地獄の観劇体験

昨日は「シベリア少女鉄道スピリッツ」という劇団(?)を観てきた。
王子小劇場と言う小さいところの自由席で、人気があるらしくキャンセル待ちの列ができていた。私が案内されたのは最前列。あとから詰め寄せてきたので、もう一杯。もうこれだけで、閉所恐怖症の私には地獄である。つまらなかったら途中で立つつもりでいただけにこの時点で真っ青。
 始まってみると、前にユーチューブで観た、テレビ番組のパロディみたいなもので、今回はそれまでのオムニバスになっているようだが、だいたい私はこの手のテレビ番組を観ないから面白くも何ともないし、まったく分からないところで笑う客がいる。そして、確実に、まったく笑っていない客もいる。つまり吉本新喜劇みたいなもので、お定まりの台詞で笑っているのだろう。もっとも、仮にそのテレビ番組を私が観ていたとしても、別に面白くなかっただろうと思う。それほどに、低レベルの笑いだった。
 40分ほどしたところで、ナレーションが入るが、これは町田マリーらしい。これは舞台の批評になっていてつまりメタ演劇になっており、今回は舞台の進行がうまく行っていない、というようなことを言いつつ、客演の多い役者たちを紹介していく。私は誰も知らないのでこれまた面白くない。
 そして、役者が台詞を間違えてネタばらしをしてしまったとか、そういう設定でナレーションが入ったりするが、明らかに台本通りだから面白くないどころか、不快感さえ覚える。一時間ほどしたら帰ろうと思っていたのだが、言った通りの状況で立てない。それにまた、舞台上で投げたものがどういうわけか私の膝の上に来る。骨壷入れと少年ジャンプが来た。
 とにかく地獄の二時間弱で、衰弱し切って外へ出た。笑っていたのは常連客だけだろう。笑いのレベルも中学生並み。これ以前のものを観たとしても、私にはちっとも面白くなかっただろうと確信した。

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水上勉の処女作は書き下ろしの私小説フライパンの歌』だが、その後推理小説で人気作家となり、引き続いて『雁の寺』で直木賞を受賞した。私小説集『決潰』の角川文庫版解説で奥野健男は、『雁の寺』で純文学作家としての地位を確立した、と書いている。直木賞受賞作で純文学作家の、という珍しい例である。

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最初の50pくらいを読むとどういう本だか分かってしまう本というのがある。なぜかみすず書房に多い。裏表紙の解説と最初のほうだけ読むともういい、という。『オルレアンのうわさ』とか『チーズとうじ蟲』なんかがそうで、残りはただ細かいことが書いてあるだけと。