私が中学一年の十月から「たぬき先生奮戦記」という連続ドラマが始まった。坂上二郎が学校の先生役で、いろいろ騒動が起きるというもの。半年で「たぬき先生騒動記」と変わって、総計一年間放送。民放だったが、私は中学二年の頃から生意気になって、NHKばかり観るようになったから、後半は観ていないかもしれない。
これはその二年前に、もともと歌手志望だった坂上が出してある程度ヒットしたシングル「学校の先生」が発想のネタだろう。これは冒頭に、新任の先生である坂上の挨拶があって、「いいぞたぬき!」と生徒から声がかかっている。私はこの歌を聴くとちょっと泣く。
ドラマの先生は姓を綿貫というのでたぬき先生と呼ばれているのだが、当時私は綿貫なんて姓は知らなかったから、わざとらしいような気がしたものだ。
一つのエピソードだけ覚えている。たぬき先生が一人のストリッパーに入れあげてしげしげと通っているという話で、家族は心配して(杉田かおるとか)様子を探ると本当らしい。客席で「××ちゃん!」とかけ声をかける坂上の姿を覚えている(ストリップでかけ声というのはまずないのだが)。で結局、そのストリッパーは元生徒で、励ますために通っていたという人情落ち。