大江健三郎年譜

1850年 曾祖父・八三郎生まれる。

1855年安政2)内ノ子騒動

1866年(慶應2)奥福騒動

1894年(明治27)父・好太郎生まれる。祖母はフデ。

1902年(明治35)母・小石生まれる。

1914年(大正3)20歳の父と12歳の母が結婚。

1919年(大正8)祖父この頃死ぬ。数え五十歳。

1923年( 12) 姉・一生まれる。

1924年4月24日、好太郎、明智新六らと大瀬革進会を結成、総選挙で窪田文三を応援と決定する。(史料愛媛労働運動史4巻、124p、愛媛新報)

1929年(昭和4)長兄・昭太郎生まれる。

? 次兄・清信生まれる。

1933年、姉・重子が生まれる。

   5月15日、伊丹十三(池内義弘)生まれる。

1935年1月31日 愛媛県喜多郡大瀬村に生まれる。父は大江好太郎、母は小石。長兄・昭太郎(燃料商、歌人)、次兄・清信。姉二人、弟・征四郎、妹一人。父は製紙原料商で、ミツマタ印刷局に届けていた。

   2月18日、京都市でのちの妻ゆかりが伊丹万作(池内)のもとに生まれる。

   

1938年、妹・冨佐子生まれる。

1939年、弟・征四郎生まれる。のち松山西署刑事、警部で退職。  4歳

1941年 大瀬国民学校入学。校長・寺田栄一郎。六年間全優の優等生。  6歳

  小学校で作文が全国コンクールに入選、皇后を讃えたもの。

1942年、シンガポール陥落、マラヤ陥落。              7歳

1944年11月20日 父が急死。

   祖母が相次いで死去。               9歳

1945年 十歳で敗戦を迎える。学校は大瀬小学校と改称。昭太郎は南予の深浦特攻基地で敗戦を迎え、帰る。 10歳

   池内ゆかりは伯父の養女となり松山に行く。

1946年 六年生。                         11歳

   9月21日、伊丹万作死去、46歳。

   中村為治訳『ハックルベリイ・フィンの冒険』、『ニルスのふしぎな旅』などを読む。  

1947年 大瀬中学に入学。二年まで野球部に所属。島崎藤村の詩を読む。  12歳

  「雨のしずく」

1948年 中学二年、子供農業協同組合の組合長に選出される。 13歳

1949年 修学旅行で九州へ行き、ユゴー『死刑囚最後の日』を買う。 14歳

    初めて自分で注文したのが岩波文庫罪と罰』 

1950年3月「書評『罪と罰』」大瀬中学校生徒会誌 創刊号。     15歳

    愛媛県立内子高校に入学。高知の高校を受けるが落ちる(倉橋ら座談会)。

   伊丹十三松山東高校に転入。

   6月、朝鮮戦争にともなうレッドパージに衝撃を受ける。

   7月「初夏の夜」「人間と運命との争闘 ハムレット私見」内子高校生徒会誌『うめの木』

   9月、渡辺一夫『フランス・ルネサンス断章』を買い感銘を受ける。

   10月「赭い秋」「書評 谷川徹三『詩と哲学』」同

   『大菩薩峠』を通読。 太宰治『魚服記』に印象を受ける(津島)   

1951年2月「浪漫的完成について 太宰治におけるその展開」『うめの木』 16歳

    内子高校は受験勉強をせず、大学進学者もいないため、二年への進級時、愛媛県松山東高校へ転校し、越境通学。旧職業軍人の家に下宿する。担任は国語・漢文担当の渡部勝己。

   文藝部で雑誌『掌上』を編集。伊丹十三と知り合う。

   兄に映画「一ダースなら安くなる」を見せられる。

   「緑色の髪の少年」を見る。日夏耿之介訳『ポオ詩集』、大岡昇平編『富永太郎詩集』(創元選書)

   7月「午後の素描」「解脱について」「編輯雑感」『掌上』      

   石川淳が別冊文春に書く短編が好きだった(大いに盛り上がる)。漱石こゝろ』を読む。

   池内が下宿していたところへ安西徹雄と訪れる。

   詩を書く。中原中也富永太郎、ボドレール、ランボーをフランス語でも読む。

   母と兄から大学へ行くよう言われる。

   夏休み、宿題で『暗夜行路』を読む。

   10月、池内は休学。

1952年1月30日「果てしない絵」『愛媛新聞』            17歳

   2月「歴史」『掌上詩集』

    三年生。池内は松山南高校の二年次に編入。

   学校騒動で連日生徒会。

1953年3月 愛媛県松山東高校卒、東大を受けるが不合格。     18歳

  藤沢に下宿して正修予備校に通う。郷里からの仕送りは一万円。(銀行員の初任給一万五千円)サルトルを読む。 

   10月、安岡章太郎『悪い仲間』を買う。

1954年1月24日? 東大の一次試験、降雪で湘南電車が止まり、大船まで歩く。

   3月、受験の帰路、芦屋の伊丹家に寄る。           19歳

   4月 東大教養学部文科二類に入学。石井晴一、山内久明が同級にいた。北区西ヶ原四の三〇加藤方。

   伊丹は大阪大学理工学部を受けるが不合格、上京。

   麻生磯次の授業で西鶴を読む(富岡対談)

   深瀬基寛『エリオット』(筑摩書房)を生協で買う。

   9月 東大学生演劇の脚本「天(そら)の嘆き」を執筆、佳作となる。

   10月4日、谷川俊太郎岸田衿子が結婚。

   11月、駒場祭で「天の嘆き」を上演?

   12月『新潮』に同人雑誌賞として石崎晴央「燒繪玻璃」掲載。

1955年2月、社会党共産党の手伝いをする。

    27日、総選挙(天の声解散)               20歳

   5月、『文藝』第3回全国学生小説コンクールで「優しい人たち」が佳作となる。

   7月、「太陽の季節

    夏、『オーデン詩集』(深瀬基寛訳)を買う。

    ガスカール『けものたち・死者の時』を読む。

    東大学生演劇脚本「夏の休暇」を執筆。

   9月 「火山」が第一回銀杏並木賞を受賞し、『学園』に掲載される。山下肇から、線の細い吉行だと言われる(64戦中から戦後へ)        

1956年1月「太陽の季節」が芥川賞を受賞。        21歳

   4月 文学部フランス文学科に進学。海老坂武、小中陽太郎高畑勲塙嘉彦阿部昭加藤晴久、石井晴一がいた。助手は清水徹。教授は渡辺一夫、杉捷夫、助教授は井上究一郎、小林正。

    高津春繁のギリシャ語の授業に出る。

『嘔吐』の原書を買い翻訳は買わないと決意する。

   5月、「霧の船」で五月祭賞に応募し落選。

   7月、小説「黒いトラック」を『学生生活』に発表。

    『文藝』第5回全国学生小説コンクールで「火葬のあと」が選外佳作となる。

   9月 東大学生演劇脚本「死人に口なし」を執筆。(安岡との対談1966)

     東大学生演劇脚本「獣たちの声」を執筆。自殺未遂で東大病院に入院していた石井晴一の話からヒントを得たもの。入選するが上演してくれないので冬休みに小説に書き直す。

   10月26日、兄昭太郎の結婚に際して詩を送る。

1957年5月 「獣たちの声」を小説にした「奇妙な仕事」が五月祭賞で入選、「東京大学新聞」に掲載され、平野謙の賞賛を受ける。          22歳

   池島信平が読んで面白がり『文藝春秋』に転載しようとするが載らず(すばる座談会)、『文學界』に書かせろと言う。(盛り上がる)

   8月「死者の奢り」『文學界』柏原兵三に見せて指示を受け徹底改稿する。

    「他人の足」『新潮』

   9月「石膏マスク」『近代文学』(未)

   10月「偽証の時」『文學界』(未)

   11月、ラジオドラマ「遊園地」

   12月「動物倉庫」『文學界

1958年1月「飼育」『文學界』                 23歳

    「死者の奢り」で芥川賞候補。

   2月「人間の羊」『新潮』

    「運搬」『別冊文藝春秋

    2日<徒弟修業中の作家> 朝日新聞 (綱)

   3月「鳩」『文學界

           『死者の奢り』文藝春秋新社 

    19・26日<僕のなかの駒場 不思議な静寂と無気力の日日>「東京大学新聞」

    23日≪徳川夢声の問答有用≫『週刊朝日

    31日、売春防止法施行。

   4月≪現代文学の突破口≫江藤、開高、菊村到 『文學界

   武満徹岸田衿子を介して紹介を頼み、岸田今日子とともに知る。

   5月〇≪吼えろ!劇場--ハイティーンの生活と意見 ロカビリー族まかり通る≫ミッキー・カーチス朝比奈愛子山下敬二郎、大宅映子『文藝春秋

    〇≪マスコミに棹さす新文学世代≫『婦人公論有吉佐和子開高健臼井吉見

   砂川闘争に参加。全学連委員長の香山健一、森田実に会う。

   6月「芽むしり仔撃ち」『群像』 (朝吹対談)

    「見るまえに跳べ」『文學界』 

     <文体の基準>『文学』

    ≪「戯曲と文学」-「幽霊はここにいる」≫安部、田中千禾夫椎名麟三、遠藤『俳優座

           『芽むしり仔撃ち』講談社 

    1日、三島由紀夫が結婚。

    10日午後一時から産経会館でミス「婦人公論」最終審査会、石原、成瀬が欠席し、丸山誠治とともに加わる。

    <憂楽帖>「毎日新聞」(綱)

     「半裸の娘たち」を含む。嶋中鵬二の怒りを招く。

    『芽むしり仔撃ち』出版記念会に石川淳

   7月「暗い川おもい櫂」『新潮』

    <冷房完備の品定め> 『銀座百点』

    〇≪「実感」をどう発展させるか≫江藤、加藤秀俊、田口富久治、橋川文三中央公論

    「飼育」で芥川賞受賞。 

   8月「鳥たち(鳥)」『別冊文藝春秋

   8月1日、NHK「話の散歩」に渡辺一夫と出演。

    31日〇≪文壇あれこれ 新進作家の座談会≫有吉、開高、菊村到週刊読売

   岸田衿子軽井沢の別荘に行く。

   世田谷区成城町379(成城6-16-19・21・26)長岡方に下宿。

   9月「不意の唖」『新潮』

    「戦いの今日」『中央公論

    「喝采」『文學界

    <連帯の感情(授賞の感想)>『文藝春秋

    1日、李珍宇が逮捕される。

    16日、三島、安部と鼎談。

    21日、〇≪学生作家の生態≫木下文代、山下肇婦人公論臨時増刊』

   「東大新聞」の座談会で柏原兵三と同席。

    <影響だらけと深淵>『群像』(綱)

