「ですます体」の逆襲

 日本近代文学史では、山田美妙の「ですます体」は、尾崎紅葉らの「だである体」に敗れたということになっているが、実際にはですます体はかなり根強く生き延びていて、最近の新書などはですます体が多いし、児童文学も以前からかなりですます体だ。ほかにですます体の小説といえば中里介山の『大菩薩峠』や、野村胡堂の『銭形平次捕物控』があり、中村光夫の文藝評論がある。