2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

猫猫塾の由来

猫猫塾について、ボランティア精神でやっているのだろうなどと思っている人がいると分かったので改めて記しておく。 東大の非常勤をクビになった時に、ずっと家にいるのは精神衛生上良くないからと始めたのだが、二年目からどっと人が減って二人くらいになっ…

水原園博と川端ヨイショ

駅前の書店で、『巨匠の眼 川端康成と東山魁夷』(求龍堂)という新刊を見つけた。もう数年前からあちこちでやっている展覧会の派生物だが、いくつも図録や書簡集を出したり雑誌特集をやったりしているのでいたるところで重複しまくっている。だいたい主導し…

マナー・ファシズム

禁煙ファシズムのころから「マナー」という言葉が変な使われ方をするようになった。というのは「マナー違反」とかいうのが、「ルール違反」のように、錦の御旗か葵の印篭的に使われるようになったのだ。 弁護士を使って不正に川端康成関係の戸籍をとっていた…

中野好夫の処世術

市河三喜と中野好夫が論争をしたことがある。二人とも東大英文科教授だが、市河は英語学者で、日本人で初めて東大英文科の助教授になり、1946年に定年退官している。没後「市河賞」が設けられ、英語学の新人にとっては名誉ある賞である。さて、1948年2月の『…

関井光男と白地社

『en-taxi』に、坪内祐三が死んだ関井光男のことを書いている。けっこう怪しい人だったという話で、早稲田予備校で資金を稼いで古書などを買いあさり、小さい出版社へ出入りしては博識で(おそらく)社主を感心させてそこのヘゲモニーを握るといったことであ…

女同士でディズニーランドで結婚式を挙げたというカップルの漫画を読んで、前から気になっていたことを思い出した。LGBTの会とかいうのがあるが、こういうのはたいてい「左翼」、まあ私に言わせれば「なんとなく、リベラル」である。しかしLGBTだからといっ…

少し古い文藝評論を読むと、「日本には私小説の伝統があって」とか「私小説が主流で」とか言ってそれがいいか悪いかといったことが書いてあるのだが、私小説が壊滅的になっている今日において読むと、これはアクチュアリティをもって読めない。丸谷才一のも…

『文藝家協会ニュース』三月号で、山崎ナオコーラが「ひきこもり」というエッセイを書いている。私がそれを読んで、不遇だと愚痴を書いている、とツイッターで書いたらご当人が怒っているようだ。読まずに言われるのも困るので、抜粋しておく。 私はこれから…

阪大言語文化研究科言語文化専攻長に、ドイツ哲学専攻の我田広之さんが就任したようだ。この職は、昔は言語文化部長というものだったが、阪大が大阪外国語大学と合併した時に、言語文化部が外大と合体して「言語文化研究科」になり、旧・言語文化研究科を「…

ジェーン・フォンダ主演の『帰郷』という、ヴェトナム反戦みたいな映画を観たが、別に面白くはなかった。 その中に、軍人たちが酔って騒ぐ場面があり、一人が、日本語字幕では「いちゃついている花は?」と言うとすぐ後ろのやつが「チューリップ」と答えるの…

大宅壮一ノンフィクション賞が、今年から雑誌部門を設けた。だが実は初期のこの賞は、雑誌記事も対象にしていたのだ。それどころか応募原稿も対象だった。候補作は以下に掲げてある。 http://homepage1.nifty.com/naokiaward/kenkyu/furok_OOYAaward.htm だ…

アリストファネスの『女の平和』という喜劇がある。原題は「リューシストラテ」で、戦争ばかりしている男たちに愛想を尽かした女たちが、セックス・ストライキをするという、平和主義者やフェミニストがいかにも喜びそうな作品だ。 安部公房はこれについて、…

トリックスター

http://news.nifty.com/cs/entame/showbizddetail/gendai-000207859/1.htm 『日刊ゲンダイ』の記事「小保方さんvs理研 法廷バトルなら「10年戦争」に突入か」って、まあそれはいいのだが、最後に、 「「世紀の大発見」が2カ月後には法廷闘争なんて誰が…

http://www.youtube.com/watch?v=7Hkki12tSW0 凍雲篩雪(26) 佐村河内守の事件は、まことによくできた一場の娯楽であった。事件や事故や醜聞は、平和が続く現代日本において基本的に庶民の娯楽だが、死人が出ているとそうは楽しめない。それに対してこれは…

http://blogs.yahoo.co.jp/nb_ichii/34670586.html 弁護士の懲戒処分を公開しています。2014年3月28日付『官報』に公告として掲載された懲戒処分兵庫県弁護士会・森川正章弁護士の懲戒処分の公告2014年1月1日から通算26人目、平成25年度(4月1日から…

野口冨士男の『徳田秋声伝』といえば名著のほまれ高い(にしては文庫化とかされないが)。その最後の、秋声の葬儀のところで、近松秋江の娘の徳田道子が嗚咽していた、とあるのを、亀井麻美さんが、道子ではなく姉の百合子だと訂正された。確かに徳田道子『…