     14日、NHK「私だけが知っている」に出演。徳川夢声,池田彌三郎,江川宇礼雄,有吉佐和子

   10月      『見るまえに跳べ』新潮社

    深瀬基寛の退官講義があると知って京大へ行くが門前払いを食う。

   11月<叫ぶ全学連とふるえる学生>『文藝春秋

     ≪文学者とは≫安部・三島『群像』公房全集

     1日、江藤淳谷川俊太郎石原慎太郎寺山修司浅利慶太永六輔黛敏郎福田善之曽野綾子ら若手文化人らと「若い日本の会」を結成し、警職法に反対。

     4日、警職法反対のデモに参加。

   12月<受賞のあとさき--焼け頭に書物ということ>『新潮』

  この年、突然の作家生活のため強度の睡眠薬中毒になる。

1959年1-6月「夜よゆるやかに歩め」『婦人公論』         24歳

   1月〇≪われら民主主義の子ら≫永井道雄司会、石原、曽野綾子中央公論

    ≪文学者と政治的状況≫平野、公房、石原、清張、椎名『文學界』(公房全集29)

   1月4日-2月22日 <無分別ざかり>(戦後世代のイメージ)『週刊朝日』(綱)

    4日<新・戦後派の心>朝日新聞(綱)

    「北の島」取材のため礼文島へ行く。黒柳徹子

   1月、谷崎潤一郎「気になること」『中央公論』で大江の文章を批判。

   2月<文壇初年兵の記>『文藝春秋

   3月 ラジオドラマ「北の島」

    新書判『谷崎潤一郎全集』第三十巻月報に「文章について」。

    東大仏文科を卒業。卒論は「サルトルの小説におけるイメージについて」。本文は日本語。良をもらう。卒論審査では阿部昭が隣り。

    末の八日間、NETで若い日本の会によるドキュメンタリー「半常識の目」を放送。大江を主人公に江藤らが「見るまえに跳べ」を撮る。

   4月、〇≪異性論≫平林たい子『若い女性』

    〇≪文学に生きるということ≫正宗白鳥久保田万太郎、開高『文學界

    7日、NHK「みんなの話題 結婚」に出演。中屋健弌,戸川エマ,水谷良重

   5月「短編小説と長編小説」小田切秀雄安岡章太郎『群像』

   睡眠薬を飲んで寝る生活をしながら『われらの時代』を書く。塙嘉彦渡辺一夫の手紙を持ってくる。気が狂うかと思った(石垣純二)。

   6月「部屋」『新潮』(未)

   7月「ここより他の場所」『中央公論

     <若い作家の連帯>『新潮』

     <反・行動的>『文學界

             『われらの時代』中央公論社

   8月‐60年3月「青年の汚名」『文學界

   9月        『夜よゆるやかに歩め』中央公論社

               『死者の奢り・飼育』新潮文庫 

   10月<現実の停滞と文学>『三田文学』(綱)

     〇≪怒れる若者たち≫江藤、石原、浅利慶太村上兵衛、橋川 『文學界

   11月「上機嫌」『新潮』 

    ≪シンポジウム・発言≫石原、江藤、山川方夫武満徹、羽仁進、吉田直哉谷川俊太郎、浅利、城山三郎    『三田文学

     25日、日活、蔵原惟繕「われらの時代」長門裕之吉行和子渡辺美佐子

   12月「報復する青年」『別冊文藝春秋

     <われらの性の世界>『群像』(綱)

     15日、NHK「みんなの話題 現代青年気質」に出演。臼井吉見,大宅壮一,三宅艶子,山下肇

   (今井正とゲイバーに行くー倉橋ら座談会)

1960年1月「勇敢な兵士の弟」『文藝春秋』(全作品)    25歳

   ヨーロッパ放浪をへて、伊丹は大映に入社、伊丹一三を芸名とする。

   2月<土門拳ヒロシマ>『新潮』(綱)

    6日、渡辺一夫「教師の気持ち、学生の気持ち」「読売新聞夕刊」池田・ロバートソン会談に触れる。

    18日、伊丹万作の長女ゆかりと渡辺一夫の媒酌で結婚。江藤に司会を頼む。七人出席。石原が呼ばれなかったので怒る。世田谷区成城657(成城5-12-9・10・22)守田方の二階に下宿。

   3月「後退青年研究所」『群像』

    〇<「怒れる若者たち」ノート>『世界』

    (安江良介が初めて担当する)

    <政治的沈黙、そして死--特集・アルベール・カミュの人と作品>『文學界

     倉橋由美子パルタイ」『文學界

    20日、芥川也寸志作曲「暗い鏡」がNHKラジオで放送される。

    「安保批判の会」に入る。

   4月「孤独な青年の休暇」『新潮』

   5月        『孤独な青年の休暇』新潮社 

    2日、NHK「生活の知恵 才能」に出演。小口忠彦,高橋日出彦,波多野勤子,木島則夫。

    27日、江藤との対談「われら若者は何をなすべきか」「週刊明星」で意見が対立する。

    30日より野間宏を団長とする中国訪問日本代表団、竹内実、亀井勝一郎松岡洋子、開高と。23時45分発のインド航空。

    31日、香港の九龍飛行場。汽車で広州へ。レセプションで野間が声明文を読み上げる。ホテル「愛軍大廈」。

   6月<川端康成の文章の多義性>『新潮』

    〇≪現代文学太宰治≫吉行、開高、中村真一郎武田泰淳、奥野『文學界

          『青年の汚名』文藝春秋

          江藤淳編『新鋭文学叢書 大江健三郎集』筑摩書房 

    1日、中山大学。

    2日、急行で北京へ。

    4日、正午過ぎ、北京着。茅盾、老舎、欧陽余倩ら。ホテルは新僑飯店。

    5日<奉安殿と養雛温室> (綱)

     <民主主義は踏みにじられた>『サンデー毎日』(綱)

     12日『週刊明星』われら若者は何をなすべきか

    9日、夜、郭沫若と食事。

    16日、北京のホテルで樺美智子の死を聞く。開高、竹内と「作家出版社」へ。

    19日、飛行機で上海へ。「和平飯店」泊。

    21日、毛沢東に会う。(陳毅に会う)

    26日、特急で北京へ。

   7月<結婚および死>『新潮』(綱)

    3日、北京発、広州着。(開高健『過去と未来の国々』)

    6日、帰国。石川淳紹興酒を買ってくる。

    10日、国際文化会館伊丹一三と川喜田和子の結婚式に出席。橋本忍と話す。

    11日、「民主主義をまもる集い」で大阪へ。妻病気で日帰り。

    13日、伊丹が川喜多和子と結婚。

    16日、由起しげ子が猫を持ってきて、トラーと名づける。

   8月6日、広島の原爆記念祭へ行く。開高健と。城山三郎らとテレビ。「太陽がいっぱい」を観る。皇太子に関して右翼がテレビ局へ抗議に来る。

    10日、「真夏の夜のジャズ」を観る。石原慎太郎

    13日<めぐり来る十五年目 民主主義のゆくえ>「産経新聞夕刊」

    20日、ギリヤークの調査のため北海道へ行く。

    新日本文学会に入会。

   9月‐62年2月「遅れてきた青年」『新潮』 

   9月<孤独な青年の中国旅行>『文藝春秋』(若者たち)

    <戦後青年の日本復帰>『中央公論』(綱)

    -12月<作家日記> 『マドモアゼル』

    渡辺一夫大岡昇平らが李少年を助けるためのお願いを出す。

   9月5日、材木町のイタリア料理店で妻と有馬稲子に会い松山弁を教える。

    7日、NHK「X氏いわく 自分の眼・自分の声」遠藤慎吾,轟夕起子,金内吉男,小林千登勢。

   10月4-6日、江藤淳「新文学の崩壊」読売新聞、大江は崩壊したと書く。この頃倉橋らとの座談会。

     7日「下降生活者」『群像』十一月号。

     8日、大映増村保造「偽大学生」若尾文子藤巻潤ジェリー藤尾伊丹十三

     12日、浅沼稲次郎山口二矢に刺殺される。

     15日、社会主義青年同盟の結成会で挨拶。

     18日、NHK「みんなの話題 暴力」岩井弘融,荒垣秀雄,岡本太郎,和田夏十

                 『写真中國の顔 文学者の見た新しい国』現代教養文庫野間宏、竹内実、亀井勝一郎開高健松岡洋子共著。  

   11月2日、山口二矢拘置所で自殺。

     6日、NHKドラマ「オタスの森 われらのなかのギリヤーク人」

     10日、「風流夢譚」の載った『中央公論』十二月号が出る。

   12月7日「セヴンティーン」『文學界』一月号  

    <わが愛する詩 中野重治『雨にけむる品川駅』>『マドモアゼル』二月号

     28日、美空ひばりと対談。

1961年1月「幸福な若いギリアク人」『小説中央公論』      26歳

    〇≪作家の青春≫『近代文学倉橋由美子、埴谷、平野謙

   (一週間くらい前に友達とトルコ風呂に行った)

    -10月<われら純アプレゲール(日本の若者たち)>『毎日グラフ』

    ≪ルポ 数万人の貴子さんの中の一人≫島津貴子

    7日「政治少年死す‐セヴンティーン第二部」『文學界』二月号

     右翼から殺すと脅迫される。

    22日、≪純アプレ 美空ひばり

   2月1日、小森一孝、嶋中宅を襲撃。

     6日、深沢が記者会見し謝罪。

     7日、『文學界』三月号に大江に無断で一頁の山口、防共挺身隊、全アジア反共青年連名及び関係団体への詫び状が載る。

     23日、牧伸二と対談。

   3月<トラー王失踪>『銀座百点』

    <鉄道弘済会の娘たち>(プラットフォームの娘たち)『世界』(綱)

