岸本葉子さんが、手術から五年たって、再発率は極めて低く「治った」そうである。たいへん、めでたい。
ところで毎日新聞11日朝刊の香山リカの連載コラムがそのことに触れて、精神科医は「治った」とは言えないからつらい、と書いていた。この連載で、前にも、岸本さんの話抜きでおんなじこと書いていたんだけど。しかも調べたら6月。三ヶ月しかたたずに同じ連載で同じネタ使うなよ…。これが噂に名高い「香山リカの使い回し」か…。
まあ、たくさん本を出す人の場合、話柄が二、三度出てくるのはしょうがない。呉智英さんの本も、けっこう話柄は重複している。あるいは、時事ネタで、別の媒体で似たようなことを言うのも、売れっ子ならしょうがないし、より多くの人に読んでもらえるということもある。しかし、このケースは、ちょっと問題だろう。
(小谷野敦)