2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

尾崎一雄の『あの日この日』という自伝がある。その講談社文庫版は全四冊だが、その第一巻の最後のほうに、昭和五年八月、尾崎が住む下曽我に、曽我十郎・五郎の記念碑が建って、松本幸四郎らの歌舞伎俳優や森律子らの女優が来たということが書いてある。 尾…

凍雲篩雪

門田泰明は、バイオレンス小説の作家として知られるが、若い頃は純文学を目ざし、芥川賞作家の多田裕計に師事していた。門田の出身大学は不明だが、多田の示唆によって、生計のたつ通俗小説に転向したという。『黒豹作家のフットワーク』(光文社文庫)は、…

川端康成詳細年譜作者: 小谷野敦,深澤晴美出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2016/08/31メディア: 大型本この商品を含むブログを見る訂正 421p 勅使河原蒼風の没年が?になっているが1979年

行方昭夫先生からいただいたモームの『お菓子とビール』を読んでいたら、どうも分からないところがあった。まず第四章、ドリッフィールドという、ハーディがモデルだという作家の伝記を書いてほしいと未亡人から言われた語り手のアシェンデンは「数年前に短…

司馬遼太郎著作年譜

司馬遼太郎(1923-96) 1955年9月 福田定一「名言随筆サラリーマン」六月社 321956年5月「ペルシアの幻術師」 講談倶楽部 33歳1957年5月「戈壁の匈奴」 近代説話 34歳 12月「兜率天の巡礼」 〃1958年1月「伊賀源と色仙人」 小説倶楽部 35歳 4月-59年2月…

「座談会“義理人情”罷り通るー大衆小説功罪論」(『労働文化』1954年10月)は、青野季吉、中島健蔵、十返肇の鼎談で、今では珍しい大衆文学、特に時代小説批判である。早乙女貢だったか、これの中島健蔵にやたら怒っていたのだが、読んでみるとそうひどいこ…