    12日<啄木の“明日”>「毎日新聞」 

   4月〇≪現状をどう見るか 表現の自由テロリズム≫日高六郎、佐々木基一花田清輝新日本文学

    16日、NHKドラマ「飼育」自身の脚本、山本薩夫演出、宇野重吉ら。「テレビ芸能ジャーナル」羽仁進,戌井市郎,文学座新研究生,水城蘭子

    同日附≪純アプレ≫山本祐義。

   伊丹は大映を退社、「北京の55日」出演のため海外へ。

   6月<はたして政治的だったか?>『新日本文学

    <アジア・アフリカ人間の会議>『世界』

    12日<いつまでもむごたらしい死者>『日本読書新聞』(綱)

    24日、NHK「あなたは陪審員 現代青年論2」小汀利得,大島渚,新井正義,中河幹子。

   7月<強権に確執をかもす志--特集・5・19激動から1年>『世界』(綱)

    〇≪現代文学の可能性≫石原、安部、小林祥一郎「別冊新日本文学」(公房全集13(石原が戦後派を「ダメになった人たち」と言う。私小説に興味があると言う)

    4日<「愛と炎と」を見て>毎日新聞夕刊

    9日、≪純アプレ≫村松剛

    16日、≪純アプレ≫澁澤龍彦

    28日、<批評家は無用の長物か 江藤氏にカミついた倉橋氏の意見に思う>「産経新聞夕刊」。倉橋由美子に対して江藤淳を擁護したもの。

    日下直樹「不肖の子」『多摩』

   8月6日、≪純アプレ≫原爆被災者。

    13日≪純アプレ≫黒柳徹子。(若者たち)

    20日、≪純アプレ≫アイ・ジョージ。(若者たち)

    27日、≪純アプレ≫張本勲

    31日、羽田からブルガリアへ出発。ポーランドブルガリア両国の招待。

   9月<私小説について 自己探検の文章>『群像』(綱)

   9月1日、ベイルートで飛行機が故障し泊まる。

    2日、アテネ経由でソフィアへ降り立つ。ソフィアのホテルで『遅れて来た青年』の最後の部分を書く。(叫び声文芸文庫)

    3日≪純アプレ≫原研の若い科学者。

    10日、ディミトロヴァへ。黒海で泳ぐ。「純アプレ」古今亭朝太(志ん朝

    中旬、アテネへ戻る。

    ローマへ。フィレンツェ

   10月<最初の詩>『群像』(綱)

     8日、〇≪慎太郎、大江ルポを批判する≫対談『毎日グラフ』これで連載いったん終り。

     パリ。伊丹が夫妻で住んでいる。ワルシャワ

     15日から『毎日グラフ』で「ヨーロッパ紀行」の連載。

     モスクワで開高健とおちあう。ソ連に五週間滞在。リヴォーワ夫人。

   11月、モスクワでエレンブルグと話す。タシケント。ベルリン。

12月18日、パリで反OASのデモに参加。

     19日、開高とともにサルトルに会う。田中良が通訳。

    帰国後、新日本文学会を脱退。

     22日、大島渚監督『飼育』三国連太郎沢村貞子

1962年1月<わが旅・文学的側面>『新潮』           27歳

         『遅れてきた青年』新潮社 

    宇能鴻一郎が「鯨神」で芥川賞受賞。

    31日、サド裁判で証人として証言。針生一郎栗田勇中島健蔵と同日。

   2月<ニコラ・バターユという天才>『藝術新潮』(綱)

    12日<旅行カバンのなかの未来イメージ>『週刊読書人』(綱)

   3月<サルトルの肖像>『世界』

    <私がソヴィエトの青年なら>『文藝春秋

    田中良「核兵器・人間・文学--サルトル=開高・大江会見記」『世界』

    〇≪ソ連文学の新しい波--モスクワからパリまで≫江川卓開高健、鈴木道彦『新日本文学

    4日、NHK教育「テレビ芸能ジャーナル 世界の作家 民族の文学」木下順二,開高健

    26日<地球は青かった毎日新聞夕刊 (綱)

   4月<今日のクラナッハ>『藝術新潮』(綱)

    〇≪先輩・後輩≫宇能鴻一郎文學界

    ‐63年12月「僕らは日本のことを話しているのだ」『毎日グラフ』

    1日≪僕ら≫中曽根康弘

    17日、NHK「孤独な青年の休暇」寺山修司脚本。

    22日、NHK「三人の会による現代日本作品の夕べ~第5回大阪国際フェスティバルから~ドラマティックオペラ「暗い鏡」(一幕七場)「涅槃」交響曲 友竹正則,奥村淑子,宮原徳子,芥川也寸志

   5月「不満足」『文學界

    <性犯罪者への関心>(性犯罪者への挨拶)『新潮』(綱)

    6日<独立十年の縮図‐内灘>『朝日ジャーナル』(綱)

    27日≪僕ら≫深沢七郎

   6月           『芽むしり仔撃ち』角川文庫

    10日〇≪僕ら≫加藤周一(加藤対話集1)

    16日<失業に悩む軍港‐呉>『朝日ジャーナル』(綱)

    24日≪僕ら≫江田五月

   7月<文学における民族性の表現--実作者の覚え書として>『文学』

    <未来につながる教室 群馬県島小学校>『文藝春秋』(綱)

    1日≪僕ら≫岡田茉莉子

    6日、ウィリアム・フォークナー死去。

    15日≪僕ら≫市川染五郎幸四郎

    22日≪僕ら≫源田実

   8月「ヴィリリテ」『小説中央公論』(未)

             『世界の若者たち』新潮社

   精神的危機に陥り、ドストエフスキーを読むことで乗り越える。

    26日≪僕ら≫北杜夫

   10月「善き人間」『新潮』(未)

     <今日の軍港 基地横須賀>『世界』(綱)

    〇≪私の選んだ世界の短編小説ベストテン≫座談会・吉行、開高

             『新日本文学全集 開高健大江健三郎集』集英社

             『ヨーロッパの声・僕自身の声』毎日新聞社

     7日頃、田中良が自殺。31歳。

     14日、キューバ危機の始まり(大内)

   11月「叫び声」『群像』

     <廿世紀小説の性>『文學界』(綱)

      開高健『声の狩人』岩波新書

     4日、NHK「若い広場 われら10代 あすはぼくらの手で」香山ゆり。

    小澤征爾N響との紛争があり、武満徹井上靖、三島、黛敏郎、團伊久磨、有坂愛彦、一柳慧中島健蔵山本健吉浅利慶太谷川俊太郎石原慎太郎と「小澤征爾の音楽を聴く会」を結成。

     26日、李珍宇の死刑執行。

   12月30日≪僕ら≫小田実

1963年1月<人殺したちの中の一人>                28歳

    <サーバーの犬とぼくの知っていた犬> 『銀座百点』

    〇≪新しい小説、新しい批評≫高見順文學界

    〇≪日ソ文学交歓≫大岡昇平、開高、佐々木基一、野間、アクショーノフ、ルクス、リボーワ(江川卓訳)『新日本文学

    金沢に行く。浦山桐郎「非行少女」のロケを見る。

    1日〇≪歴史をつくるもの≫大内兵衛エコノミスト

             『叫び声』講談社

    14日、NHK「あすへの歩み 夜間高校生―未成年シリーズ(2」平井伸一,山添章,雨宮美登里,本田親明。

    15日、日比谷公会堂で「小澤征爾の音楽を聴く会」。

   2月<スパルタ教育>『新潮』

    <戦後文学をどう受けとめたか>『群像』(綱)

    <サーバーの犬とぼくの知っていた犬>『銀座百点』

    〇≪帰ってきた二人≫開高健『風景』

   2-翌2月「日常生活の冒険」 『文學界

    3日<性のゆがみと文学 林房雄氏に答えて>朝日新聞 (綱)

    17日、≪僕ら≫福田恆存

   この頃、武満徹が成城の近所へ越してくる。

   3月<ぼく自身のなかの戦争>『中央公論』(綱)

    8日、クノップ社ストラウスの要請で三島邸に招かれる。阿川、安岡、庄野、遠藤、有吉、安部、石原、開高、奥野。

   4月<対話と自己告白>『新潮』 (綱)

    <文章について>  日本現代文学全集『谷崎潤一郎集(二)』講談社月報

     7日、NHK「われら10代 ぼくらは仲間」金井克子,池谷薫

   5月「大人向き」『群像』(未)

    「性的人間」『新潮』

    新宮市市民公会堂で講演、これを16歳の中上健次が聴く。

             『夜よゆるやかに歩め』講談社ロマンブックス

    30日-6月1日<現代文学と性>東京新聞 (綱)

   6月「敬老週間」『文藝春秋

    <シュールレアリストの部屋>『藝術新潮』

    <『われらの時代』とぼく自身> 『われらの時代』新潮文庫(綱)

           『角川版昭和文学全集 開高健大江健三郎集』

    13日、長男・光誕生。

    光を日大板橋病院に入れる。帰路立教大学渡辺一夫を訪ねて話をする。

    伊丹は『婦人画報』に「ヨーロッパ退屈日記」を連載。

   7月<風変りな連中>『新潮』

    <解説>『斎藤喜博著作集 教育の演出』麦書房

     21日、〇≪僕ら≫市川猿之助 『毎日グラフ』

     28日<オーデン>朝日新聞

   8月<危険の感覚>『新潮』(綱)

    <「みづうみ」について>『文藝』

    ≪性の追究≫中村真一郎、吉行『群像』(中村「愛・人生・芸術」)

              『性的人間』新潮社 

    岩波の安江良介の依頼で広島の原水禁のルポに行き重藤文夫に会う。

   9月25-28日、日仏会館ホールで劇団波の会により「動物倉庫」が上演される。橋本陸男演出。真船豊「太陽の子」と。

   10月<難解さのすすめ>『文學界』(綱)

     <広島1963年夏--ルポルタージュ>『世界』

     <マリリン・モンローの世界>『群像』(綱)

   11月<困難の感覚についてーわが創作体験>(困難の感覚ということ)『文学』(綱)

    〇≪ドストエフスキーの面白さ・わかりにくさ≫埴谷・荒正人ドストエフスキーの世界』河出(埴谷全集13)

     10日<反逆的なモラリストノーマン・メイラー>『朝日ジャーナル』(綱)

