村山由佳『PRIZE』書評補遺

 村山由佳の、直木賞を主題にした小説『PRIZE』の書評を『週刊読書人』に書いた。大変面白い小説だったが、二箇所疑問点があった。一つは作中人物の会話に出てくる川端康成の『雪国』に関する部分(185p)で、あの小説には島村という川端当人を思わせる男が越後湯沢の芸者駒子に久しぶりに会って、「この指だけが君を覚えていたよ」という嫌らしい場面がある。これは指が膣内の感覚を覚えていたという意味だが、村山はそこを記憶違いしたらしく、ほかの女の匂いのことを書いている、と発言させているのだが、匂いとは一言も書かれていない。