遠い、遠い昔の2002年、今はなき『週刊朝日』の「週刊図書館」という、私もずいぶん(書く方で)お世話になった書評欄に、月一回、「まっとうな本」という、物騒な連載があった。「虫」という匿名で書かれており、一頁分で、今では文壇の大御所になっているような、ないしは当時大御所であった作家の作品をぶった斬っていた書評であり、11月に大江健三郎を酷評したところ、大江の怒りに遭って打ち切りになったと噂されている。ウィキペディアではこの噂は『週刊文春』12月15日号に書いてあることになっているが12月5日の間違いである。(「週刊朝日」の項)
当時『週刊朝日』は毎週送られてきていたから、私も楽しく読んだものだが、今なお「虫」の正体は不明で、このまま埋もれるのは惜しいので、題目だけでも一覧を掲げておく。なお第一回の題名から、斎藤美奈子が執筆者ではないかと言われたが、当時斎藤は否定し、私なら実名で書くと言った。もちろん私でもない。
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2月1日 「『センセイの鞄』に涙するバカなオヤジたち」(川上弘美)
3月1日 「『模倣犯』は『罪と罰』の出来の悪い模倣品」(宮部みゆき)
3月26日「河野多恵子『半所有者』の「詐欺的商法」について」
4月26日「村上龍さん、ご冗談を」
「村上龍"失われた10年"を問う」「希望の国のエクソダス」「「教育の崩壊」という嘘」「あの金で何が買えたか : 史上最大のむだづかい'91~'01」「おじいさんは山へ金儲けに 時として、投資は希望を生む」「最後の家族」「だまされないために、わたしは経済を学んだ」
5月31日「齋藤孝さん、大きなお世話です」『声に出して読みたい日本語』『理想の国語教科書』
6月28日「日木流奈」の正体」
「ひとが否定されないルール」ほか
7月26日「「文学少女」高村薫の大いなる勘違い」
「晴子情歌」
8月30日「「慎太郎飴」はいらんかね・・・」
「老いてこそ人生」「月刊石原慎太郎」
9月27日「「文学ごっこ」が齎した未曾有の惨劇」
平野啓一郎「葬送」
10月25日「カフカが泣いてる『海辺のカフカ』」
11月22日「これをもって小説は最後にすべし」
大江健三郎「憂い顔の童子」