     21日、NHK私の秘密渡辺紳一郎,藤浦洸,塩月弥栄子,八木治郎。

     22日、ケネディ暗殺。

   12月1日、学徒出陣二十周年記念講演と映画の会。阿部知二渡辺一夫南原繁と講演。

     7日、黒人文学の会でボールドウィンの話をする。

     9日、聖教新聞のための座談会。

1964年1月「空の怪物アグイー」『新潮』               29歳

    「アトミック・エイジの守護神」『群像』

    ≪現代社会と青年像 苦悩する若い世代の求めるものは≫北杜夫、開高、藤原行正『潮』

    ≪文藝内閣第1回閣議:今年の展望≫石川達三伊藤整小田実山本健吉水上勉有馬頼義安岡章太郎阿川弘之遠藤周作平林たい子武田泰淳平野謙荒正人奥野健男、野間、開高『文藝』

    1日≪世界平和をどう築くか≫大熊信行、北条浩、秋谷城水

   2月「ブラジル風のポルトガル語」『世界』

    3日、文藝内閣第四回閣議。

    4日から25日、よみうりテレビで「夜よゆるやかに歩め」嵯峨美智子菅原謙次

   3月<小説とはなにか>『文學界

    〇≪われらにとってアメリカとは何か≫安岡章太郎荒正人岡本太郎『現代の眼』

    〇≪功労重役を排せ≫松下幸之助文藝春秋

    ≪文藝内閣第3回閣議:芸術とセックス≫石川、伊藤、山本、阿川、遠藤、泰淳、平野、荒、開高、円地文子高橋鉄『文藝』

   愛媛へ帰郷。

    22日<サハラ先史壁画>『朝日ジャーナル』(綱)

    27日、岐阜市生長の家ホールで文春文藝講演会。有馬頼義井上靖

    28日、松阪市公会堂で同上。

    29日、西宮市立津門小学校で同上。

    30日、赤穂高校で同上。

    31日、京都会館第一ホールで同上。

   4月≪文藝内閣第4回閣議:出世論争≫石川、小田、山本、平林、有馬、安岡、奥野、開高『文藝』

                     『日常生活の冒険』文藝春秋

    6日<ラブレー>『週刊読書人』(綱)

    25日、神田共立講堂で芥川・直木賞五十回記念講演会。川口松太郎石川達三中村光夫水上勉と。

    26日<少年たちの非行のエネルギーは抹殺されるべきものか?>『朝日ジャーナル』(綱)

   5月1日〇≪現代の若いセックス≫公房、羽仁進、倉橋、戸川昌子婦人公論』(公房全集18)

   6月〇≪新中国をどう見るか≫竹内好、開高『潮』

    ≪学生からみた憲法問題≫潮見俊隆、小林直樹野田卯一、田畑茂二郎、佐伯喜一、稲葉誠一、ほか島村英紀ら学生『世界』

    ≪文藝内閣第6回閣議:女性の白書≫石川、伊藤整、山本、水上、平林、十返千鶴子、ドクトルチエコ『文藝』

    8日〇≪現代文学にとっての性と冒険≫石原慎太郎『読書人』(孤独なる戴冠)

   7月〇≪日本共産党に訴える≫志賀義雄『文藝春秋

    14日<「弦楽のためのセレナード」というレコード>朝日新聞夕刊(綱)

    16-18日<戦後世代と憲法朝日新聞(綱)

    恐山へ。

    柴田翔芥川賞受賞。

    28日、帰国した柴田翔の『されどわれらが日々ー』出版記念会。相良守峯。

    30日、司馬遼太郎『鬼謀の人』(新潮社)の帯に推薦文を書く。

   8月「犬の世界」『文學界

    〇≪戦中から戦後へ 戦後文学の内的出発点≫荒、佐々木基一、安岡、堀田善衛『世界』

    2日<飢えて死ぬ子供の前で文学は有効か? サルトルをめぐる文学論争>『朝日ジャーナル』(綱)

    14日<“小国民”の体験から>読売新聞夕刊

    30日<私の小説作法>「毎日新聞

           『個人的な体験』新潮社・純文学書き下ろし特別作品

           『現代の文学 大江健三郎集』河出書房新社

   9月〇≪現代作家はかく考える≫三島『群像』(三島全集)

    〇≪二葉亭四迷をめぐって≫中村光夫『図書』(座談の愉しみ)

    手塚富雄「性の文学を批評する」『展望』復刊号で批判されたと感じる(厳粛まえがき)

    17日号、三島の書評『個人的な体験』週刊読書人

   (反論を書くが没になるー沼野チェホフ対談)

    再度広島を訪れる。

    24日号、江藤淳の書評『個人的な体験』  週刊朝日(1960)

    27日号、≪文化人は退屈な善人≫近藤日出造週刊読売

    24日、ネイサン、江藤、松浦竹夫、奥野らと三島邸でパーティ。

    29日<ダリ>「毎日新聞夕刊」 (綱)

   10月<この百年とわれら日本人>「産経新聞」(志)

     18日<競技場のユーモア-オリンピック断章>読売新聞

     23日<テレビのなかの苦しむ顔-オリンピック断章>同

   10-翌3月<ヒロシマ・ノート>『世界』

   11月<小説家の無意識>『新潮』(綱)

    〇≪現代において文学は可能か≫いいだもも小田実篠田一士高橋和巳『展望』(高橋全集18)

    ≪文藝内閣第11回閣議 日本でこわいもの≫石川、有馬、安岡、開高『文藝』

     2日、NHK教育「日本近代文学の100年」(1)近代文学館文庫の開設にちなんで―(明治の文学)」高見順,吉田精一,塩田良平,伊藤整

     6-10日、俳優座劇場で劇団新劇場により「動物倉庫」が上演される。演出・安井武。加藤道夫「十一月の夜」と。

     16日<マース・カニングハムをみる>読売新聞夕刊

    『個人的な体験』で新潮社文学賞受賞。

   12月〇≪われらが文学≫柴田翔文學界江藤淳との蜜月は六か月だった、今彼は危険な変わり方をしていると言う。

     1-3日<新しいものと古いもの>『産経新聞』(志)

     6日≪ボクは動物園のスズメ 『個人的な体験』で新潮社文学賞を受賞する大江健三郎さん≫村松喬 『サンデー毎日

1965年1月<絶望的な蛮勇気>『新潮』(志)          30歳

    1日、NHK教育「日本人の目標 ~フィルム構成と座談会」金井利博,重藤文夫,加藤秀俊,村上兵衛

    10日<日本に愛想づかしする権利>『サンデー毎日』(綱)

    29日号『週刊朝日』の表紙になる。

    31日、沖縄に行く。

   2月<もうひとつの『個人的な体験』>『文藝』

    <裸体の栄光と悲惨--「カイエ・ダール」心象のヌード>『藝術新潮』(志)

    <恩賜的と恢復的>『明治文学全集』月報(志)

    21日<紀元節と個人の「自己」の問題>『朝日ジャーナル

          『厳粛な綱渡り』文藝春秋

   3月<不倖なら手を叩こうー「期待される人間像」批判>『文藝』(綱)

    ≪日本人発見 魅力ある人々≫木下順二中野好夫、広津、鶴見『展望』(「日本人とは何だろうか 鶴見俊輔座談」)

    ≪文藝内閣第15回閣議 悪書のススメ≫石川、山本、平野、北、吉行、阿川『文藝』

    ≪現代の文学者と社会≫江藤『群像』(江藤淳全対話)

    14日<誰を方舟に残すか?>『朝日ジャーナル』(志)

    伊丹『ヨーロッパ退屈日記』を文春から刊行。山口瞳の解説。

   春、文藝春秋の講演会で沖縄本島石垣島を回る。有吉、石川達三と。

   4月≪文藝内閣第16回閣議 現代人の優雅な冒険≫平林たい子、小田、泰淳、安岡、阿川『文藝』

    5日<原民喜を記念する>『週刊読書人』(同時代)

6日<何がもっとも恐ろしいか?>『エコノミスト

    18日<ホモ・プロ・セ>『朝日ジャーナル』(志)

   5月≪文藝内閣第17回閣議 戦争≫松本清張、開高、野間、阿川、戸川昌子『文藝』

                『芽むしり仔撃ち』新潮文庫

    3日、NHK「テレビ討論 日本人の憲法意識」福田恆存,小林直樹,高坂正堯,佐藤功

    23日<今日の中の昨日と明日>『朝日ジャーナル』(志)

    24-26日≪今月の論調≫長洲一二、日高六郎「毎日新聞

  6月<沖縄の戦後世代>『世界』(志)

    ≪文藝内閣第18回閣議 20年後の日本≫石川、山本、泰淳、安岡、北、荒、奥野『文藝』

    1-3日<『原爆体験記』を読む>朝日新聞夕刊 (同時代)

    27日<自由人>『朝日ジャーナル』(志)

    29日<シゴカレル思想>『エコノミスト』(志)

   この年、世田谷区成城町五八五に転居。

   夏から冬にかけて北米旅行。送別で江藤淳が亀清へ連れて行き芸者と遊ぶ。(江藤「私の好敵手」)

   ハワイの文学会議でウォレ・ショインカに会う。

   7-8月ハーヴァード大学キッシンジャー教授のセミナーに参加。

   ハーマン・カーンの講義に抗議する。

   アレン・ギンズバーグに会う。プリンストン大学を訪ねる。ケンブリッジでジャック・ルドヴィクと一緒。

   7月<戦後世代の中国・沖縄感覚--戦後20年の現実と課題-1->『エコノミスト

    <なにを記憶し、記憶しつづけるべきか?>『原爆体験記』広島市朝日新聞

    ≪短編小説の可能性≫公房『世界』(公房全集19)

    ≪原初の飛行機乗り≫田村隆一現代詩手帖』(田村『詩と批評B』)

    30日、谷崎潤一郎死去、79歳。

   8月<アメリカの夢>『新潮』

    ≪前衛芸術とは何か≫公房、花田『群像』(公房全集19)

    ≪藝術・政治・人間≫武満徹『日本』(「武満徹の世界」)

    福田恆存が「当用憲法論」『潮』でテレビでの大江の発言を批判する。

            『ヒロシマ・ノート』岩波新書

    19・23日<もうひとつのアメリカ>毎日新聞夕刊

   9月〇≪文学者の政治参加≫井上光晴、埴谷 『群像』(埴谷全集13)

    5日<土人部落(テリトリー)のハックルベリー・フィン>『朝日ジャーナル』(志)

