣告されてしばらく、「がん」の字を目にするだけでどきりとして不安になったという。「がまん」ですらなったという。私なんか、禁煙ファシズム・ノイローゼだから、新聞で、「喫茶」とか「満喫」とかいう語を見ただけで、一瞬、ああまた禁煙ファシズム記事か、と思ってどきりとする。
 だというのに「がん具」とは何ごとか。よろしくすべからくこういう表記はやめにしてもらいたい。

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 この話は、もう決着がついているのかもしれないが、丸谷才一の『男のポケット』を読んでいたら、世界史上、毎年何かが起こっているのに、989年だけは何も起こらなかった、と書いてあった。ほう、そうなのかと思って手元の年表を見たら、ロシヤのキエフ大公がビザンツ皇帝の妹と結婚してギリシャ正教に改宗、とあった。起こっているではないか。なお日本史年表では、空前絶後の大風、とある。