先頃休刊になった「夕刊フジ」は1969年の創刊だが、1971年8月の「ひと・ぴいぷる」というインタビュー欄に大江健三郎が登場したが、掲載された記者執筆の記事を見て激怒したということが、馬見塚達雄『「夕刊フジ」の挑戦』に書いてあった。
といっても大江自身が抗議したのではなく、そのころ週刊誌連載を持っていた大江の義兄・伊丹十三のエッセイで、そのようなことが書いてあったというもので、ちょっと要領を得ないのだが、同書には記事全文が引用されていて、フジ側でも、どこがそんなにいけなかったのか分からなくて、精査した結果、左翼的な大江が成城の「豪邸」に住んでいるというような描写が気に入らなかったんじゃないか、ということになったという。