   9-10月、米国国務省の招待で『ハックルベリー・フィン』のミシシッピ地方を旅する。

   10月10日<多様性コソ力デアル>『朝日ジャーナル』(志)

     16日? ニューヨークで三島と食事。ショーロホフのノーベル賞決まる。

   11月≪のぼり窯≫平野、本多、井上光晴久保栄研究』(ロマン・のぼり窯)

     1-3日<アメリカの百日>「毎日新聞」夕刊(志)

     12日、国会傍聴席で日韓条約強行採決を見る。

     21日<火星人の威信>『朝日ジャーナル』(志)

     26日<恐ろしきもの走る>『週刊朝日

     ネイサンは三島に会い、『絹と明察』は訳さず『個人的な体験』を訳すと告げる。

   12月<“記憶して下さい。私はこんな風にして生きてきたのです”>『図書』(志)

     15日≪われらの文学≫公房『新刊ニュース』

     19日<宙に浮んだ馬>『朝日ジャーナル』(志)

1966年1月<自己検閲の誘惑>『文藝』(志)           31歳

    <叛逆ということ>『エコノミスト』(志)

    <持続する志>『世界』(志)

    10日、NHK私の秘密渡辺紳一郎,塩月弥栄子,藤浦洸,長谷川肇

   2月<有効性の魔>『新潮』(志)

    『われらの文学 安部公房』に解説 (志)

   3月<狂気と自己救済 文学は何のためにあるか>『群像』

    〇≪現代学生の知的状況≫高橋和巳中央公論

     <言葉>『文學界』(志)

   4月<B.ダンハム「現代の神話」--私の古典-1->『エコノミスト

    ー『大江健三郎全作品』全6巻 新潮社 

    「出発点を確かめる」を連載。(表現する者)

    第一巻に「自筆年譜」光の出生について記す。

   春からあらためてフォークナーの全作品を読む。

   5月≪われわれはなぜ書くか≫安岡『文藝』(われわれはなぜ書くか)

    (『響きと怒り』の子供の尻の話)

    この頃小説が書けないとこぼす。原水協を脱退。

   6月17日<学力テスト・リコール・子規>『週刊朝日』(志)

   7月<谷崎潤一郎「鍵」・エロティシズムの実験小説--戦後ベストセラー物語-38->『朝日ジャーナル』(志)

    〇≪現代文学の混乱と救済≫江藤、平野、中村『群像』(江藤全対話2)

    16日、三島から北杜夫宛、大江が自殺未遂とか。

    22日、NHK教育/教養特集「作家と時代精神臼井吉見,武田泰淳,広津和郎,三島由紀夫

   9‐12月<アメリカ旅行者の夢>『世界』(鯨)

   9月<井上光晴に向かって> 『われらの文学 井上光晴』(志)

   9月3日、NHK「土曜談話室 動物ずき」岸田今日子

    17日、安部、小島、安岡らとの座談。

    18日、サルトルボーヴォワールが来日。

   10月<様ざまな民衆の虚像--佐藤、ジョンソンを支えるもの>『エコノミスト』(志)

     <垂直的人間の声>『新潮』(志)「田村隆一と…」

     <記憶と想像力>講演『展望』(志)

     12日、サルトルボーヴォワールを囲む座談会。加藤晴久通訳。

     16日≪サルトルの知識人論≫公房、白井浩司『朝日ジャーナル』(公房全集20)

     26日、伊丹が協議離婚。

   11月≪現代をどう描くか≫公房、安岡、小島『群像』(公房全集20)

     (「全体小説」に疑念を表明する)

     13日〇≪日比谷高校生の選良意識とモラル--連帯感をはばむ"能力"主義?≫(座談会)」『朝日ジャーナル

             『われらの文学 大江健三郎集』講談社(大江、江藤編)解説で江藤が大江を批判。解説「持続せよ、持続せよ」を寄稿。

     16日、NHK教育「教養特集 文学と風土~座談会」伊藤整,中野重治,原田康子,更科源蔵

   12月〇≪サルトルとの対話≫加藤周一坂本義和、鶴見、日高六郎、サルトルボーヴォワール『世界』

1967年1-7月「万延元年のフットボール」『群像』        32歳

   1月≪今こそ内面世界へ≫森有正中央公論』(森有正対話編1)

   1月5日<ユートピアの想像力>毎日新聞夕刊 (志)

   2月≪アメリカ文学を考える≫江藤、アナイス・ニン『文藝』(江藤全対話)

    16日<テロは美しく倫理的か?>朝日新聞夕刊 (志)

    27日<話題よぶ作家二人インタビュー>安岡と 毎日新聞夕刊

   3月、『現代日本文学館 大岡昇平』文春に「大岡昇平伝」「解説」(志)

   (江藤淳プチブルと言う)

   4月<暴力的な思い出>『新潮』(志)

    〇≪文学における明治と戦後≫中村光夫『展望』

    14日〇≪“個人的な体験”からみた予備校≫小田実週刊朝日

   5月<被爆者の自己救済行動(ルポルタージュ) >『世界』(志)

   6月13日、NHK教育「教養特集 太宰文学と現代の青春」武田泰淳,安岡章太郎,小田切進,久米明

     28日、『万延元年のフットボール』を朝日新聞大岡昇平が称賛。

     30日、読売新聞で山本健吉が賞賛。毎日新聞平野謙

   7月≪作家にとって批評とは何か≫磯田光一、野間、小島、中村真一郎文學界

    長女・菜摘子が生まれる。

    大城立裕が芥川賞を受賞。

   8月27日、NHK藝術劇場「暗い鏡 ヒロシマのオルフェ」

   9月≪作家と想像力≫小島、安岡『文学』

              『万延元年のフットボール講談社

    20日、『万延元年のフットボール』で谷崎潤一郎賞受賞決定。伊藤整が反対。受賞パーティで嫌みを言う(1982安岡対談)

   9-10月<アメリカ旅行者の夢>『世界』

   10月〇≪政治と文学〔沖縄の問題を中心に〕≫大城立裕『文学界』

     ≪現代文学をどうするか≫大岡、小島信夫、野間、松原新一、安岡、山本健吉平野謙『群像』

     松原新一『大江健三郎の世界』講談社

     8日、羽田事件。

     9日、江藤との対談で対立。

      <山崎君の日記を読んで>『週刊朝日』41号(第三週)

     22日<死んだ学生への想像力〔羽田事件〕>『朝日ジャーナル』(志)

   11月「走れ、走りつづけよ」『新潮』

     <同時性のフットボール--文学的近況>『中央公論』(志)

    江藤が引き続いて秋山駿と対談。

    佐藤・ジョンソン会談に際し沖縄へ旅行。

     27日、赤坂シドで石原、開高と鼎談。

   12月<何のために小説を書くか 鈍い人間の想像力>『新潮』

    (自民党から立候補するという石原慎太郎を名を出さずに批判)

     <すべての日本人にとっての沖縄>『週刊朝日』(志) 

     <沖縄の嘆きと憤りを共有するために>『週刊朝日

    秋山駿と対談、江藤への怒りを表明する。

     16日、NHK教育「教養特集 この人と語る―作家・野上弥生子武田泰淳

     18日、<「万延元年のフットボール」前後>読売新聞夕刊

1968年1月<生け贄男は必要か>『文學界』            33歳

    <核基地に生きる日本人--沖縄の核基地と被爆者たち>『世界』(志)

    <安部公房劇場--その架空のロビーでの対話>『文藝』

    ≪現代をどう生きるか≫江藤淳『群像』。『万延元年のフットボール』を江藤が批判し激しく対立、決別する。「侃侃諤諤」で揶揄される。

    『三田文学』で秋山駿と江藤淳が対談、江藤が『万延元年』を批判する。

    1日<再び戦後体験とはなにか>「毎日新聞

    9日≪核時代に生きる 現実政治における選択≫いいだもも、堀田『エコノミスト

    12日<戦後の人間として「明治」を読むこと>朝日新聞夕刊(志)

    柏原兵三が芥川賞を受賞。

    25日<「国防教育」に反対する>「朝日新聞」(同時代)

    30日、講演「戦後において確認される明治」(核時代)

    紀伊國屋ホールで毎月一回の連続講演を行い、『核時代の想像力』としてまとめられる。

   2-8月「狩猟で暮したわれらの先祖」『文藝』

    ≪私の文学を語る≫ 秋山駿 『三田文学』(大江健三郎特集)

    江藤に嫌悪感を示し、石原の参議院選立候補を批判。

    7日、吉野壮児が川端を訪ねる。

    ≪文学における普遍と固有≫石原、開高『日本の文学』付録

   2月、<『群像』編集部に抗議する>「侃々諤々」への抗議文『群像』

    石原慎太郎「LSD」『文學界』大江をモデルにしたとされるか(秋山「絶交始末記」)

    石原「小説家の現実感覚」『文藝』で大江に反論。

    20-24日、金嬉老事件

    27日、講演「文学とはなにか?」(核時代)

   3月〇≪われらの文学≫柏原兵三 『文學界』(江藤の悪口)

    ≪人間の狂気と歴史≫渡辺一夫『思想との対話12・人間と機械など』講談社

          『現代文学大系〈第61〉堀田善衛阿川弘之遠藤周作大江健三郎集』筑摩書房

   オーストラリア旅行。アデレードでのアート・フェスティヴァル。エンツェンスベルガー、ビュトール、アクショーノフ、アップダイク、ル=クレジオに会う。

   4月<政治的想像力と殺人者の想像力--われわれにとって金嬉老とはなにか?>『群像』(志)

   ジョン・ネイサン英訳『個人的な体験』グローヴ・プレスから刊行、出版元(バーニー・ロセット)と訳者の招きで米国旅行。   

                      『性的人間』新潮文庫

    20日<「強大なアメリカ像」の崩れたあとに>『週刊朝日』(志)

    30日、講演「アメリカ論」(核時代)

   5月<野間宏著「サルトル論」>『世界』

    2日<辱められた憲法とその「新生」>毎日新聞夕刊(同時代)

    ニューヨークでジョン・ネイサンと『個人的な体験』の紹介のため批評家に会う。エリオット・フリーモント=スミス(Eliot Fremont-Smith 1929-2007)。

    28日、講演「核時代への想像力」(核時代)

   6月<ただ無知によって (外国と私の文学)>『文學界』 (志)

