チキンラーメンの運命

日清のチキンラーメンが発売されたのは1958年で、私が生まれる四年前だが、私が物心ついたころには、66年に出たサンヨー食品サッポロ一番のような調理型即席ラーメンが一般的で、当時私はチキンラーメンを知らなかった。

 1971年に始まったNHKの人形劇「ネコジャラ市の11人」で、即席ラーメンが市民の間ではやるというエピソードがあり、歌が「おそばの袋をササッのサ、鍋の底に放り込み、あとは鼻歌数え歌、できあがりーよー」といい、お湯をかけるだけのものだった。ガンバルニャンもまねしてやろうとするのだが、貧乏なため小麦粉しか使えずスイトンができるという話だった。子供の私は、お湯をかけるだけの即席ラーメンを知らなかったから、変な話だなあと思っていた。もちろんカップヌードルなどはすでに発売されていたが、それとは違う感じである。

 のち、お湯をかけるだけのラーメンがあることを知ったが、多分全国的にちょっとした口コミのブームがあったのだろう、南伸坊を起用したチキンラーメンのCM「すぐおいしい、すごくおいしい」というのが流れたのが84年のことであった。