    17日、「ニューヨーク・タイムズ」にフリーモント=スミスの批評。

    21日<「アメリカの夢」と暗殺者たち>『週刊朝日』増大号 (志)

    28日、講演「文学外とのコミュニケイション」(核時代)

   群像新人文学賞の選考委員になる。

   7月「核時代の森の隠遁者」『中央公論

    21日<投票が権利放棄を意味するとき--一票は武器か、精神安定剤か>『朝日ジャーナル』 (参院選は民意を反映したか(特集)

    <テーマを求めて>『群像』

    石原慎太郎参議院選全国区で三百万票を集めて当選。

    30日、講演「文学とはなにか(2)」紀伊国屋ホール(核時代)

   8月<原爆後の日本人の自己確認--被爆の「経験」化の多様な結実>『世界』(志)

    <核時代のエラスムス>『図書』(鯨)

    20日、チェコ侵攻。

    21日、朝早く安部公房から電話がありチェコ大使館へ励ましに行く。

   9月≪現代の文学と想像力≫野間宏 『群像』(「全体小説への志向」)

    (浄土真宗を勉強していると言う)

    10日、講演「ヒロシマ、アメリカ、ヨーロッパ」(核時代)

    21日、広津和郎死去、76歳。

    27日、講演「犯罪者の想像力」(核時代)

   10月「父よ、あなたはどこへいくのか?」『文學界

    ≪一作家一冊で文学全集を読むことの意義≫伊藤整、谷田昌平『新刊展望』

               『持続する志』文藝春秋

     川端康成ノーベル文学賞受賞。

     沖縄主席公選のため沖縄に滞在。

     24日、講演「行動者の想像力」(核時代)

     30日≪想像力の根源≫高橋和巳『文学のすすめ』筑摩書房

   11月<詩と伝統の世界語--エンツェンスベルガー著,小寺昭次郎訳「現代の詩と政治」>『群像』

     <知識人の死 (広津和郎氏追悼)>『文藝』(鯨)

                 『日本文学全集 大江健三郎集』河出書房新社 

     1日、NHK女性手帳川端康成の世界」3―座談会」三神茂,円地文子,中村光夫,大久保愛

     12日頃、光が脳外科手術を受ける。日大板橋病院の森安信雄(52)。

     19日<ほんとうの教育者としての子規>「朝日新聞」 (鯨)

     26日、講演「想像力の死とその再生」(核時代)

     28日、中央公論社渡辺一夫と対談。

     29日、ホテルニューオータニ芙蓉の間でペンの会を兼ねて川端康成ノーベル賞受賞祝賀会。川端が隣に座り「もうあきあきしましたよ」と言う。

   12月19日、講演「想像力の世界とはなにか?」(核時代)

1969年1月<核基地の直接制民主主義〔沖縄の主席公選〕>『世界』(鯨) 34歳

    <核時代の『三酔人経綸問答』>『図書』(鯨)

    ≪文学表現の自律性≫小島、武田泰淳、野間、丸谷才一、安岡、吉行『文藝』

    1日、伊丹は宮本信子(23)と結婚。

    3日≪産業社会の中のわれら≫都留重人週刊朝日

    ≪乱世の対話≫渡辺一夫『世界の名著 エラスムス

    9日、日本青年館で火事があり、古堅宗憲が一酸化炭素中毒で死ぬ。

   2月「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」『新潮』(題名はオーデン)

   3月<死者の怒りを共有することによって悼む〔古堅宗憲沖縄県人会事務局長の死に関連して>『世界』

     鶴見俊輔(48)と対談。

    沖縄へ行く。

   4月      『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』新潮社

   新潮新人賞の選考委員となる。

   5月<想像力論への端緒--野間宏「創造と批評」>『群像』

    <さてしもあるべき事ならねば--堀田善衛「美しきもの見し人は」>『文藝』

    ≪語りつぐ戦後史-28-戦後民主主義は放棄されねばならないか≫鶴見俊輔思想の科学』(鶴見対談集)

    9日、紀尾井町福田家で大岡昇平と対談。

    13日<明日を創る・小説>「読売新聞夕刊」

   6月15日、小田実らの六・一五抗議安保反対デモに参加。

   7月≪文学と「狂気」≫秋山駿、川村二郎、野間『文藝』

    〇≪柳田学・折口学・茂吉短歌≫大岡昇平『日本の文学』

     次男・桜麻が生まれる。

    1日≪どのように現代とかかわるか≫武満徹『新刊ニュース』

    13日「安保と私 言葉に実態を与えよう」『サンデー毎日

       『新潮日本文学 大江健三郎集』

   7-12月<活字のむこうの暗闇>『群像』(壊れものとしての人間)

   8-70年6月<沖縄ノート>『世界』

   10月<作家内部の社会、社会内部の作家(作家にとって社会とはなにか)>『思想』

     15日、大岡昇平が世田谷区祖師谷(現・成城7-15-12)に転居し近所になる。

     25日<言葉1970--原理的な意味における再検討 (経済軍事化を追及する--70年代の危険な選択>『エコノミスト』(鯨)

     『日本文学全集 中村真一郎.福永武彦.安部公房.石原慎太郎.開高健.大江健三郎』新潮社

   11月17日<Going to meet the Man> 『週刊アンポ』

   中野重治が『甲乙丙丁』で野間文芸賞を受賞、記念の会に行く。

1970年1月<地獄めぐり、再び--中野重治「甲乙丙丁」>『文藝』(鯨) 35歳

    ≪文学者が今なすべきことは何か≫泰淳、野間、安岡、遠藤『群像』

   2月<強制収容所の想像力--ソルジェニーツィン煉獄のなかで』>『群像』

            『壊れものとしての人間 活字のむこうの暗闇』講談社

   3月2日、ジョン・ネーサンと対談。

    30日、渋谷で青地晨宇井純と安保再改訂反対のデモ。大石芳野撮影。

   4月≪政治と文学の季節に≫中野重治,武田泰淳 『群像』

    <アップダイク氏と自由>『カップルズ』付録(新潮社)

         『現代日本の文学 安部公房大江健三郎集』学習研究社

       (ネーサンとの対談「理想への衝動」、松原新一「紀行」)

   5月14日、NHK教育「教養特集 「時代と文学精神」―文学者の生き方をめぐって」平野謙,大岡昇平,小島信夫,瀬戸内晴美

   6月‐71年6月<渡辺一夫架空聴講記>『渡辺一夫著作集』筑摩書房(同時代)

    二宮敬と『渡辺一夫著作集』の編集委員を務める。

    26日<一九四五年夏に「明日」を見る>「朝日新聞」(鯨)

   7月≪『漱石とその時代』をめぐって≫江藤     『波』

               『核時代の想像力』新潮選書

    13日、丸ビルでペンクラブ理事会。韓国でのペンクラブ開催を批判して松岡洋子木下順二小田切秀雄とともに退会。

    17日、吉行、小島信夫と鼎談。

   8月21日<おもてを伏せてふりかえる>『アサヒグラフ』(鯨)

   9月<文学者の沖縄責任--広津和郎「さまよへる琉球人」の場合>『群像』(鯨)

    ≪文学によって何を求めるか≫アップダイク 『新潮』

                『遅れてきた青年』新潮文庫

                『沖縄ノート岩波新書

   10月〇≪現代文学と性≫小島信夫,吉行淳之介 『群像』

     19日、小田、野間宏と鼎談。

   11月〇≪日本語で書くことについて≫金石範,李恢成 『文学』(朝鮮文学)(「言葉の呪縛」筑摩)

    〇≪ボクはなぜ太ったか≫石垣純二の健康診断『毎日ライフ』

     14日、沖縄に行く。

     17日、沖縄返還協定調印。

     18日、アジア・アフリカ作家会議のため、ニューデリーへ飛ぶ。

     インドのベナレスに堀田善衛と滞在。

     25日、三島由紀夫の自決事件。堀田から聞く。

     バンコク、クアラルンプール、シンガポール、マニラをへて帰国。

   12月<作家が小説を書こうとする……文学ノート>『新潮』

    〇≪子どもが読む本・聞く本≫石井桃子『図書』

     9日、謝花昇についての座談会。

     25日<死滅する鯨とともに> 『アサヒグラフ』(鯨)

    仏語訳『個人的な体験』クロード・エルセン 

1971年1月<再び持続する志 (戦後の二十五年と「世界」の二十五年) >『世界』36歳

   ≪現代文学における公的なるものと私的なるもの≫野間宏,小田実 『群像』 写

   〇≪大江健三郎氏に聞く≫吉田熈生      『國文學

   『國文學 解釈と教材の研究』「江藤淳大江健三郎 戦後世代の心情と論理」

    ≪アニマルの不安 現代日本人の本質を考える≫長洲、小田切秀雄川添登『月刊エコノミスト

    1日≪アジアの中の日本人≫大城立裕「北国新聞

    4日<あらためて、それが人間であることと…>「毎日新聞」 (鯨)

    11-13日<沖縄・インド・アジアの旅> 「朝日新聞夕刊」

    ≪歴史の発見≫羽仁五郎小田実岩波講座哲学4』

    点字図書館で沖縄について講演。

   2月<シンガポールの水泳>       『群像』

    〇<職業としての作家>『別冊経済評論』 (職業と人生(特集))

    <林達夫への侏儒の手紙>『林達夫著作集』月報 (同時代)

    △≪謝花昇 その生涯が語るもの≫大江志乃夫、大田昌秀、新里恵二『世界』

   3月<言葉と文体、眼と観照(文学ノート-2-) >『新潮』

    <日本点字図書館からの微光> 『図書』

    ≪『青年の環』と全体小説≫ (「青年の環」特集)」野間宏 『文藝』(青年の環論集)

   4月2日〇<わが落第記>『週刊朝日

   4月、野口武彦『吠え声・叫び声・沈黙 大江健三郎の世界』新潮社

    『国文学 解釈と鑑賞』特集・大江健三郎=性と政治

   5月3日、高橋和巳死去、39歳。

    28日<アジアに向って閉ざされた沖縄 (史上最悪の"琉球処分"せまる(特集))>『朝日ジャーナル

   6月<復帰拒否者を想像せよ (「復帰」を問う(特集)>『世界』

    <想像力の枷--高橋和巳の想像力,その一面 (高橋和巳を弔う特集号) >『人間として』

    <曇った鏡のなかの醜い青年 (文学界と私)>『文學界

    14日、円地、清岡との鼎談。

    17日、沖縄返還協定が調印される。

   7月≪高橋和巳・文学と思想≫小田、中村真、埴谷、野間『文藝』臨時増刊(追悼特集号)(文藝読本高橋和巳

               重藤文夫共著『原爆後の人間』新潮選書 

              『万延元年のフットボール講談社文庫

    <モラリストとしての伊丹万作>   編『伊丹万作エッセイ集』筑摩叢書

              『日常生活の冒険』新潮文庫

    大田昌秀との共同編集で季刊『沖縄経験』を創刊し、「沖縄日記」連載。

   8月≪日本語の伝統と創造≫ 円地文子,清岡卓行 『群像』(文学における感受性と言語表現(特集)) (「有縁の人々と」)

    <表現の物質化と表現された人間の自立(文学ノート第三)>『新潮』

   10月「みずから我が涙をぬぐいたまう日」『群像』

  (父の死を描いたため、母、妹と義絶する)

     <敗戦経験と状況71 (日中講和の原点に立って(特集)>『世界』(鯨)

                      『叫び声』講談社文庫

     15日「伊丹の編集するページ 大江健三郎君深夜番組を評す」『週刊読売

     26日<「沖縄国会」に考えること--つねに沖縄の人間の自立した選択を>『エコノミスト

      <声明「沖縄国会」を前にして--いまこそ沖縄の非軍事化を(1971.10.7) (「沖縄国会」に考えること--つねに沖縄の人間の自立した選択を)>同

   11月「死滅する鯨の代理人」『新潮』

   12月<山羊の臭い (志賀直哉追悼)>『新潮』

    ≪沖縄非軍事化構想と国会≫石橋政嗣矢野絢也大内啓伍不破哲三中野好夫坂本義和『世界』

1972年1-10月<同時代としての戦後>『群像』         37歳

   1月<再び日本が沖縄に属する--強行採決、変則国会のあと〔傍聴記〕 (「沖縄」強行採決後(特集))>『世界』(同時代)

    〇≪言葉と想像力--小説の文体をめぐって≫柴田翔文學界

    <悲劇の表現者マリア・カラスをめぐって〕>『文藝』(同時代)

    4-8日≪笑いへの想像力≫内田義彦「毎日新聞」(内田対談集)

   2月<夢魂について>『中里介山全集12』筑摩書房月報

                『鯨の死滅する日』文藝春秋

    13日、柏原兵三死去、38歳。

    19-28日、あさま山荘事件

   3月<作家が異議申し立てを受ける(文学ノート-4-)>『新潮』

                    『空の怪物アグイー』新潮文庫

    17日≪相対化の視点--日本における「さすらい」の原点≫色川大吉朝日ジャーナル』(「文明横議 色川対談集」)(友達が相次いで死んで生きがいがないと言う)

    27日、伊丹十三の長男・万作が生まれる。

   4月<柏原兵三・鎮魂 (柏原兵三を悼む)>『新潮』

    ≪沖縄学の今日的課題≫永積安明,外間守善 『文学』 (沖縄の文学・文化)

    光が八歳で特殊学級に入る。

    16日、川端康成自殺、73歳。

   5月5日、NHK教育「教養特集 児童文学の座標」山中恒,いぬいとみこ,佐野美津男,坪田譲治

    ソール・ベローが来日し食事を共にする。

    15日、沖縄県が発足。

    日本文藝家協会理事に選ばれる。

   6月<自殺について (川端康成追悼特集) >『新潮』

    ≪革命と死と文学--ドストエフスキー経験と現代≫埴谷雄高 『世界』

    ≪書いたもの全部評論集に≫池島信平『新刊展望』(「文学よもやま話」)

   <自註と付録ー核時代の『悪霊』、または連合赤軍事件とドストエフスキー>                『壊れものとしての人間』講談社文庫

   群像新人賞の選考委員終り、谷崎潤一郎賞選考委員となる。

   7月<核時代の「悪霊」>『世界』

    <ソウル・ベローの冒険>『波』

    7日、田中角栄内閣発足。

   8月<狂ふ所を花に当てて--「風姿花伝」 (私の中の古典)>『新潮』

   10月「月の男」     『みずから我が涙をぬぐいたまう日』講談社

     8日、武満徹と対談。

   11月<受け身はよくない--いわゆる「戦後の終り」にむけて (日中講話の思想と条件(特集)>『世界』(言葉)

    「多喜二、百合子、中野重治」中野『小林多喜二宮本百合子講談社

     3日<読書家ドン・キホーテ--三百六十五日、書評会に出た話 (読書特集)>『 朝日ジャーナル』(同時代)

     10日号『週刊朝日』で『みずから我が涙…』の書評(匿名)

     24日号『週刊朝日』に読み違えがあると大江が投書。

   12月1日号『週刊朝日』で平野謙が正体を現し書評担当を降りると声明。

     8日号『週刊朝日』に、丸谷才一「現代小説とその批判との関係 大江健三郎平野謙両氏の投書をめぐって」自分も読み違えていたと告白。

   この頃から水泳に通い始める。

1973年1月<死者たち・最終のヴィジョンとわれら生き延びつづける者 (文学'73年と「戦後」(特集)>『群像』                   38歳

    <書かれる言葉の創世記(文学ノート-5-) >『新潮』

    ≪危機的時代の藝術≫武満『波』

    林達夫が朝日賞を受け山の上ホテルで祝賀。山口昌男由良君美、丸谷、西郷信綱、高階、萩原延寿清水徹、高橋巌、中村雄二郎、大塚信一。

   2-74年1月<状況へ>『世界』

    5月「破壊者ウルトラマン」を含む。

   3月    『同時代としての戦後』講談社

    1-2日≪現代に生きて≫エンツェンスベルガー「朝日新聞」夕刊

    30日<「ほんとうの自由」>読売新聞夕刊 (同時代)

   6月≪新人について≫吉行淳之介,丸谷才一 『群像』(世紀末そして忠臣蔵

    <怒りについて (椎名麟三の死) >『新潮』

    <弔辞 (椎名麟三追悼(特集)>『文藝』

    11日≪しかもなお未来を≫エフトシェンコ「毎日新聞

   7月<言葉によって>『図書』

    <原民喜と若い人々との橋のために>『夏の花・心願の国』新潮文庫(同時代)

   8月<消すことによって書く(文学ノート-6完-) >『新潮』

     『アイボリーバックス日本の文学 石原慎太郎 開高健 大江健三郎中央公論社

   『沖縄経験』五号で終刊。

   9月      『洪水はわが魂に及び』新潮社純文学書き下ろし特別作品

    ≪″洪水”の啓示するもの≫渡辺広士『波』

    3、10、17<書いたあとの想像力>「読売新聞」

    アジア・アフリカ作家会議に出席のためソ連に行き。アルマ・アタ、ジャンブールに滞在。

   10月、渡辺広士『大江健三郎』審美社

   11月<力としての想像力>『図書』(言葉)

   12月<ギリアックの作家、ボンベイの詩人>『新日本文学』(アジア・アフリカ文学運動の新たな展開(特集)

    『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞受賞。

1974年1月≪綜合的人間について加藤周一『波』

   2月13日、ソ連ソルジェニーツィンの市民権剥奪、国外追放。

     「ソルジェニーツィン釈放要求の声明文」「ソルジェニーツィン氏を守る会」に署名。

   4月<追放について (ソルジェニーツィンを考える) >『新潮』   39歳

   5月          『見るまえに跳べ』新潮文庫 

              『みずから我が涙をぬぐいたまう日』講談社文庫

    25日、日本アジア・アフリカ作家会議ので結成総会、野間宏議長、堀田善衛事務局長。呼びかけ人には、小田実中野重治らとが名を連ねる。

   6月<『洪水はわが魂に及び』ノートより> 『波』

   この年、光は田村久美子にピアノを習い始める。

   7月            『青年の汚名』文春文庫

   9月<この一年、そして明日 (金大中氏拉致一年の現実(特集)>『世界』(言葉)

    ≪日本とアラブ連帯への架橋 文学は何をなしうるか≫アラブ作家たち、中薗英助、野間、堀田、小田、加藤、針生一郎、いいだ、李恢成、竹内泰宏、津村喬、高史明『潮』

   ≪嘘によらずに生きよ 『クレムリンへの手紙』を読む≫堀田『波』

            『状況へ』岩波書店

    23日、花田清輝死去、65歳。

   10月20日、『レコード芸術』11月号のコラムで安原顕が大江と小田を罵倒。

     24日、嶋中、安原宛の書簡で、中公と仕事をせず、谷崎賞選考委員を辞めると宣言。

   11月       『文学ノート 附・15編』新潮社 

   ジョン・ベスタ―訳『Silent Cry』(万延元年のフットボール)刊行。

   

1975年1月<未来の文学者>『新潮』(言葉)       40歳

   2月≪現代世界の表現者武満徹 『世界』(ひとつの音に世界を聴く)

    <原始美術と集団的想像力>『グランド世界美術 1 原始の美術』講談社

    「ロシア手帖の会」主催の「ソルジェニーツィンを考える集会」で講演「『収容所群島』の文学的構造」

    『ガルガンチュアとパンタグリュエル』改訳の祝いの会に出る。

   3月<「収容所群島」の文学的構造 (ソルジェニーツィンを考える) >『すばる』(言葉)

    ≪作家はどう発言するか≫安岡『月刊エコノミスト』(安岡対談集)

   5月10日、渡辺一夫死去、73歳。

    17日、韓国の詩人金芝河の釈放を訴えて、小田実井出孫六李恢成らと数寄屋橋公園で48時間坐り込みのハンスト。

    山口昌男『文化と両義性』刊行。

   6月<笑う批評>『別冊文藝春秋

   小林が渡辺一夫を気違いと言うので喰ってかかり泣く。あとで宣長の手紙をくれる。(大岡対談・河合対談)

   6-7月                 『厳粛な綱渡り』文春文庫

               『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』新潮文庫

   9月<表現された子供>『図書』(言葉)

    1日、武満徹「カトレーン」の初演を小澤征爾指揮で聴く。

    29日、NHK教育市民大学講座「イメージの世界4―イメージの回復」河合隼雄,中西進

   『火山の下で』を読む。

   11月<にせの言葉を拒否する (朝鮮政策の転換を求める<特集>『世界』(言葉)

    石原慎太郎の韓国紀行を批判。

   12月、『岩波講座 文学』の編集委員となる。ほかに猪野謙二、高橋和巳寺田透野間宏

    <なぜ人間は文学をつくり出すか>『岩波講座 文学』(表現)

    <全体を見る眼>『図書』(言葉)

    ≪芸術における表現をめぐって≫武満『音楽現代』(武満対談集 創造の周辺)

1976年1月<諷刺、哄笑の想像力>『新潮』 (言葉)    41歳

    <創造の原理としての想像力>『岩波講座・文学2』(言葉)

    鄭敬謨「石原慎太郎の自由・私の自由」『世界』

    3日≪文学・歴史・文明≫野上弥生子朝日新聞」(野上全集別巻2)

   2月≪現代世界と文学表現≫谷川俊太郎,山口昌男 『世界』

    大岡昇平の朝日賞受賞を祝う会が小林秀雄吉田秀和、大江が発起人で開かれ挨拶する。井伏鱒二と話す。

   3月<道化と再生への想像力>『新潮』 (同時代)

    石原「鄭敬謨・大江健三郎に答う」『文藝春秋』で反論。

   3月末からメキシコ行き。

   4月から7月までコレヒオ・デ・メヒコ客員教授としてメキシコシティーに滞在。鶴見俊輔の勧め。週に一回英語で日本戦後思想史を講義。そのほかは下宿にこもって本を読む。

    酒場でファン・ルルフォに遭遇する。

   5月        『言葉によって 状況・文学?』新潮社

   6月、塙嘉彦が『海』編集部長となる。

   夏、光が最初のてんかんの発作。マンゴーを食べてひっくり返っている(津島90)

   帰国。

   8-10月「ピンチランナー調書」『新潮』

   9月、『中央公論』で山口昌男の連載に編集者が書き直しを要請、粕谷一希が辞任するか。

    29日、谷川俊太郎と対談。『マザー・グース』をめぐって。

   10月           『ピンチランナー調書』新潮社

           (附録で中野孝次との対談「風刺・哄笑・再生の文学」

     9日<「人間」と滅亡を見つめて>「朝日新聞夕刊」 (同時代)

    西脇順三郎から「これからは諧謔の時代です」というはがきが来る。

     18日、森有正死去、64歳。

     22日、竹橋アラスカで林達夫山口昌男と座談。

    塙嘉彦筒井康隆を紹介する。

   11月〇<眼量(こころ)を放(ひろ)げられよ--毛沢東の死によせて>『世界』

    ≪風刺・哄笑・再生の文学≫中野孝次『波』

                     『同時代としての戦後』講談社文庫

   12月≪文学は現代をどうとらえるか≫大岡昇平 『新潮』(「水・土地・空間 大岡対談集」)

     ≪表現行為と子ども (子どもと文学) ≫谷川俊太郎 『文学』(「自分の中の子ども 谷川対談集」)

1977年1月、芥川賞選考委員となる。            42歳

   2月<現代文学研究者になにを望むか>『海』

    <忙閑日記 遅れてきた構造主義者>『文學界

   3月<大岡昇平氏と現代> 『国文学 解釈と教材の研究』

    <芥川賞選評>『文藝春秋

    9-10日、東京郵便貯金ホールで東京オペラ協会により「暗い鏡」が上演される。稲垣純演出。

   5月、柄谷と蓮實が『現代思想』で対談、岩波、大江、山口を批判する。

    6日、銀座の浜作第二店で林達夫山口昌男と座談。大塚信一が録音。

   6月<文学・その方法の総体(ボディ)>『新潮』

   『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』のジョン・ネイサンによる英訳が出るがその前がきで、三島夫人に卑猥な言葉を発したと書かれネイサンと絶縁する。

   7月<知的な協同作業と文学>『世界』

    △≪文化の活性化を求めて≫山口昌男高橋康也渡辺守章鈴木忠志大岡信磯崎新、武満、一柳慧東野芳明吉田喜重井上ひさし『世界』

   8月<イメージ分節化の方法--「ヴェニスに死す」による>『海』

   9月ー翌2月      『大江健三郎全作品』第二期・全6巻 新潮社

    毎号「わが猶予期間」を執筆。(表現する者)

   9月≪文学をどう活性化するか≫井上『波』

    ≪作家と文体≫安岡『文体』(文体とは何か)

   10月中旬から二週間、ハワイ大学の東西文化研究所でのセミナー「東西文化の出会い」に日本人として一人参加、周縁性の文化について報告。

   12月<“知の世界の涯を旅する者”> 山口昌男『本の神話学』中公文庫(同時代)

1978年1月<小林秀雄本居宣長』を読む>『新潮』(表現する者)   43歳

    <再生の多義性(論壇)>『世界』

   1月‐79年末<文藝時評>「朝日新聞」(小説の経験)

   4月3日、平野謙死去、70歳。

   5月≪文学と戦争体験--地域性の力(現代小説の地平-2-)≫ギュンター・グラス『海』

                『小説の方法』岩波現代選書

   6月<散文精神をめぐって (追悼 平野謙)>『海』

    <発見された者として (追悼・平野謙)>『新潮』 (同時代)

   10月<解説>     柳田國男海上の道』岩波文庫 (同時代)

                『表現する者 状況・文学**』新潮社

   12月<文学は戦後的批判を越えているか>『世界』(方法を)

     <『個人的な体験』から『ピンチランナー調書』まで>       

             『新潮現代文学 個人的な体験・ピンチランナー調書』

1979年1月<想像する柳田国男>『新潮』          44歳

   2月<独裁者という鏡 (今日の海外文学-6-G・ガルシア・マルケス--驚異の幻想)>『海』 (同時代)

   3月<芥川賞選評>『文藝春秋

   4月<戦後世界につらぬく批評性 (大岡昇平特集)>『国文学解釈と鑑賞』

    8日、NHK教育「若い広場」マイブック「ハックルベリー・フィンの冒険」斎藤とも子。

    15日、同「伊丹万作エッセイ集」

    22日、同「中原中也詩集」

    29日、同「渡辺一夫著作集より『寛容について』」

   5月≪小説の祝祭空間--二つの周縁から≫マリオ・バルガス・ジョサ, 杉山晃訳 『海』

   6月<青年ヘ--中年ロビンソンの手紙>『世界』

    21日、中上健次と対談。

   8月<海外文学への同時性>『海』

    <青年と世界モデル--熊をからかうフライデー>『世界』

    はじめ、西村六郎(1931-)の世話で、山口昌男高橋康也中村雄二郎原広司井上ひさし清水徹渡辺守章吉田喜重とバリ島に行く。

    24日、中野重治死去、77歳。

    26日、渡部勝己死去、58歳。

   11月<その「戦後」のひとつ (追悼・中野重治)>『新潮』(同時代)

     <ペシミズムの問題--中野重治渡辺一夫>『文學界』 (同時代)

     <解説> 林達夫『思想の運命』中公文庫 (同時代)

     〇≪神々の島バリ≫井上、清水、高橋、武満、中村、原、山口、吉田、渡辺『世界』

    ≪現代文明を風刺する『同時代ゲーム』≫加賀乙彦『波』

               『同時代ゲーム』新潮社純文学書き下ろし特別作品

     5日、12日、NHK教育「文学への招待 大江健三郎“私の子規”」

   12月<人生の師匠たち>『別冊文藝春秋

1980年1月「頭のいい『雨の木』」『文學界』     45歳

    <子規はわれらの同時代人--変革期の生活者・表現者>『世界』

    ≪多様化する現代文学--一九八〇年代へ向けて≫中上健次 『新潮』(中上健次全発言2)

     25日、塙嘉彦死去、45歳。

     青山葬儀所での葬儀を手配。

   2-3月「身がわり山羊の反撃」『群像』

   2-4月「『芽むしり仔撃ち』裁判」『新潮』

   2月≪「同時代ゲーム」について(自作案内) ≫清水徹文學界

   3月<同時代論の試み--作家自身によるモデル解説>『世界』(同時代論集)

   この頃税金を借りにゆかりが大阪の母のところへ行き大江も講演で同行(日本語と日本人の心)

   4月<友人塙嘉彦 (塙嘉彦追憶)>『海』

            『方法を読む=大江健三郎文芸時評講談社

   5月16日、日本文学大賞で『同時代ゲーム』が落選。同日、新潮新人賞の選考に出ていて、その後バーで阿川弘之にワイングラスをぶつける。

   6月        『現代伝奇集』岩波現代選書

    光が合宿へ行き「プー」と呼ばれることを拒否する(津島82)

   8-9月≪言葉と空間のブリコラージュ≫磯崎新, 原広司 『建築文化』

   9月<反論理の水先案内人--光州と被爆者援護法 (金大中氏の現状)>『世界』

    14日、NHK教育日曜美術館 「私とベイコン」三木多聞,西橋正泰,藤堂かほる

   10月≪編集にあたって≫山口、中村雄『叢書・文化の現在』内容見本

   11月、蓮實重彦大江健三郎論』青土社

   11月-翌8月    『大江健三郎同時代論集』全10巻 岩波書店

   11月、ラスプーチン『生きよ、そして記憶せよ』原卓也安岡治子訳に推薦文。

     18日、ソ連のイリーナ・グリーヴニナが当局に逮捕された件で、父親のグリーヴニン宛に安岡章太郎原卓也江川卓とアピール文を送る。

   12月<楽しさということ--中野重治一側面>『新日本文学

    横浜での「アジア平和研究国際会議」基調報告で英語による講演「核時代の日本人とアイデンティティー」。

1981年1月<宇宙のへりの鷲--ついに書かれなかった小説を批評する>『新潮』(同時代)    46歳

    <核時代の日本人とアイデンティティー>『世界』(核の大火)

    <白鳥の宇宙モデル (正宗白鳥--生誕百年によせて)>『文學界

    9日<知識人は流れをどう捉えているか--100人アンケ-ト (検証・「戦後を疑う」論理) >『朝日ジャーナル

   2月<明日の被爆者(論壇)>『世界』(同時代)

    <かつてない深甚な恐怖が鳥をとらえた>  『個人的な体験』新潮文庫

    「ロシア手帖」主催の「ドストエフスキー死後百年祭」(渋谷山手教会)で講演。

   3月<媒介する小説>『波』